ドラッグストアは私たちにとって身近な存在で、頻繁に赴き、薬剤師の先生にちょっとした質問をされる方もいらっしゃるのでは?
「薬の処方は医師、実際の調剤は薬剤師」と役割分担する「医薬分業」が定着し、医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮して患者の健康を守る態勢が取られています。
そんな身近で頼りがいのある存在で、調剤の専門家である薬剤師の年収って気になりますよね!
高度に専門的な医療従事者であり、社会的に大きな責任を負う薬剤師の年収の全国平均や多岐にわたる職種、職種毎の平均年収について知りたい方は、読み進めて頂けますと幸いです。
都道府県別の薬剤師の平均年収ランキング1位は?
全国の平均年収を知るために使用したデータを元に都道府県別の薬剤師の平均年収を調査したところ、最も高いのは「宮崎県」の717.7万円で、唯一700万円超えでした。
また、2位「熊本県」684.1万円、3位「栃木県」664.8万円となりました。
1位と2位の差は約34万円で、1位の宮崎県の年収が特別に高いことが分かりました。
2023年公開(2022年調査結果)の都道府県別の薬剤師の平均年収のランキング(順位)の1位から47位は次の通りです。
ランキング(順位) | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 宮崎県 | 717.7万円 |
2位 | 熊本県 | 684.1万円 |
3位 | 栃木県 | 664.8万円 |
4位 | 青森県 | 651.9万円 |
5位 | 静岡県 | 638.0万円 |
6位 | 茨城県 | 637.0万円 |
7位 | 京都府 | 633.8万円 |
8位 | 大阪府 | 632.0万円 |
9位 | 長崎県 | 623.1万円 |
10位 | 群馬県 | 619.6万円 |
11位 | 島根県 | 617.0万円 |
12位 | 富山県 | 609.6万円 |
13位 | 山形県 | 607.0万円 |
14位 | 鳥取県 | 604.2万円 |
15位 | 鹿児島県 | 599.3万円 |
16位 | 佐賀県 | 596.3万円 |
17位 | 秋田県 | 591.0万円 |
18位 | 新潟県 | 590.8万円 |
19位 | 徳島県 | 590.7万円 |
20位 | 長野県 | 589.8万円 |
21位 | 愛媛県 | 589.2万円 |
22位 | 広島県 | 589.0万円 |
23位 | 東京都 | 584.8万円 |
24位 | 岩手県 | 584.3万円 |
25位 | 北海道 | 583.3万円 |
26位 | 千葉県 | 582.3万円 |
27位 | 愛知県 | 581.1万円 |
28位 | 石川県 | 572.1万円 |
29位 | 埼玉県 | 571.8万円 |
29位 | 大分県 | 571.8万円 |
31位 | 岐阜県 | 571.7万円 |
32位 | 福井県 | 569.6万円 |
33位 | 兵庫県 | 569.1万円 |
34位 | 福島県 | 568.3万円 |
35位 | 山梨県 | 561.5万円 |
36位 | 高知県 | 558.2万円 |
37位 | 福岡県 | 556.8万円 |
38位 | 香川県 | 553.0万円 |
39位 | 沖縄県 | 551.9万円 |
40位 | 神奈川県 | 547.0万円 |
41位 | 宮城県 | 543.7万円 |
42位 | 滋賀県 | 537.2万円 |
43位 | 岡山県 | 534.5万円 |
44位 | 山口県 | 524.2万円 |
45位 | 奈良県 | 520.7万円 |
46位 | 和歌山県 | 509.1万円 |
47位 | 三重県 | 491.2万円 |
出典元:政府統計の総合窓口 e-Stat
特に、20位と21位、33位と34位は正確な金額で順位づけています。
都道府県別に薬剤師の平均年収に差が生じる理由は?
一般的に、都市部のほうが平均年収の相場が高いと考えがちですが、薬剤師の場合は必ずしもその考えはあてはまりません。
ランキング表を見ると、首都圏以外が上位に多く見られます。
この理由は、都道府県別の人口に対する薬剤師数や求人数など、求められる薬剤師の需要と供給のバランスが影響していることが考えられるでしょう。
そのため、年収アップを希望するなら、地方での勤務も選択肢の一つにするとよいでしょう。
都心部や通勤時間にこだわらず、実際に地方で就職先を探して年収アップに成功した薬剤師も多くいらっしゃいます。
逆に言うと、薬剤師自身の年収が都道府県別の平均年収と比較して低い場合は、年収アップの交渉を成功させる可能性があるともいえます。
「男女別・年齢別」の薬剤師の平均年収は?
それでは見方を変えてみましょう。
【男女別平均年収】【全世代合計の全国平均年収】2023年公開(2022年調査結果)
男女別の平均年収と平均年齢を見ると、下表のような結果になりました。
男性薬剤師 | 平均年収637.1万円 | 平均年齢41.5歳 |
女性薬剤師 | 平均年収540.1万円 | 平均年齢40.9歳 |
男女合計による全国平均年収は、下表のような結果になりました。
全世代合計の全国平均年収 | 年収583.4万円 | 平均年齢41.1歳 |
出典元:政府統計の総合窓口 e-Stat
【年齢別の平均年収と平均年齢】2023年公開(2022年調査結果)
続きまして、年齢別の平均年収と平均年齢を見てみましょう。
年齢別の平均年収と平均年齢を見てみると、20代前半では平均年収は300万円台ですが20代後半になると400万円台に上昇します。
さらに30代前半には、平均年収は500万円台となります。
30代後半から平均年収は600万円を超え、55~59歳にピークを迎え700万円を超える結果となります。
年齢層 | 平均年収 | 平均年齢 |
20~24歳 | 381.3万円 | 24.5歳 |
25~29歳 | 464.9万円 | 27.4歳 |
30~34歳 | 564.1万円 | 32.5歳 |
35~39歳 | 608.1万円 | 37.8歳 |
40~44歳 | 630.4万円 | 42.6歳 |
45~49歳 | 641.2万円 | 47.4歳 |
50~54歳 | 665.6万円 | 52.2歳 |
55~59歳 | 717.4万円 | 57.4歳 |
全年代平均 | 583.4万円 | 41.1歳 |
出典元:政府統計の総合窓口 e-Stat
職場別の薬剤師の平均年収比較
ここでは、薬剤師が主に仕事場としている4つの職場に分けて、平均年収を比較します。
職場 | 平均年収 |
(i)製薬会社 | 約600万円~約1200万円 |
(ii)調剤薬局 | 約450万円〜700万円 |
(iii)ドラッグストア | 約500万円〜800万円 |
(iv)病院 | 約400万円〜650万円 |
出典元:厚生労働省:賃金構造基本統計調査
(i)製薬会社勤務が一番高く、(iv)病院勤務が一番低い結果になりました。
あくまで相場なので、企業や職場によって年収の金額は変化します。
(i)製薬会社
比較的高い平均年収の製薬会社に勤務する薬剤師ですが、その平均年収や給料は、更に職種によって大きく変動します。
製薬会社に勤務する薬剤師の職種別平均年収の一覧
製薬会社において、薬剤師が勤務する可能性の高い職種の平均年収をまとめました。
職種 | 平均年収 |
MR(Medical Representative) | 500~1,200万円 ※1 |
企業の創薬研究者 | 400~972.51万円(約703.9万円) ※2 |
薬事職 | 363〜1,015万円 ※3 |
研究職 | 500~900万円 |
開発職 | 500~900万円 |
CRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター) | 450~1,000万円 ※4 |
管理薬剤師 | 600~900万円 (平均年収:約720万円) |
学術職 | 300~700万円 |
企業内診療所の薬剤師 | 400~700万円 |
薬を販売する営業職であるMR(Medical Representative)や新薬の申請を行う立場にあたる薬事職は、ふり幅が大きいものの最も高水準の年収でした。
製薬会社の薬剤師と一口に言っても代表的な職種だけでこれだけの種類があるので、年収・職種に対する適正ともに考慮しながら自分に合うポジションを見つけるのが大切と言えるでしょう。
※1※4出典元:薬剤師以外の職種で働く{虎の巻}
※3出典元:2023年7月求人ボックス掲載情報
※2出典元:令和4年賃金構造基本統計調査
薬事職の仕事内容
- 医薬品等の開発初期から販売中止まで、製薬会社が遵守すべき薬事規制に対応するための業務全般を担います。
- 新薬の承認申請や発売後の医薬品の薬事対応(例:薬事戦略の立案、行政窓口対応、申請書作成)、薬事情報システムの管理など、様々な業務があります。
管理薬剤師とは
- 法律によって設置が義務付けられている薬局各店舗の責任者、または製造業では拠点ごとの責任者のことです。
職場によっては薬局長と呼ばれていることもあります。
管理薬剤師の主たる業務内容は、各店舗または各拠点の管理業務であり、一般的な薬剤師とは異なります。
管理薬剤師に求められる業務、資格や資質などについて注意する必要があります。 - 管理薬剤師は、一般の薬剤師が行う調剤・服薬指導・販売業務も行うことがありますが、管理薬剤師にしか行えない業務があるという点において、一般の薬剤師とは大きな違いがあります。
管理薬剤師に課せられる主な業務に、「管理業務」、「適正な使用のための情報提供業務」、「薬局開設者への意見申述の義務」その他、副作用情報の収集・報告などの業務があります。
また、収入面でも一般薬剤師との違いがあります。 - 一般薬剤師(平均年齢37歳)の平均月収が36万8,365円であったのに対し、管理薬剤師(平均年齢50.2歳)の平均月収は50万3,863円。
データ出典元:人事院/民間給与の実態 + e-Stat/職種別民間給与実態調査 - 保険薬局に勤務する一般薬剤師の平均年収が約472万円であったのに対し、管理薬剤師の平均年収は約720万円。
データ出典元:厚生労働省/第23回医療経済実態調査の報告
①企業のMR【平均年収:500~1,200万円】
企業のMR(医薬情報担当者:Medical Representative)は平均年収が500~1200万円となり、大学新卒就職者の割合では薬学部出身の大学生の4.8%となりました。
MR(Medical Representative)とは、病院の医師や薬剤師に自社医薬品の情報を伝える職種です。
企業のMRの特徴としては、自社医薬品の有効性や安全性だけでなく、副作用などのネガティブな情報についても、自社医薬品を購入した医師や薬剤師への聞き取り各種調査を通して収集し、医療機関に提供することが求められます。
高い収入が狙えることがメリットの1つで、個人の頑張りによっては30代で年収1,000万円以上も狙えます。
ただし、その分厳しい営業目標があったり、MR(Medical Representative)認定試験という資格の取得が義務付けられたりと、高いハードルが課せられることがあります。
MRを職とする薬剤師の勤務先としては、製薬メーカーとメーカーにMRを派遣するCSO(Contract Sales Organization:医薬品販売業務受託機関)の2つ。
CSO(Contract Sales Organization)とは
- 製薬企業に自社が直接雇用したMRを派遣するほか、製薬業界から医薬品の営業やマーケティング活動を請け負う企業。
- 医薬品販売業務受託機関ともいわれます。
CROとCSOの違い
CRO(Contract Research Organization)が医薬品研究開発のアウトソーシングビジネスを指すのに対し、CSO(Contract Sales Organization)は製薬企業における営業・マーケティング業務「MR(Medical Representative)業務」のアウトソーシングビジネスを指す。
企業のMRは、次のような人におすすめです。
- 多忙な医師に短い時間で情報を伝える必要があるため、トークに自信がある人
- 自己管理能力の高い人
外回りの仕事が多い上に多忙なMRは、日々医師や薬剤師に対して営業活動を行いつつ、自主的に勉強も行う必要があるからです。
②企業の創薬研究者【平均年収:400~1,000万円】
企業の創薬研究者は、平均年収が400~1,000万円となり、大学新卒就職者の割合では、薬学部出身の大学生の0.3%となりました。
企業の創薬研究者の特徴としては、創薬研究者は、研究と実験を重ねることで新しい薬を開発する職種です。
疾患の分析から薬物の化合、効果や安全性の研究などさまざまなステージにおいて創薬に携わります。
創薬研究には、10年以上の期間や何百億円ものコストがかかります。
それゆえに、成功したときのインパクトは絶大で、ときには世界中にいる何百万人もの患者さんを救えたり、何千億円もの収益を会社にもたらしたりできます。
創薬研究者のキャリアとしては、研究室長、研究本部長など研究プロジェクトや企業全体を統括する立場になるコースが考えられます。
大手企業で順調に出世すれば、1,000万円以上の年収を受け取れる可能性も高いでしょう。
企業の創薬研究者は、次のような人におすすめです。
- 創薬研究者は、長期的な目標に手を抜かずに取り組むことができる人
前述の通り、創薬研究は短期間で成果が出るものではありません。
何年にもわたって粘り強く取り組む忍耐力が不可欠です。
また、給与が高い、休みがとりやすいなど、待遇面の魅力は高いです。
③企業のCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)【平均年収:450~700万円】
企業のCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)は、平均年収が450~700万円となり、大学新卒就職者の割合では薬学部出身の大学生の3.0%となりました。
尚、CRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)とは、製薬開発を行う上で欠かせない「治験」をコーディネートする職種です。
CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)との違い
臨床開発モニター(CRA:Clinical Research Associate:臨床開発モニター)は、製薬会社・企業側の立場から治験のスケジュール管理や治験実施計画書の確認を行います。
対して、治験コーディネーター(CRC:Crinical Research Coordinator:治験コーディネーター)は、主に医療機関で働き、医療チームと協力して被験者に寄り添いながら治験のサポートを行うことが業務です。
企業のCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)の特徴としては、治験のモニタリングから報告書の作成まで担当し、実際に治験薬を投与する医師を支えます。
転勤や休日出勤はほとんどなく、育休・産休など制度が充実している場合が多いため、女性で長く働きやすい職種です。
ただし治験は全国であるため、担当エリアによっては出張が多くなる可能性もあります。
CRAの勤務先には、製薬メーカーとメーカーにCRAを派遣するCRO(Contract Research Organization)の2通りがあります。
経験を積み、担当する治験の規模が大きくなるに従って収入も増加し、プロジェクト全体のマネージャーになれば年収1,000万円以上も夢ではありません。
企業のCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)は、スケールの大きい仕事を通じて社会に影響を与えたいという人におすすめです。
日本CRO(Contract Research Organization)協会によると、1つの新薬ができるまでにかかる期間は9~16年で、必要な開発費は500億円以上となります。
もし1つでも新しい医薬品を世に出すことができたならば、多くの人命を救うことにつながります。
平均年収が高い製薬会社のランキング(順位)
製薬会社(大手新薬メーカー)の中でも薬剤師全体の平均年収が高い会社は次の大手5社です。
ランキング(順位) | 製薬会社 | 平均年収 |
1位 | 中外製薬 | 約850万円以上(1155.8万円↑) |
2位 | 武田薬品工業 | 約950万円以上(1105.1万円↑) |
3位 | 第一三共 | 約950万円以上(1094.9万円↓) |
4位 | アステラス製薬 | 約900万円以上(1064.4万円↑) |
5位 | エーザイ | 約800万円以上(920.1万円↓) |
企業の業績により薬剤師の年収は毎年変わりますが、上記の5つの製薬会社は薬剤師の年収は平均よりも高くなっています。
最近は、ベンチャー企業の「ソレイジア・ファーマ」や「サンバイオ」なども急成長しており、薬剤師の年収もアップしているようです。
また、大手の製薬会社では土日祝日は確実に休み、福利厚生がしっかりしているなどのメリットもあります。
『管理薬剤師』として年収も待遇もベストな環境を求める人は、狙うべきは業績が好調な一部上場企業ということになるでしょう。
待遇の良い製薬会社は転職の難易度が非常に高いですが、これらの企業の求人情報をマメに確認してみるのもおすすめです。
(ii)調剤薬局
次に調剤薬局に勤務する場合の薬剤師の平均年収・給料について見ていきましょう。
一般的な調剤薬局の職場は安い可能性があります。
調剤薬局とは、病院で発行された処方箋を元に薬剤師が薬を調剤し、患者に薬と正しい使用法を提供する施設のことを意味します。
調剤薬局の薬剤師【平均年収:450~700万円】
調剤薬局に勤務する薬剤師は平均年収が450~700万円となり、大学新卒就職者の割合では薬学部出身の大学生の36.7%となりました。
調剤薬局の薬剤師は処方箋を元に薬を処方したり、患者の服薬履歴を管理したりするのが主な業務です。
調剤薬局は夕方までに閉まるところや深夜営業をしているところなどさまざまな形態があるため、勤務時間や勤務地などを選びやすいのがメリットといえます。
調剤薬局の薬剤師のキャリアアップモデルとしては、管理薬剤師が挙げられます。
文字通り医薬品の在庫や品質、ほかの従業員などの管理を行う職業です。
管理薬剤師は調剤薬局の各店舗に必ず1人は必要なため、復職しやすいというメリットもあります。
調剤薬局の薬剤師は、次のような人におすすめです。
- 調剤薬局では薬の種類や分量についてミスなく取り扱うことが求められるため、一回一回の作業において細かい点まで意識できる几帳面な人
- 初対面の患者さんと接する場面が多いので、コミュニケーション能力に長けた人
調剤薬局に勤務する薬剤師の職種別にわけた平均年収の一覧
調剤薬局で主に構成されている薬剤師の職種別に、4つの役職の平均年収を紹介します。
職種 | 平均年収 |
①エリアマネージャー | 550万円〜700万円 |
②薬局長 | 550万円〜700万円 |
③管理薬剤師 | 550万円〜650万円 |
④一般職 | 450〜550万 |
エリアマネージャーは一人当たり10店舗~15店舗を管理する仕事です。
エリアマネージャーになると、年収は平均で700万円を超える可能性もあります。
どの職種も100万円単位以上で差が出ているのは、運営元の規模や展開している店舗数によって各職種の給与水準が異なるためです。
規模の大きな調剤薬局ほど年収も高くなっており、場合によっては小さな薬局のエリアマネージャーよりも大きな薬局の一般職勤務の方が年収が高いこともあります。
平均年収が高い大手調剤薬局のランキング(順位)
売上高の大きな大手調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収のランキングから見ていきましょう。
今後就職や転職を考えている方は、ぜひこのランキングを1つの参考として活用してください。
ランキング(順位) | 調剤薬局 | 平均年収 |
1位 | クスリのアオキ | 約190~780万円(平均357万円) ※1 |
2位 | 株式会社メディカルシステムネットワーク | 年収 350万円~600万円 ※2 |
3位 | スズケン | 約600万円以上 ※3 |
4位 | 東邦ホールディングス | 約550万円以上 ※4 |
5位 | 日本調剤株式会社 | 約525万円以上 ※5 |
6位 | クラフト株式会社 | 約524万円以上 ※6 |
7位 | クオール株式会社 | 約490万円以上 ※7 |
8位 | 株式会社アインホールディングス | 約437万円以上 ※8 |
※1出典元:クスリのアオキの平均年収357万円(235人のアンケート結果)
※2出典元:株式会社メディカルシステムネットワークの年収
※3出典元:スズケンの契約社員の年収:400~450万円
※4出典元:東邦ホールディングス株式会社の平均年収:605万円
※5出典元:日本調剤株式会社の平均年収:528万円
※6出典元:クラフト株式会社の58人の平均年収:392万円、年収幅:40~750万円
※7出典元:クオール株式会社の55人の平均年収:363万円、年収幅:200~720万円
※8出典元:株式会社アインホールディングスの11人の平均年収:313万円、年収幅:230~400万円
調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収は約481万円ですが、1位のクスリのアオキや株式会社メディカルシステムネットワークのみ平均年収の約1.5倍です。
クスリのアオキや株式会社メディカルシステムネットワークに勤務する薬剤師の平均年収の高さは、ここ数年における事業拡大と業績の急上昇が要因と考えられます。
さらに近年は「ココカラファインヘルスケア」、「総合メディカル」などの調剤薬局の業績も上位になっています。
このように企業の大きさや成長度によっては給与額にかなり大きな差がつくこともあります。
調剤薬局は少人数経営で店舗数が少ないところと、大人数経営で店舗数が多いところでは年収も待遇も変わります。
大手の調剤薬局に勤務できればオーバーワークの心配もなく、休みも取れる上に年収も平均かそれ以上を期待できるでしょう。
小さな規模の調剤薬局は限られた人数で仕事を回さなくてはいけないため、業務量が多くて自由に休みが取りにくいデメリットがあります。
コロナ事情などで年収ランキングは多少の変化はあるようですが、大手であれば不測の事態が起こっても倒産のリスクは限りなく低いです。
安定した収入と好待遇で仕事をしたい人は、調剤薬局は規模の大きいところを選ぶのがポイントになります。
(iii)ドラッグストア
次に紹介するのがドラッグストアに勤務する場合の薬剤師の平均年収・給料についてです。
一般的に「稼ぎやすい職場」だと考えられています。
ドラッグストアの薬剤師【平均年収:500~800万円】
ドラッグストアに勤務する薬剤師は平均年収が500~800万円となり、大学新卒就職者の割合では薬学部出身の大学生の5.3%となりました。
ドラッグストアに勤務する薬剤師は、お客さんの症状や希望に合わせて市販薬を紹介し、使用方法について指導を行うのが主な業務です。
しかし、品出しやレジ打ちなど通常の店舗業務を行うことも必要で、処方箋を取り扱う店舗では調剤業務を担当することもあります。
このようにさまざまな業務をこなす必要があるため、要領よく動ける人材が重宝されます。
ドラッグストアに勤務する薬剤師の一番のメリットは、病院・医院や調剤薬局と比べて収入が高い可能性が高いことです。
店長やエリアマネージャーなど管理職になれば、年収800万円以上も不可能ではありません。
ドラッグストアに勤務する薬剤師は、次のような人におすすめです。
- ドラッグストアに勤務する薬剤師は求人数が多いわりに収入が高いため、高収入を得たい方
- ドラッグストアに勤務する薬剤師には、商品を売る「ビジネスマン」としての能力も必要になるため、売り上げなど数字を目標に仕事をするのが好きな人
上述したように、ドラッグストアは病院や調剤薬局等と比較して総じて利益率が高いため、必然的に薬剤師の給与水準も高い傾向にあります。
ドラッグストアに勤務する薬剤師が配属される主な職種別にわけた平均年収の一覧
以下では、ドラッグストアで薬剤師が配属される主な職種別にわけて平均年収を比較してみました。
職種 | 平均年収 |
エリアマネージャー(本社管理職) | 650万円〜800万円 |
店長 | 550万円〜700万円 |
管理薬剤師 | 550万円〜700万円 |
一般職 | 500万円〜600万円 |
出典元:ドラッグストア役職者の平均年収
上限の金額からも分かる通り、ドラッグストアは勤続年数やポジションなどによって高額年収が狙える職場と言えるでしょう。
実際に、収入の高さは薬剤師がドラッグストアへの就職・転職を希望する理由の上位となっています。
平均年収が高い大手ドラッグストアのランキング(順位)
一般的に、ドラッグストアに勤務する薬剤師の平均年収が高いと言われています。
今後、就職や転職を考えている方はぜひこのランキングを1つの参考として活用してみてください。
以下、売上高トップ11の大手ドラッグストアに勤務する薬剤師の平均年収を紹介します。
こちらのドラッグストアは誰もが一度は買い物をしたことがある大手の名前ばかりです。
ランキング | ドラッグストア名 | 平均年収 |
1位 | マツモトキヨシ | 約740万円 |
2位 | ツルハドラッグ | 約716万円 |
3位 | スギ薬局 | 約711万円 |
4位 | ウエルシア | 約709万円 |
5位 | クスリのアオキ | 約700万円以上 |
6位 | クリエイト エス ディー | 約650万円以上 |
7位 | ココカラファイン | 約633万円 |
8位 | 富士薬品 | 約606万円 |
9位 | カワチ薬品 | 約600万円以上 |
10位 | サンドラッグ | 約600万円以上 |
11位 | コスモス薬品 | 約550万円 |
ドラッグストアに勤務する場合の薬剤師の平均年収は約550万円ですが、上位のドラッグストアはおよそ200万円も平均年収を上回っています。
ドラッグストアの場合も企業規模や業績・成長度などで、平均年収額は変化するので注意が必要です。
他にも都心部を中心に店舗展開を行なう企業は比較的社員の給料が低めで、地方や郊外を中心としている企業は高額である傾向が見受けられます。
この現象は、都心に比べて地方の方がより薬剤師不足であることが背景にあるためです。
一方で、地方や郊外を中心としている企業と同じぐらいの年収を稼げるドラッグストアとして、都心部のマツモトキヨシやツルハなども名前が挙がっています。
ドラッグストアで働く管理薬剤師は、残業手当によってさらに年収がアップすることも多いです。
大型店舗の責任者ともなれば、製薬会社のキャリア組と同等の年収も手にできるでしょう。
ただし、ドラッグストアは土日祝日も営業しているため、休みが不定休になったり販売に関する様々な雑用が増えるケースもあります。
土日祝日は休みたい、残業はなるべくしたくないという人には年収以外の面で待遇が気になるかもしれませんね。
とはいえ、ドラッグストアの管理薬剤師も世間的に見るとかなり恵まれた職場と言えます。
大手であれば賞与なども確実に支払われますので、狙う価値は十分あるのではないでしょうか。
(iv)病院・医院
他の職場と比べても一番給与水準が低いと言われている、病院・医院に勤務する薬剤師の平均年収について紹介します。
病院・医院は医療の最前線の現場と考えられているのに、安すぎるのではないかとの声が高いと思います。
病院・医院に勤務する薬剤師【平均年収:400~650万円】
病院・医院に勤務する薬剤師は平均年収が400~650万円となり、大学新卒就職者の割合では薬学部出身の大学生の27.3%となりました。
病院・医院に勤務する薬剤師の特徴は、業務が「院内調剤」と「病棟薬剤師」に大きく分けられる点です。
「院内調剤」とは、病院内で患者さんごとの状態に合わせて投与する薬を調剤する仕事です。
「病棟薬剤師」は、ベッドサイドで患者さんとコミュニケーションをとることでその背景や薬歴を確認し、薬の処方設計と医師への提案を行います。
病院の薬剤師のキャリアモデルとしては、薬剤部長や医局部長など病院薬剤師全体の管理に回るという道が挙げられます。
病院の薬剤師の平均年収は350~500万円と、他職種と比べると低い方ですが、薬剤部長になれば平均年収は600~650万円と大幅な収入アップが期待できます。
病院・医院に勤務する薬剤師に向いている人は、薬剤師として医療に深く携わりたい人に向いていると言えるでしょう。
患者さん一人ひとりの治療に深く携わる経験は、調剤薬局やドラッグストア、企業では得ることができません。
また、病院・医院は医療の最先端の現場です。
その病院・医院で調剤を行うことで大きなスキルアップが期待できます。
病院・医院に勤務する薬剤師の職種別にわけた平均年収の一覧
次の表が病院・医院に勤務する薬剤師の職種別にわけた平均年収の一覧です。
職種 | 平均年収 |
専門薬剤師 | 500万円〜600万円 |
調剤部門長 | 500万円〜650万円 ※1 |
薬剤師主任 | 400万円〜500万円 |
病院薬剤師 | 300万円〜550万円 ※2 |
病院の薬剤師(院内調剤/病棟薬剤師)は、平均年収300~550万円程度です。
特に、薬剤部長になると500~650万円程度になります。
注)夜勤がある場合は別途夜勤手当があります。
※1※2出典元:https://answers.ten-navi.com/%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB/shigoto1.php
病院薬剤師は約300万円〜550万円と、一般職の薬剤師の平均年収を大きく下回る可能性が大きいです。
部長や主任などの役職に就いたとしても、年収はそれほど高くありません。
病院に勤務する薬剤師の収入が低い主な理由は、医師や看護師など他に優先して確保すべき人員が集まっており薬剤師に給与を多く割けないためです。
平均年収が高い病院のランキング(順位)
運営している団体ごとに平均年収が高い病院をランク付けしました。
順位 | 病院 | 平均年収 |
1位 | 国立病院(厚生労働省が運営) | 約400〜約800万円 |
2位 | 公立病院(地方自治体が運営) | 約450〜650万円 |
3位 | 民間病院(個人団体が運営) | 約300〜350万円 |
4位 | 大学病院(大学が運営) | 約350~400万円 |
5位 | 地域のかかりつけ病院(個人が運営) | 情報なし |
地域のかかりつけ病院(個人が運営)は薬剤師を雇っていない病院が多いため情報がありませんでした。
病院の運営は、国立病院が厚生労働省、公立病院は地方自治体、民間病院は個人団体、大学病院は大学がしています。
それぞれの薬剤師の年収は平均すると国立病院と公立病院が高く、大学病院は少し低いですね。
尚、最も平均年収の高い国立病院は国の定めた給与規定によるため、どの病院でも同額の給与です。
公立病院では薬剤師も公務員と同じ扱いを受けるため、それぞれの自治体によって金額に多少の差があります。
民間病院の場合は病院側の規模によって左右されますが、国立・公立病院と比較すると全体的に平均年収は低めです。
しかし、大学病院も大きな規模になると薬剤師の年収は高くなる傾向があるので、あくまでも参考程度の情報になります。
具体的な病院に勤務する薬剤師の平均年収は?
続いて、具体的な病院に勤務する場合の薬剤師の平均年収を紹介します。
病院名 | 平均年収 |
慶應義塾大学病院 | 年収350万円 ※2 |
済生会(恩賜財団済生会)病院(済生会) | 約630万円 ※6 |
日本赤十字社(日赤) | 年収340万円以上(平均年収の記載なし) |
京大病院 | 平均年収417万円(情報無し) |
九州大学病院 | 年収354万円(入社3年) ※1 |
国立病院機構 | 年収474万円 新卒初任給(基本給+諸手当)※5 |
阪大病院 | 年収330万円以上(平均年収の記載なし) |
倉敷中央病院 | 約年収470万円 ※3 |
近畿大学病院 | 情報なし |
聖路加国際病院 | 平均年収約400万円(非常勤) ※4 |
※1出典元:https://www.vorkers.com/user_answer.php?vid=a0A2x000002TpUV
※2出典元:https://www.vorkers.com/user_answer.php?vid=a0A1000002AbtDH
※3出典元:https://www.kchnet.or.jp/krh/medical/recruit/kyujin45/
※4出典元:https://hospital.luke.ac.jp/positions/pharmacist/pdf/20230627_yakuzaishi.pdf
※5出典元:https://hokuto.hosp.go.jp/recruit/medical/medical_10/
※6出典元:https://pharma.mynavi.jp/d/264965/
病院に勤務する薬剤師は、ドラッグストアや調剤薬局勤務に比べて低いですが、個別で検討してみると病院ごとに給与水準に差があることがわかります。
病院勤務だから一概に給料が低いとは言い切れないので、希望する転職先・就職先の給与体系がどうなっているのか事前に把握しておくことが重要でしょう。
病院で働く場合もドラッグストアや調剤薬局などと同じで、規模が大きいほど福利厚生も年収も好待遇になるのは間違いありません。
薬剤師の数が多い職場では求人の数も多くなりますので、転職を考えている人は可能な範囲で、大手の病院の求人情報をマメにチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
薬剤師として働く場合、本当に沢山の職場や職種があります。
年収にこだわるのはもちろんですが、ご自分の目標や適性など末永く働く上で重要な動機付けをしっかりと考えて、就職出来ると良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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