経営のプロに!中小企業診断士は転職に必要か?
「中小企業診断士って…?」
「そんな資格聞いたことないし、マイナーな資格なんじゃない?」
こう思う方も多いのではないでしょうか。
確かに、弁護士や行政書士、税理士といった資格と比較すると知名度は高くないかもしれません。
しかしながら、「中小企業診断士」とはれっきとした国家資格となっています。
資格を取る過程で得られるスキルは非常に幅広いものとなっています。
また、どのような企業でも使え、当然、資格保有者は転職上も有利です。
この記事では、中小企業診断士の資格の概要と試験内容、転職時における有利さと必要性について見ていきます。
中小企業診断士とは経営のプロフェッショナルである!
まず最初に、そもそも中小企業診断士とはどのような資格なのかについて見ていきます。
中小企業診断士の業務概要
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。
法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」となっています。
「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」を主な業務内容とし、その知識と能力を活かして幅広く活躍することができます。
具体的には、企業の成長戦略の策定に関して専門知識をもってアドバイスを行い、策定した成長戦略の実行に当たって具体的な経営計画の立案、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援を行います。
ある意味、MBAが大企業の経営のプロフェッショナルだとすれば、中小企業診断士は中小企業のMBAなのです。
そのため、中小企業診断士の資格を取得していることは、中小規模の企業の経営のプロフェッショナルだと言えます。
こうしたことから、中小企業診断士には専門的知識の活用と共に、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められます。
資格保有者の属性
では、現在どういった属性の人たちが中小企業診断士の資格を持っているのかを見ていきましょう。
現在、中小企業診断士の資格を取得している人数は約22,500人となっています。
その中で、コンサルティング会社勤務や独立開業など、経営コンサルタント業務を行っている割合が約38%、コンサルティング会社以外の企業で働いている人が約55%です。
やはり、中小企業診断士のスキルを使って、企業における経営企画の当事者として活躍している人が多いと言えます。
年齢構成は、40歳代~50歳代で約54%、30歳代は約14%となっています。
つまり、最初から狙って中小企業診断士を取得する、というよりは、企業で実務を積む中で必要性があった、キャリアアップのために取得した、という人が多いと推測されます。
ちなみに、男女比は男性が約97%、女性が約3%となっています。
中小企業診断士は、圧倒的に男性が多いのも特徴と言えます。
身につくスキルは経営全般
この資格を取得するために勉強し、身につけられるスキルはまさに企業経営の診断に必要なもの全てです。
- 経営戦略
- 経営マネジメント
- 人事
- マーケティング(商品戦略、宣伝広告、流通戦略)
- 財務
- 会計
- 物流
- 店舗管理
- IT
- 法務
など、非常に幅広いのも特徴となっています。
中小企業診断士は転職に有利なのか?その必要性は?
このような特徴を持っているのが、中小企業診断士の資格です。
しかし、気になるのはやはり、「果たして取得することで転職上有利になるのか」ということですよね。
結論から言うと、その答えは「Yes」です。
では、具体的にはどういった業種や職種の場合に有利になるのかを見ていきましょう。
コンサルティング業界の転職で有利に
まず上で挙げた統計でもわかるように、中小企業診断士資格は、コンサルティング業界への転職をする上で必要なスキルをすでに身につけている証明となっています。
そのため、やはりコンサルティング業界では、中小企業診断士は当然有利になります。
ただし、宅建や弁護士のような、この資格がないと出来ない独占業務というものは存在していません。
つまり、中小企業診断士は持っているだけでコンサルティング業界への転職が約束されているわけではありません。
あくまで、企業経営やコンサルタンティングの実力・経験が最初にあり、そのプラスアルファとしてこの資格があるという位置づけです。
コンサルティング以外の業界、・職種の転職でも有利に
コンサルティング業界以外でも、多くの業界、職種への転職時に中小企業診断士資格は有利に働きます。
身につくスキルを見ていただけると分かるように、中小企業診断士はあらゆる経営課題への取り組み方や解決方法を学んでいます。
そのため、企業のどのような部署であったとしても、その専門知識を生かせるのです。
特に、企業の経営者そのものであったり、経営戦略室など経営者の参謀として経営戦略の策定と実行を担う部門だったり、あるいは子会社を管理する業務などに関しては、フルにそのスキルを活かすことができます。
また、試験科目が多く、最低1年は学習が必要なため、何事にも粘り強く取り組める人材だという評価も得られます。
特に地方の転職で有利
また、中小企業診断士の数は地方ではかなり少なくなっています。
仮にいたとしても、年齢が60歳以上である場合が多くなってしまっています。
40代までに中小企業診断士の資格を取得している若い人は地方で希少価値が高く、まさに売り手市場となっています。
このように、勤務地によっては中小企業診断士の資格を持っていることが効果を発揮する場合もあります。
幅広く作れる人脈を活用しての転職も
中小企業診断士というのは、さまざまな業界や職種の人との人脈を築く機会が多い資格でもあります。
ですから、転職時には人材紹介会社などの転職サイトや転職コンサルタントに頼らず、その人脈で転職先が見つかる、というケースも多いのが特徴です。
具体的に見ると
- 実務補習で一緒になった経営者にそのままスカウトされた
- 研究会のメンバーから、ヘッドハンターを紹介してもらった
- 交流会で同席したコンサルティング会社勤務の人が、その会社の人事に自分のことを推薦してくれた
などのケースです。
他にもある!中小企業診断士になるメリット
ここまでは、中小企業診断士の「転職時の」メリットについて主に見てきました。
しかし、中小企業診断士を取得していることは、転職時以外にも大きなメリットを持っています。
ここでは、そうした転職時以外における中小企業診断士のメリットについて見ていきましょう。
会社内での昇格の武器に
中小企業診断士は経営全般の知識だけではなく、提案力や論理的思考力が身につきます。
そのため、そうしたスキルを活かして企業内で昇格していくケースも多く、企業勤務の中小企業診断士のうち約半数が管理職というデータもあります。
ですから、コンサルティング会社に転職してコンサルタントになるでのはなく、大企業に転職して「企業内診断士」としてポジションを上げていくという資格の活用方法もあります。
新たな収入源になる
最近は、企業でもダブルワークを積極的にすすめているところも増えてきました。
そのような副業が認められている状況であれば、中小企業診断士協会からの依頼や人脈などによって、仕事が来る場合もあり、新たな収入源となります。
仕事内容はさまざまですが、コンサルティング業務そのものの場合もあれば、財務戦略やIT基盤構築の一部に関わる場合もあります。
独立開業の道も
中小企業診断士は、公認会計士や税理士などのような独占業務がないため、独立開業することは難しいとも言われています。
しかしながら、実質的には中小企業診断士の独占業務となっている仕事も存在しています。
その一つが、公共機関からの経営診断依頼です。
一般企業はM&A先の企業や自社の経営診断をコンサルティング会社に頼むことが多いです。
しかし、公共機関の多くは中小企業診断士協会に依頼します。
この仕事は当然中小企業診断士に回ってきますから、実質的に独占業務になります。
特に先に書いたように、地方には中小企業診断士の数が少ないですから、そのようなエリアで独立開業すれば十分にビジネスとして成立するでしょう。
人脈が形成できる
中小企業診断士は、診断士や他の公認会計士や税理士などの士業をしている人と交流する機会が多いです。
たとえば、研究会や勉強会、全診断士出席あるいは診断士キャリア3年以内の診断士出席の交流会などです。
そうした交流の機会を利用して人脈を形成できることも中小企業診断士の一つのメリットと言えますね。
中小企業診断士になるにはどうすればいいの…?
ここまで、中小企業診断士はどういった資格なのか、転職時やそれ以外の時に取得しているメリットにはどんなものがあるのか、といったことについて見てきました。
では、中小企業診断士の資格を取得するためには一体どうすれば良いのでしょうか?
中小企業診断士の資格を取得する手順としては二種類存在しています。
一つ目は、「中小企業診断士第1次試験」を受験した後に「中小企業診断士第2次試験」を受験する、という手順です。
この場合は、中小企業診断士第2次試験に合格したのちに、「実務補習(15日間以上)」か「診断実務従事(15日間以上)」を受講して中小企業診断士に登録することが出来ます。
二つ目は、「中小企業診断士第1次試験」を受験した後に 「中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程」を受講する、というものです。
この場合は、「 中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程」を修了すれば、中小企業診断士に登録することが出来ます。
中小企業診断士第1次試験の概要
「中小企業診断士第1次試験」は、中小企業診断士になるのに必要な学識を有しているかどうかを判定することを目的として、企業経営に関する7科目について、筆記試験(多肢選択式)を行います。
- 受験資格:年齢、学歴等に制限はありません
- 試験日:8月上旬の2日間(平成29年度の場合は8月5日・6日)
- 合格率:17.7%
- 試験地:札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇の 8地区
- 受験手数料:13,000円
試験形式としては、マークシート方式の多肢選択式となっています。
試験科目は
- 経済学・経済政策(60分)
- 財務・会計(60分)
- 企業経営理論(90分)
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)(90分)
- 経営法務(60分)
- 経営情報システム(60分)
- 中小企業経営・中小企業政策(90分)
の7科目となっています。
合格基準としては
- 第1次試験の合格基準は、総点数の 60% 以上であって、かつ 1科目でも満点の 40% 未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率
- 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率
と設定されています。
第1次試験合格の有効期間は、第1次試験の合格年度とその翌年度の2年間となっています。
また、科目合格の有効期間は、3年間です。
一部の科目だけに合格した場合は、翌年度及び翌々年度の第1次試験を受験する際、受験者からの申請により当該科目が免除され、3年間で 7科目すべての科目に合格すれば第1次試験合格となり、第2次試験が受験できます。
中小企業診断士第2次試験の概要
「中小企業診断士第2次試験」は、中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、診断及び助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、筆記試験及び口述試験を行います。
筆記試験
筆記試験は、中小企業の診断および助言に関する実務の事例について、筆記の方法により実施する試験です。
- 受験資格:前年度までの1次試験合格者
- 受験手数料:17,200円(筆記試験と口述試験の両方を受験可能)
- 試験地:札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の 7地区(那覇地区は含まれず)
- 試験日:10月中旬~下旬の1日(平成29年度は10月22日)
筆記試験の試験形式は、15~200字程度の論述式となっています。
筆記試験の科目は
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 II
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 III
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 IV
となっています。
具体的には、「経営革新・改善」、「新規事業開発(既存事業の再生を含む)」等の中から
- 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
が出題されています。
合格基準としては、総点数が60% 以上で、かつ、1科目でも満点の 40% 未満がないことです。
口述試験
口述試験は、筆記試験において相当の成績を修めた方を対象に、口述の方法により実施する試験です。
- 受験資格:同年度の論述試験合格者 (翌年持ち越し不可)
- 試験日:12月上旬~中旬の1日(平成29年度は12月17日)
試験形式としては、論述試験での事例に関する面接官との質疑応答となっています。
合格基準は、評点60%%以上に設定されています。
合格率は19.2%です。
つまり、ストレートでの1次試験、2次試験合格率は3.3%となっています。
中小企業診断士第2次試験合格後の実務補習
中小企業診断協会では、国の登録実務補習機関として、「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」に基づき、実務補習を実施しています。
中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事することにより、中小企業診断士としての登録を行うことができます。
実務補習は、合格者約5名と担当官1名が、実際に企業に訪問して経営者にヒアリングを行い、そこから得た情報やIRをもとに、経営方針、財務、物流、店舗や工場運営などについて経営課題を分析し、解決方法を提案します。
インターネット受付
実務補習の受講申込みをインターネットで行う場合は、ユーザー登録が必要です。
ユーザー登録は実務補習申し込み画面で行います。
なお、ユーザー登録の際にメールアドレスを登録する必要があります。
実務補習では実施の4~5日前にメールにて担当指導員より企業概要などの提示や事前準備作業の指示があります。
その際に、メールにはファイルが添付されている場合がありますので、添付ファイルが受信できるメールアドレスを登録して下さい。
ユーザー登録により、「受講者Myページ」のサービスが受けられます。
「受講者Myページ」サービス内容としては以下の通りです。
- 実務補習の受講状況の確認
- 当協会のイベントや研究会などの案内
- Myページから住所変更などの手続き
Myページの対象者としては、実務補習を受講申込した人となっています。
実務補習が修了して、中小企業診断士として登録するとこのサービスは終了します。
しかし、協会会員として入会した方は、引き続き「会員Myページ」のサービスが受けられます。
合格までに必要な学習期間は?
このように、1次、2次とも20%程度の合格率で、ストレート合格に至っては4%未満という難易度の高い資格となっているのが、中小企業診断士です。
では、いざ中小企業診断士の資格取得のために勉強を始めようとした場合、どの程度の学習期間が必要なのでしょうか?
中小企業診断士の1次試験は社労士、行政書士などのような徹底的な法律の暗記は不要で、むしろ、幅広い分野を浅く勉強するという感じになっています。
しかし、2次試験はマークシートではなく論述式ですから、内容をしっかり理解していないと解答できません。
そうした知識が身につくまでには、一般的に1,000時間以上の学習が必要だと言われています。
仕事をしながら取得を目指すのであれば、1日の学習時間は残業や出張などもあるため、均せば3時間程度でしょうから、330日遊ぶこともなく学び続けることが必要です。
つまり、取得には1年間必要であると言えますね。
通勤時間を利用して最短勉強時間で中小企業診断士に!
通常であれば、取得に最低でも1年はかかってしまう資格であるのが、中小企業診断士です。
そんな中小企業診断士の資格を最短で取得させてくれるのが「通勤講座」です。
「中小企業診断士 通勤講座」は、短期間で合格した人々の勉強法を徹底的に研究することで開発したオンライン講座です。
従来の資格講座とは違い、忙しい人でも効率的に勉強ができるように、スキマ時間を活かした学習に最適化されています。
現在、毎年多くの受講生が短期間で合格しており、通勤講座の効果が実証されています。
特に「仕事などで忙しい人」が「短期間で」合格しているのが特徴だと言えます。
「通勤講座」が短期間で無理なく合格させることが出来る理由は
- スキマ時間で学べるから続けられる
- 高速インプット学習
- アウトプット学習で合格力アップ!
- 学習マップ勉強法
- 圧倒的な低価格
の5つが挙げられます。
「1次2次合格コース」であれば、月々なんと2,906円からで始めることが出来ます。
「忙しくて時間がないけど、なんとかして中小企業診断士の資格を取得したい!」
という方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがですか。
正直言って中小企業診断士の資格は、たとえば外資系企業への転職におけるTOEIC900点をとっている、などのような転職の決め手になるものではありません。
あくまで最初に書いたように、実務経験があって、そこにプラスアルファすることで初めて生きる資格です。
したがって、ある程度の就業経験を積み、会社で中堅以上のポストになってから取得を目指す、ということが多いのが特徴です。
ですから、何を差し置いても取得したほうがよい、とは言えません。
しかし、取得すれば、転職上においても就職後の昇進においても間違いなくプラスです。
この記事を見て興味を持った方は、ぜひ中小企業診断士の資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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