事務職への転職には必須⁉ 「MOS」を徹底分析!
転職を決意した際、
「転職するにはやっぱり資格が必要かなぁ…」
と考える人は少なくありません。
こう思っている人なら一度は
「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」
という資格を目にしたことがあると思います。
現在、事務職を始めとして多くのビジネスにおいてパソコンを活用するのは当たり前となりました。
そうした時代において、このMOSという資格を保有していることはかなりの強みになると言えます。
しかし、転職志望者の中には
「そもそも、MOSがどういった資格なのか知らない…」
「MOS自体は知っているんだけど、何を勉強したらいいのか分からない…」
といった方もいると思います。
そこで、この記事ではMOSの概要と転職における重要性、試験内容など「MOSの全て」を徹底的に解説していきます。
MOSとは一体どのような資格なのか?
MOSとは「Microsoft Office Specialist」の頭文字を取ったものであり、WordやExcelといったMicrosoft Office製品の利用スキルを証明出来る資格です。
Microsoft Office製品ごとに試験が設けられており、
試験科目は
- Word(文書作成ソフト)
- Excel(表計算ソフト)
- PowerPoint(プレゼンテーションソフト)
- Access(データベース管理ソフト)
- Outlook(電子メール・情報管理ソフト)
の5種類が存在します。
また、Word・Excelに関しては
- スペシャリストレベル(一般)
- エキスパートレベル(上級)
の2段階の資格となっています。
加えて、ソフトはバージョンアップするたびに「Excel2010」から「Excel2013」のように、名称とともにオペレーションの内容も変わっていきます。
そのため、資格もそれぞれのバージョンごとになっています。
現在であれば、2019年版が最新のバージョンとなっていますので、資格取得の際も2019年版のMOSを取得するようにしましょう。
現在は、ほとんどの企業がWindowsベースのMicrosoft Office製品を使用しています。
データ管理はExcel、ビジネス文書はWord、商談用資料はPowerPoint…といったように、社内の公用文書はすべてMicrosoft Office製品で作成されていますので、MOSを取得していることは入社後すぐにそういった社内業務を任せられる、という即戦力の証明になります。
転職において、こうした即戦力の証明はかなり有利に働いてきます。
では実際に受験しようとした際、
スペシャリストレベルとエキスパートレベルのどちらを取得すればいいのかで迷う方もいらっしゃるかもしれませんね。
基本的な仕事をこなすことが出来ることを証明するのにはスペシャリストレベルで十分ですので、転職活動の上ではまずはスペシャリストレベルの取得を目指しましょう。
スペシャリストレベルとエキスパートレベルの違い(例:Word2016)
Word スペシャリスト(一般)
文字サイズやフォントの変更、表の作成・編集、作成した文書の印刷など、Wordでの基本的な編集機能を理解している方を対象とした資格
Word エキスパートレベル(上級)
スタイル機能や目次・索引作成などの長文機能、他のアプリケーションソフトからのデータ取り込みなど、Wordでの高度な機能を理解している方を対象とした資格
MOSの資格試験概要
こうした仕事上・転職上価値の高い資格であるMOSの資格試験に関する概要は以下のようになっています。
試験科目の一覧表
試験科目 バージョン
スペシャリストレベル(一般) エキスパートレベル(上級)
Word
(文書作成ソフト)Word365&2019 Word 365&2019 エキスパート
Word2016 Word2016 エキスパート
Word2013 Word2013 エキスパート Part1
Word2013 エキスパートPart2
Excel
(表計算ソフト)Excel 365&2019 Excel 365&2019 エキスパート
Excel 2016 Excel 2016 エキスパート
Excel 2013 Excel2013 エキスパート Part1
Excel2013 エキスパートpart2
PowerPoint
(プレゼンテーションソフト)PowerPoint 365&2019
PowerPoint2016
PowerPoint2013
Access
(データベース管理ソフト)Access 365&2019
Access2016
Access2013
Outlook
(電子メール・情報管理ソフト)Outlook2016
Outlook2013
(MOS 2013エキスパートレベルはPart1・Part2の2科目に合格すると認定証が発行されます)
試験レベル
試験科目 | スペシャリスト(一般)レベル | エキスパート(上級)レベル |
---|---|---|
Word (文書作成ソフト) | 文字サイズやフォントの変更、表の作成・編集、作成した文書の印刷など、Wordでの基本的な編集機能を理解している方 | スタイル機能や目次・索引作成などの長文機能、他のアプリケーションソフトからのデータ取り込みなど、Wordでの高度な機能を理解している方 |
Excel (表計算ソフト) | 数式や基本的な関数の作成、セルの書式設定、グラフ作成など、Excelでの基本的な操作を理解している方 | ピボットテーブルなどのデータ分析、条件付き書式や入力規則の設定、マクロの作成・編集など、Excelでの高度な機能を理解している方 |
受験資格は特に存在せず、年齢・国籍を問わず誰でも受験できます。
ただし、2回目以降の受験には以下のようなルールがあります。
- 同じ科目を2回目に受験する場合、前回の受験から1日(24時間)待つ必要があります。
- 3回目以降の受験は、前回の受験から2日間(48時間)待つ必要があります。
試験の形態は、コンピュータを使った実技試験(CBT)です。
試験時間は全科目・全バージョンとも50分間となっています。
受験料は、全科目共通となっており
- スペシャリストレベル(一般):10,584円
- エキスパートレベル(上級):12,744円
となっています。
試験当日の持ち物は
- 受験者IDとパスワード
- 受験票
- 写真付きの身分証明書
- 学生証(学割申込者のみ)
となっています。
写真付きの身分証明書とは
- 運転免許証
- パスポート
- 住民基本台帳カード
- 個人番号カード
- 社員証
- 学生証
のいずれか1点となります。
MOSの受験方法には
- 全国一斉試験
- 随時試験
の2通りがあります。
申込方法が異なるのみで、受験料や試験内容、合格認定証は全く同じとなっています。
全国一斉試験
試験実施日時は、毎月1回~2回となっており、試験会場は全国の一斉試験会場から選択できます。
また、申し込みは試験日の約1ヶ月~1ヶ月半前から申し込みが開始されます。
全国一斉試験における受験の流れは、以下の図の通りとなっています。
あらかじめ試験日程が決められているので、時間の融通が利きづらい社会人は受験しづらい方式かもしれませんね。
特に、転職活動と並行して資格取得を目指している方は全国一斉試験ではなく、次に紹介する随時試験での受験をオススメします。
随時試験
試験実施日時は、各試験会場が設定した日程や試験開始時間となっており、試験会場も全国の随時試験実施会場から選択できます。
随時試験における受験の流れは、以下の図の通りとなっています。
全国1,700の試験会場から会場や日程を選ぶことが出来るため、時間に融通の利きづらい社会人にはもってこいの受験方式と言えます。
試験内容や合格認定証は同じですので、その点も心配ありません。
MOSはなぜ転職時には必須の資格なのか?
ここまででMOSがどういった資格なのか、どのようにしたら受験できるのか、といったことについては理解していただけたかと思います。
しかし
「今の段階でMicrosoft Office製品は十分使えているから必要ないかなぁ…」
と思う方もいるかもしれません。
では、ここではなぜそこまでMOSが転職に必須の資格となっているのかについて解説していきます。
そもそも、転職において必須の資格・有利に働く資格とは?
まずは、そもそも資格とは転職するうえでどのような位置づけなのか、といった点について整理しましょう。
転職するうえでどのような資格でも持っていれば有利というわけではありません。
例えば現在
- バーベキューインストラクター
- 整理収納アドバイザー
- バルーンアーティスト
- ネイチャーゲームリーダー
- 防災士
- 会議エキスパート
- 夜景鑑賞士
- ドローン操縦士
といったニッチな資格取得がブームになっています。
参考記事:「30歳からでも取れる、ニッチだけど自慢できる資格8選 – BuzzFeed」
しかし、こういったニッチな資格は自身の趣味として取得することには意味がありますが、転職においてははっきり言って何の役にも立ちません。
転職する上で重要なことは、「企業から評価される」ことです。
こうした「企業から評価される」資格には以下のような特徴があります。
特徴①:高い汎用性
例えば、不動産業界など1つの業界に絞って転職活動をするのであれば「宅地建物取引士」の資格は意味がありますが、他業界の企業ではさほど有利になりません。
逆に、どの会社にも存在している「経理」で役に立つ「日本商工会議所簿記検定」を有している人材はどの企業も欲しがります。
このように、ある業界でのみ価値がある資格ではなく、どの業界・企業でも必要としているスキルが転職においては基本的に有利です。
特徴②:業務における必要性
資格はコンピュータの進化などによって、以前は価値のあったものが無価値になることもよくあります。
例えば、医療事務に係る資格が以前は医療関連施設で評価が高く人気となっていました。
しかし、現在は診療報酬の計算や申請といったレセプト業務がほぼ電子化され、医療事務の資格を持っていない人でも簡単に入力とレセプト業務ができるようになりました。
そのため、医療事務に係る資格は、レセプト業務が電子化されていない個人経営の病院への転職以外ではほぼ不要となってしまいました。
逆に、企業の海外展開が活発になってきたことで、事務職にはあまり関係のなかったTOEICなどの英語の資格が現在の転職上は非常に有利です。
このように、現在の時代背景の中で必要とされている資格が有利なのです。
特徴③:高い知名度
また、いくら取得に苦労した資格でも、応募先の企業の採用担当者が知っていないものは残念ながら評価されず、転職上特に有利にはなりません。
逆に、取得は比較的簡単でも、よく知られている資格の方が有利になります。
MOSが転職上有利に働く背景
では、MOSはここまで見てきた条件に合致する資格なのでしょうか?
まずは、「高い汎用性」ですね。
現在、企業におけるPCの浸透率(従業員一人当たりにつき一台以上のPCが導入されている比率)は
製造業
- 20人以下:20.2%
- 21人~300人:20.1%
- 301人以上:41.6%
非製造業
- 20人以下:50.4%
- 21人~300人:51.4%
- 301人以上:55.7%
となっています。
特に、非製造業においてはデスクワークが中心となるため、高い数値を示しており、約半数の企業がPCを一人一台体制で運用しています。
これだけPCが企業に導入されていれば、MOSを有している人材を欲しがる企業は多いと言えますね。
また、Microsoft Office製品であるExcelの導入状況は以下の通りです。
もはやグラフにするまでもなく、ほとんどの企業が導入していることが分かります。
これだけの企業がMicrosoft Office製品を導入しているわけですから、それに関する資格であるMOSの企業における「知名度も高い」と考えられます。
しかし、Excelの活用については以下のような結果も出ています。
なんと実に四分の一もの企業がExcelを導入してはいるものの、有効活用できていないのです。
ただし、企業の規模別では「有効活用できていない」と答えたのが大企業では6分の1であるのに対して、中堅企業・中小企業では3分の1以上となっています。
こうしたことから、MOSの「業務における必要性」は中小企業を中心として高まっていると言えます。
転職時にMOSを取得しておくメリット
こうした背景を踏まえて、転職時にMOSを取得するメリットについて説明します。
メリット①:事務職の仕事の必要スキルの習得証明になる
やはり、まず挙げられるのは事務職における業務上必須となるパソコンスキルの客観的な証明になることです。
現在、事務職の業務範囲は非常に広くなっています。
Excelを使った作業であれば
- 日報入力
- 勤怠入力
- チラシ作成
- 顧客管理
- 顧客データ作成
- 発注書・請求書作成
- 売上管理
- 仕訳入力
Wordを使った作業であれば
- 送付状作成
- チラシ作成
- 案内状作成
- 宛名作成(住所録印刷)
- 行政文書作成
PowerPointを使った作業であれば
- プレゼン資料作成
- チラシ作成
- 写真の加工
といったようにかなり多様化しています。
したがって、実技試験のみで実施されているMOSを取得していれば
「ExcelやWordが使える」
などといった目に見えない必須スキルを客観的に証明してくれ、こうした業務を効率的に行えることをアピールできます。
メリット②:未経験であることをカバーしてくれる
仮に、過去の職務経歴でMicrosoft Office製品の使用経験がなかった場合も、MOSを取得していれば、基本操作から応用操作までできることの証明になります。
特にエキスパートレベルまで取得していれば、転職上の未経験といった不利な要素を大きくカバーしてくれます。
メリット③:入社後に仕事効率化に貢献して評価を高められる
先ほども述べたように、中堅企業や中小企業は特にMicrosoft Office製品が導入されていても活用までには至っていません。
したがって、業務の効率化なども十分ではない可能性があります。
そういう企業に転職した場合、MOSで身につけたスキルを使えば業務を効率化することができます。
実際に、MOSを取得した従業員の88%が「仕事の成果が上がった」と回答しており、管理職の85%が「MOSを取得した従業員は仕事の生産性が以前より高まった」と回答しています。
こうした生産性の向上や業務の効率化は企業の業績にダイレクトに跳ね返りますので、入社後の査定評価が非常に高まる可能性が十分にあります。
MOSを取得した従業員の80%が「Microsoft Officeの知識とスキルで周囲から一目置かれるようになった」と回答していることからも、人材価値の向上にはかなり寄与していることが分かります。
また、選考段階でも、そのような活躍を企業が期待して採用につながることもあり得ます。
まとめ
いかがでしたか。
WordやExcelを始めとするMicrosoft Office製品は、「十分使える」と自分では思っていても、そのスキルを客観的に証明してもらわなければ、自身の人材価値には反映されません。
その証明がMOSなのです。
何時からでも勉強を始められる資格となっていますので、MOSの取得に遅すぎる、ということはありません。
ですから、事務職で転職を考えているのであれば、ぜひ自分の自信にもつながるMOSの取得を目指してみましょう!
また、現在スペシャリストを取得しているのであれば、転職後のスキルアップも考えて、エキスパートの取得も狙ってみてはいかがでしょうか?
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