宅地建物取引士とは?
宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法(通称:宅建業法)に基づき定められている国家資格者です。
不動産会社が行う、宅地や建物の売買、交換または貸借の取引に対して購入者などの利益の保護及び円滑な宅地及び建物の流通に資するように、公正かつ誠実に法に定める事務を行う、不動産取引法務の専門家なのです。
宅地建物取引士の専権業務としては
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名・押印
- 契約内容記載書への記名・押印
が挙げられます。
こうした専権業務の存在から、宅地建物取引業を営むには宅地建物取引士の設置が義務付けられています。
また、金融業界において、第二種金融商品取引業の不動産信託取引を行う場合や、不動産特定共同事業として不動産を資産とするファンドを運用する場合にも宅地建物取引士の設置が必要となります。
つまり、宅地建物取引士の資格を取得しておけば、不動産業界だけでなく、金融業界でもかなりの需要があるということですね!
また、「宅地建物取引主任者」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
「宅地建物取引主任者」とは、2014年の法改正まで使われていた言葉で、現在の「宅地建物取引士」のかつての名称となります。
ですから、現在は「宅地建物取引士」の資格を取得すればOKとなります!
宅地建物取引士の試験概要は?
試験の内容としては
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
- 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること
- 土地及び建物についての法令上の制限に関すること
- 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること
- 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること
- 宅地及び建物の価格の評定に関すること
- 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること
と定められています。
試験の方法は、50問の四肢択一式となります。
ただし、のちに説明する登録講習の修了者は45問となります。
その際に免除される項目は、上で示した試験内容の1と5に関する問題となります。
受験資格は特に存在せず、年齢・性別・学歴等の制約なく誰でも受験することが出来ます。
試験日は、毎年1回、10月の第3月曜日となっています。
実施時間は、13時から15時の2時間です。
ただし、登録講習の修了者は13時10分から15時までの1時間50分となります。
試験地は原則として、現在お住いの試験地(都道府県)での受験になります。
受験手数料は7,000円となっています。
いったん払い込まれた受験手数料は、申込みが受付されなかった場合を除いて返還されませんので、試験日程をしっかりと確認してから申し込むようにしましょう。
合格発表は原則として、12月の第1水曜日又は11月の最終水曜日に都道府県ごとに発表となります。
宅地建物取引士の試験への申し込み方法は?
宅地建物取引士の試験の受験手続の流れは以下の通りとなっています。
インターネット申込みと郵送申込みの2種類の申し込み方法があります。
宅地建物取引士の試験への申込み後の住所変更ってできるの?
申込み後の住所変更の際は、まずは郵便局へ転居届を提出してください(インターネットでも手続きは可能です)。
そうすると、試験会場通知や受験票は郵便局から新しい住所に転送されます。
次に、試験当日に各試験室の試験監督員から「データ修正票」の交付を受けて、新しい住所等を記入してください。
ただし、どのような理由であっても試験地(都道府県)の変更はできません。
また、本人の都合による、同一都道府県内の試験会場の変更もできません。
注意しておきましょう。
宅地建物取引士の登録講習って?
先ほども述べた、試験の一部が免除される「登録講習」は、宅地建物取引業に従事している方のみが受講することが出来ます。
登録講習修了試験の合格者のみが「登録講習修了者」として試験の一部免除がある試験を受験できます。
現段階で不動産業に従事している方で、宅地建物取引士の取得を考えている方は受講することをオススメします!
ちなみに、講習受講中の方は登録講習修了者として申し込むことはできませんので、必ず講習修了者証明を取得してから試験を申し込んでください。
宅地建物取引士の登録手続きって?
宅地建物取引士の試験に合格した方には、合格証書と共に「宅地建物取引士資格登録等の手続について」が渡されます。
今後、宅地建物取引士として業務に従事する際には、受験した試験地の都道府県の登録を受けなければなりません。
渡された「宅地建物取引士資格登録等の手続について」を熟読し、間違いのないように記入してください。
そして、各都道府県の登録窓口で登録手続きを行ってください。
ただし、登録できる方は
- 宅地建物取引業の実務の経験が2年以上ある者
- 国土交通大臣の登録を受けた宅地又は建物の取引に関する実務についての講習を修了した者
- 国、地方公共団体又はこれらの出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者
となります。
ちなみに、宅地建物取引士の資格は生涯有効となっており、更新の必要はありません。
宅地建物取引士の登録実務講習って?
登録できる方の条件の2に出てきた
「国土交通大臣の登録を受けた宅地又は建物の取引に関する実務についての講習」
は一般には「登録実務講習」と呼ばれています。
宅地建物取引士資格試験に合格した方で実務経験が2年に満たない方は、当該講習を修了することで「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められます。
この講習を修了すれば、資格登録の要件を満たすことが出来るわけです。
宅地建物取引士の試験の難易度は?
宅地建物取引士の資格試験のにおける過去11年間(平成19年度~29年度)の合格率は平均16.2%となっています。
5人に1人も受からないわけですから、資格試験の中では低い合格率となっていると言えます。
しかし、合格点としては、一般受験者が平均34点(50問中)、登録講習修了者が平均29点(45問中)です。
合格ラインとしては一般受験者が68%、登録講習修了者が64%の得点率になりますから、高得点でなければ受からない、という訳ではなさそうです。
もちろん、年度ごとに試験の難易度や受験者の質によって合格ラインは微妙に変わってきます。
不動産適正取引推進機構のホームページには、直近3ヶ年の試験問題及び正解番号表が掲載されていますので、参考にしてみてください。
また、試験終了後には、資格取得の専門予備校各社が予想合格ライン速報を出してくれますので、自己採点の参考にしてみてはいかがでしょうか?
宅地建物取引士は独学で受かるの?
宅地建物取引士の資格試験に必要な勉強時間は、知識ゼロからスタートする場合は約300時間だとされています。
ある程度基礎知識がある方でも約200時間は必要とされていますので、「書店に行って自分で適当に選んだ参考書だけで勉強する」という意味での独学では合格は難しいと思います。
しかし、不動産業への転職を考えている転職志望者を中心として社会人にはTACなどの資格専門予備校に通う時間はありませんよね…。
そんな社会人の方が時間を無駄にせずに宅地建物取引士の資格試験に合格するための「通信講座」を紹介します!
受講者20,000人突破!学びを革新するオンライン講座「通勤講座」
通勤講座は、スマートフォンやPC、タブレットといった持ち運びに便利なデバイスで受講できるので、通勤時間や移動時間、昼休みといった「スキマ時間」で気軽に勉強できる通信講座です。
また、初心者でも分かりやすい30分前後のビデオ講座ですので、テレビを見ているような感覚でインプット学習を行うことが出来ます。
ビデオ講座などのインプット学習の後には、通勤問題集・セレクト過去問集といった良質なアウトプット教材を解くことで、「問題演習をしながら実力をつけること」が出来ます。
「宅建士合格コース【2018年度試験対応】」は、基礎から着実に学ぶことが出来るので、宅地建物取引士のの初学者にはオススメのコースとなっています。
価格は、一括だと19,800円(税込)、分割は月々1,784円の12回払いからとなっています。
また、「紙で勉強した方がはかどる」という方のために、基本講座がテキストになった冊子版のオプションも6,980円(税込)で利用できます。
まずは無料の
- 無料セミナー「失敗しない 宅建合格法 5つのルール」
- 宅建士 通勤講座の初回版
を試してみてはいかがでしょうか?
働く人のキャリアアップを支援する「LEC東京リーガルマインド」
資格専門予備校のイメージが強いLECですが、LECリーガルマインドの名前で通信教育ももちろん行っています。
LECの魅力は何と言っても、その合格率の高さでしょう。
2017年度の宅地建物取引士試験におけるLEC受講生の合格率は、なんと驚異の72.1%です!
同年度の受験者全体の合格率が15.6%であることを考えると、素晴らしい実績ですよね。
また、LECは宅地建物取引士試験における様々なコンテンツを有しています。
各種コースも
- 速習・短期学習者向け(89,640円~)
- 学習経験者向け(108,000円~)
- 初学者向け(118,800円~)
と受講者に応じたコースとなっています。
また、模擬試験や直前対策講座だけでなく、LEC専任講師が独自プロデュースする個性豊かなオリジナル講義「講師オリジナル道場」もあります。
他にも、書籍・教材や特別講座も充実しています。
まずは、おためしWeb受講制度で講座の一部を無料で試してみてはいかがでしょうか?
宅地建物取引士の取得で有利になる求人は?
宅地建物取引士の資格を有していることで有利になる求人の代表例は、やはり不動産業界です。
平成27年の不動産業界の平均年収は424万円となっており、同年度の日本人の平均年収420万円をやや上回る結果となっています。
不動産会社の中途採用求人で多い職種は「営業職」であり、宅地建物取引士の資格が必須というわけではありません。
なぜなら、不動産業界の営業職には「営業成績を上げられる人材」が必要なのであり、あくまでも宅地建物取引士の資格を持っていることは「優遇」程度にしかなりません。
しかし、不動産会社には営業部署だけでなく、開発や用地取得といった「仕入部署」も存在しています。
仕入部署の場合は、物件調査や市場調査に始まり、その土地に建築可能な建物のスペックを描く能力や、地権者との交渉、物件取得後は近隣との折衝、といった具合に業務が多様かつ複雑になっているので、宅地建物取引士の資格は「必須」となっています。
「なら、不動産業界で営業をやるには宅地建物取引士の資格は要らないんだ!」
確かにその通りです。
しかし、不動産業界の離職者の多くは営業成績を上げられずに辞めていく営業職の方なのです。
「一生を不動産営業に捧げるのだ!」
という強い気概を持った方なら構いませんが、
「不動産業界で多様なキャリアを積んでいきたい!」
と考えている方は是非、宅地建物取引士の資格を取ることをオススメします!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 宅地建物取引士とはどういった資格なのか?
- 宅地建物取引士の資格試験の概要は?
- 宅地建物取引士の登録講習とは?
- 宅地建物取引士の登録手続きはどうやるの?
- 宅地建物取引士の試験の難易度は?
- 宅地建物取引士の試験は独学で受かるのか?
- 宅地建物取引士の資格で有利になる求人とは?
といった宅地建物取引士に関する今さら聞けない疑問について見てきました。
不動産業界への就職・転職を考えている方は是非、宅地建物取引士の資格取得を検討してみてくださいね!
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