北海道の理学療法士の推定平均年収は約395万円です。本記事では、施設タイプ・地域手当・物価差という3つの要因、経験年数別の年収推移、生活コストとのバランス、そして年収を上げる具体的な方法までを、公開資料ベースで詳しく解説します。
「北海道で理学療法士として働くと、年収はどのくらいになるのか」「都市部と比べて損をしているのではないか」——こうした疑問を持つ方は少なくありません。北海道は全国でも有数の広大な面積を持ち、高齢化が著しく進む一方で、医療機関や介護施設が広範囲に分散しているという独特の地域特性を持っています。この特性が、理学療法士の働き方と収入のあり方に直接影響しています。
結論から言えば、北海道の理学療法士の推定平均年収は約395万円で、全国平均の420万円と比べるとやや低い水準にあります。ただし、この額面の数字だけで「北海道は不利」と判断するのは早計です。生活コストの低さ、訪問リハビリ需要の高さ、そして本人のキャリア戦略次第で、実質的な豊かさや到達できる年収は大きく変わってきます。本記事では、額面の数字の背景にある構造を一つずつ丁寧に読み解いていきます。
北海道の理学療法士の年収を左右する3つの要因
北海道の理学療法士の年収は一律ではなく、勤務する施設のタイプ、地域手当の有無、物価・生活費の差という3つの要因によって大きく変わります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
要因①:施設タイプによる年収差
理学療法士の勤務先は、大きく分けて病院・クリニック・介護施設・訪問リハビリの4つに分類されます。北海道ではとくに高齢化の進行が著しく、介護施設や訪問リハビリテーションの需要が高まっています。どの施設タイプを選ぶかは、年収水準だけでなく、働き方や身につくスキル、将来のキャリアパスにも関わってくるため、自分の志向と照らし合わせて検討することが大切です。
北海道における主要な雇用先としては、北海道大学病院、札幌医科大学附属病院、手稲渓仁会病院、旭川医科大学病院などの大規模病院のほか、社会医療法人孝仁会や医療法人渓仁会グループなどの道内大手医療法人があります。また、介護分野ではセントケア北海道や地域の訪問リハビリ事業所が多数存在します。大規模病院は教育体制や福利厚生が整っている一方、給与は比較的横並びで急激な昇給は望みにくく、逆に民間の中小施設や訪問系は施設ごとの裁量で待遇に幅が出やすいという特徴があります。
| 施設タイプ | 推定年収 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大学病院・総合病院 | 400万〜450万円 | 昇給制度が整備、賞与4〜5ヶ月分が一般的 |
| 一般病院(中小規模) | 370万〜410万円 | 病院により差が大きい、回復期は需要高 |
| クリニック(整形外科等) | 360万〜400万円 | 残業少なめ、ワークライフバランス重視向き |
| 介護施設(老健・特養等) | 350万〜400万円 | 処遇改善加算で年収アップ傾向 |
| 訪問リハビリ | 400万〜460万円 | インセンティブ制度あり、件数に応じて収入増 |
| 訪問リハビリ | ██████████████████████ | 460万円 |
| 大学病院 | ██████████████████████ | 450万円 |
| 一般病院 | ████████████████████ | 410万円 |
| クリニック | ███████████████████ | 400万円 |
| 介護施設 | ███████████████████ | 400万円 |
注目すべきは訪問リハビリの年収水準の高さです。北海道は広大な面積に対して医療機関が分散しているため、訪問リハビリの需要が特に高く、1件あたりのインセンティブ手当を設定している事業所も多いです。積極的に訪問件数をこなせば年収450万円以上も十分に狙えます。一方で、訪問系は移動時間が長く天候の影響も受けやすいため、冬季の積雪・路面凍結が業務効率にどう影響するかも踏まえて選ぶ必要があります。
大学病院・総合病院は年収の上限が高く設定されている一方、組織が大きいぶん昇給ペースは緩やかで、年功序列的な要素が残る職場も少なくありません。逆にクリニックや介護施設は年収の絶対額こそ抑えめですが、残業が少なくワークライフバランスを取りやすい、処遇改善加算で底上げが進んでいるといった別の魅力があります。どの数字を重視するかは、ライフステージや家庭の状況によっても変わるため、「年収の上限が高い=自分にとってベスト」とは限らない点に注意が必要です。
なお、北海道の理学療法士の全国的な位置づけや、職種そのものの年収構造をより広く知りたい場合は、理学療法士の平均年収の全国版データもあわせて確認すると、地域差と職種全体の傾向を切り分けて理解しやすくなります。
要因②:地域手当による差
公務員やそれに準じる給与体系をとる病院では「地域手当」が支給されます。地域手当とは、民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当で、国家公務員の場合は基本給の0〜20%が加算されます。同じ職種・同じ等級でも、勤務地がどこかによって支給額が変わる仕組みであり、地方在住の医療職にとっては年収差を生む大きな要因の一つです。
北海道の場合、札幌市の地域手当は3%です。これは東京都特別区の20%、大阪市の16%と比べると大幅に低い水準です。このため、公的病院に勤務する場合は都市部との年収差が開きやすくなります。
| 地域 | 地域手当率 | 基本給30万円の場合の月額加算 |
|---|---|---|
| 東京都特別区 | 20% | 60,000円 |
| 大阪市 | 16% | 48,000円 |
| 名古屋市 | 15% | 45,000円 |
| 札幌市 | 3% | 9,000円 |
| 旭川市・函館市等 | 0% | 0円 |
| 東京特別区 | ██████████████████████ | 20% |
| 大阪市 | ██████████████████ | 16% |
| 名古屋市 | ████████████████ | 15% |
| 札幌市 | ███ | 3% |
| 旭川・函館等 | █ | 0% |
札幌市以外の北海道の都市(旭川市・函館市・帯広市・釧路市など)では地域手当が0%となるため、公的病院勤務の場合はこの差がそのまま年収に反映されます。年間にすると、東京との差は約61万円(月額約5.1万円×12ヶ月)にもなります。ただし、民間病院では独自の手当体系をとっているため、地域手当の有無だけで年収は判断できません。寒冷地手当や住宅手当、夜勤・オンコール手当など、施設ごとの手当構成を総合して見る必要があります。
地域手当は基本給に連動するため、基本給そのものが高い職場であれば、たとえ手当率が低くても総額で見劣りしないこともあります。求人を比較する際は「地域手当率」という単一の指標に引きずられず、提示された基本給・各種手当・賞与月数を合算した年収ベースで判断することが、判断を誤らないためのポイントです。
要因③:物価差・生活費の違い
年収の額面だけを比較すると北海道は不利に見えますが、生活コストの低さを考慮すると実質的な豊かさは異なります。総務省「消費者物価地域差指数」によれば、北海道の物価水準は全国平均を下回っており、特に住居費の差が顕著です。
| 費目 | 北海道 | 東京都 | 全国平均 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 99.0 | 104.5 | 100.0 |
| 住居 | 86.2 | 131.2 | 100.0 |
| 食料 | 101.5 | 103.8 | 100.0 |
| 光熱・水道 | 108.5 | 95.3 | 100.0 |
| 総合 | ████████████████████ | 99.0 |
| 住居 | █████████████████ | 86.2 |
| 食料 | █████████████████████ | 101.5 |
| 光熱・水道 | ██████████████████████ | 108.5 |
北海道の住居費は全国平均の86.2と大幅に低いことがわかります。一方で、光熱・水道費が108.5と高いのが北海道ならではの特徴です。冬場の暖房費がかさむため、灯油代やガス代が全国平均を上回ります。それでも住居費の安さがこれを十分にカバーしており、トータルの生活コストは東京より年間数十万円低くなるのが一般的です。総合指数が99.0と全国平均をわずかに下回っている点からも、北海道は「住みやすさと支出のバランスが取れた地域」だと言えます。
北海道の理学療法士 経験年数別の年収推移
理学療法士の年収は経験年数によっても大きく変わります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータから、北海道における理学療法士の経験年数別年収を推計しました。一般的に、医療職は新卒時の年収が他業種と比べて極端に低いわけではないものの、その後の伸び幅が緩やかになりやすいという特徴があります。そのため、どのタイミングでどんな選択をするかが、生涯年収を左右します。
| 経験年数 | 推定年収 | 推定月収(手取り目安) | キャリアステージ |
|---|---|---|---|
| 1年目(新卒) | 300万〜330万円 | 約18万〜20万円 | 一般職員 |
| 3年目 | 340万〜370万円 | 約20万〜22万円 | 一般職員(一人前) |
| 5年目 | 370万〜400万円 | 約22万〜24万円 | 中堅・チームリーダー候補 |
| 10年目 | 420万〜460万円 | 約25万〜28万円 | 主任・リハビリ科副主任 |
| 20年目 | 480万〜530万円 | 約29万〜33万円 | リハビリ科長・管理職 |
| 1年目 | ██████████████ | 330 |
| 3年目 | ███████████████ | 370 |
| 5年目 | █████████████████ | 400 |
| 10年目 | ███████████████████ | 460 |
| 20年目 | ██████████████████████ | 530 |
新卒1年目は年収300万円台前半からスタートし、経験を積むにつれて徐々に上昇していきます。大きな転換点は10年目前後で、主任やリーダーなどの役職に就くことで管理職手当が加算され、年収420万円を超えるケースが増えてきます。
20年目で管理職(リハビリテーション科長等)になると年収500万円前後に到達しますが、理学療法士は一般的に管理職ポストが限られるため、年収の天井を突破するには意識的なキャリア戦略が必要です。この点については後述する「年収を上げる方法」で詳しく解説します。新卒から3年目、5年目あたりまでの伸びは比較的緩やかで、ここで「同じ職場に居続けるべきか」「専門性を磨いて市場価値を高めるべきか」を一度立ち止まって考えることが、後々の年収カーブを大きく左右します。
同じリハビリ職である作業療法士や言語聴覚士も、年収カーブの形はおおむね似た傾向を示します。北海道内の近接職種の状況を知りたい場合は、北海道の作業療法士の年収データと見比べると、職種ごとの違いと地域共通の傾向の両方が見えてきます。
北海道の生活コスト vs 年収のバランス分析
北海道の理学療法士の年収は額面では全国平均を下回りますが、生活コストを加味すると実質的な豊かさは異なります。ここでは、理学療法士の一人暮らしを想定して、北海道(札幌市)と東京都(23区)の生活費を具体的に比較します。
| 項目 | 札幌市 | 東京23区 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 家賃(1LDK) | 4.5万円 | 10.0万円 | ▲5.5万円 |
| 食費 | 3.5万円 | 4.0万円 | ▲0.5万円 |
| 光熱費(暖房込み) | 1.5万円 | 1.0万円 | △0.5万円 |
| 交通費 | 0.8万円 | 1.2万円 | ▲0.4万円 |
| 通信費 | 0.8万円 | 0.8万円 | ±0万円 |
| 合計 | 11.1万円 | 17.0万円 | ▲5.9万円 |
月額の基本生活費だけで約5.9万円、年間にして約71万円の差があります。北海道の理学療法士の年収は全国平均より約25万円低いとお伝えしましたが、生活コストの差(約71万円)を考慮すると、実質的には北海道のほうが約46万円有利という計算になります。額面の年収という一面的な比較ではなく、「手元にいくら残るか」という可処分所得の視点で見ることで、地方で働くことの経済的な意味合いが大きく変わってくるのです。
とくに家賃の差は圧倒的です。札幌市中心部でも1LDKが4〜5万円で借りられるのに対し、東京23区では同じ広さで10万円前後が相場です。北海道では車通勤が一般的な地域も多いため、車の維持費(月2〜3万円程度)を加味しても、トータルの生活コストは東京より大幅に低くなります。住居にかける費用を抑えられる分を貯蓄や自己投資に回せるという点は、長期的なライフプランを考えるうえで見逃せないメリットです。
なお、北海道特有の出費として冬場の暖房費と冬タイヤ交換費用(年1回約3〜5万円)がある点には留意が必要です。それでも住居費の優位性がこれらを十分にカバーしています。生活コストの感覚は人によって異なるため、求人を検討する際は「その地域で実際に暮らしたときの月々の支出」をイメージしながら、提示年収を読み解くとよいでしょう。
北海道で理学療法士が年収を上げる5つの方法
北海道で理学療法士として働きながら年収を上げるには、具体的な戦略が必要です。ここでは実現可能性の高い5つの方法を紹介します。いずれも特別な才能を必要とするものではなく、日々の業務の延長線上で意識的に取り組めるものばかりです。
方法①:認定・専門理学療法士の資格を取得する
日本理学療法士協会が認定する認定理学療法士や専門理学療法士の資格を取得することで、施設によっては月額5,000円〜20,000円の資格手当が支給されます。年間にすると6万〜24万円の年収アップにつながります。
とくに北海道では整形外科領域や脳血管障害領域の認定資格が重宝されます。冬場の転倒による骨折や脳卒中のリハビリ需要が高い北海道では、これらの専門性を持つ理学療法士への評価が高い傾向にあります。資格手当そのものの金額以上に、「専門性を持つ人材」としての評価が高まることで、昇進や転職時の交渉において有利に働くという二次的な効果も期待できます。
また、呼吸療法認定士や心臓リハビリテーション指導士など、関連資格を複数取得することで、より高い評価と待遇を得られる可能性があります。資格取得には学習時間と受験費用がかかりますが、長期的に見れば自身の市場価値を底上げする確実な投資になります。どの領域の専門性を磨くかは、自分が将来どんな現場で働きたいかという理想像から逆算して選ぶとよいでしょう。
方法②:訪問リハビリ・在宅分野へ転身する
前述のとおり、訪問リハビリは北海道において最も年収水準が高い領域のひとつです。1件あたり3,000〜5,000円のインセンティブを設定している事業所もあり、月に80〜100件程度訪問できれば、基本給+インセンティブで年収450万円以上を狙うことも可能です。
北海道は高齢化率が全国平均を上回っており(2025年時点で約34%)、地方部では通院が困難な高齢者も多いため、訪問リハビリの需要は今後もさらに拡大すると見込まれます。将来性の面でも有望な選択肢です。一方で、訪問系は単独で利用者宅を訪れて判断を下す場面が多く、臨床経験の蓄積やリスク管理能力が求められます。病院で一定の経験を積んでから在宅分野へ移るというキャリアの組み立て方が、安定して高収入を得るうえでは現実的です。
方法③:管理職・リーダーポジションを目指す
リハビリテーション科の主任・副科長・科長といった管理職に就くことで、管理職手当として月額2万〜5万円が加算されるのが一般的です。年間で24万〜60万円の年収アップとなります。
管理職を目指すためには、臨床スキルだけでなく、後輩指導やマネジメント能力、診療報酬の知識なども求められます。5〜10年目あたりから意識的にリーダーシップを発揮する機会を作っていくことが重要です。管理職ポストは数が限られるため、現職での昇進が見込みにくい場合は、ポストに空きのある施設へ転職することで一足先に管理職を経験するという選択肢もあります。より専門性が高く責任の重い役割ほど待遇が上がる傾向があるため、自分がどのレイヤーで貢献したいかを早い段階で見定めておくことが、キャリアの停滞を避けるうえで効果的です。
方法④:転職で年収交渉を行う
同じ職場で昇給を待つよりも、転職のタイミングで年収交渉を行うほうが大幅な年収アップにつながるケースが多いのが現実です。特に経験5年以上の理学療法士であれば、転職時に30万〜50万円の年収アップを実現する事例も珍しくありません。
北海道では、札幌圏の大規模病院や回復期リハビリテーション病棟を持つ施設が比較的好待遇で、人材確保のために待遇改善を進めている施設も増えています。転職エージェントを活用して非公開求人にアクセスすることで、好条件の求人に出会える可能性が高まります。自分の現在の市場価値がどの程度なのかは、転職エージェントに無料で相談することで客観的に把握でき、年収交渉の根拠としても活用できます。
転職活動を成功させるうえでは、応募書類と面接の準備が要になります。職務経歴書では「担当した疾患領域」「対応した患者数や症例」「チームでの役割」を具体的に記述し、自分が何を提供できる人材なのかを採用側がイメージしやすいように整理します。面接では、なぜ転職したいのか、転職先で何を実現したいのかを一貫したストーリーで語れるよう準備しておくと、年収交渉の場面でも説得力が増します。複数の選択肢を並行して進めることで、焦らずに条件を比較できる点も重要です。
方法⑤:副業・ダブルワークで収入源を増やす
就業規則で副業が認められている場合、休日のデイサービスでの非常勤勤務やスポーツトレーナーとしての活動、セミナー講師などで追加収入を得る方法もあります。北海道では冬季スポーツ(スキー・スノーボード等)関連のスポーツリハビリの需要もあり、スポーツ分野の知識がある理学療法士は副業の機会が広がります。
また、近年ではオンラインでの健康相談やリハビリ指導のニーズも高まっており、場所を問わず副収入を得られる環境が整いつつあります。月に3〜5万円の副収入でも、年間では36万〜60万円の収入増になります。ただし、本業の就業規則で副業が認められているかを必ず事前に確認すること、そして体力的に無理のない範囲で取り組むことが前提です。副業は単なる収入源としてだけでなく、本業では得られない経験や人脈を広げ、結果的にキャリアの選択肢を増やす場としても機能します。
北海道の理学療法士の働き方とキャリアの考え方
年収という数字だけに目を向けると見落としがちですが、北海道で理学療法士として長く働くうえでは、働き方そのものの質や、自分がどんなキャリアを描きたいのかという視点が欠かせません。ここでは、数字に表れにくい部分を整理しておきます。
福利厚生・働きやすさをどう見るか
理学療法士の職場選びでは、基本給や賞与といった金銭面に加えて、研修制度・休暇の取りやすさ・育児や介護との両立支援といった福利厚生面も重要な判断材料になります。大規模病院は教育プログラムや学会参加の支援が手厚い一方、クリニックや介護施設は勤務時間が読みやすく、プライベートとの両立がしやすい傾向があります。どちらが優れているということではなく、自分のライフステージで何を優先したいかによって最適解は変わります。求人票の数字だけでは見えにくいこうした要素は、面接や職場見学の場で実際の雰囲気を確かめることで把握できます。
口コミ・評判の定性的な読み解き方
転職を検討する際、職場の口コミや評判は気になるものですが、これらは個人の主観や一時的な状況に左右されやすいため、定性的な傾向として捉えるのが賢明です。たとえば「残業が多い」という声が複数あれば、その施設の繁忙度や人員体制を面接で確認する手がかりになります。逆に「教育体制が整っている」「人間関係が良い」といった声が多ければ、長く働ける環境である可能性が高まります。重要なのは、単一の口コミを鵜呑みにせず、複数の情報源を突き合わせて全体像を掴むことです。実際の数字や条件は、最終的に自分の目と耳で確認する姿勢が欠かせません。
キャリアパスの選択肢を広く持つ
理学療法士のキャリアは、臨床一筋で専門性を極める道だけではありません。管理職としてマネジメントを担う道、訪問・在宅領域で地域医療を支える道、教育・研究分野へ進む道、あるいは予防・健康増進やスポーツ分野へ活動の場を広げる道など、選択肢は多岐にわたります。北海道という地域特性を踏まえれば、高齢者の在宅支援や地域包括ケアの担い手としての需要は今後も底堅く推移すると考えられます。早い段階から「自分はどの方向に進みたいのか」を意識し、それに必要なスキルや資格を計画的に積み上げていくことが、結果として年収にも働きがいにも結びついていきます。
その意味で、定期的に自分の市場価値を客観的に確認しておくことには大きな意義があります。転職する・しないにかかわらず、転職エージェントの無料相談を通じて現在の評価や求人動向を把握しておけば、いざという時に冷静な判断ができ、年収交渉の場面でも有利に立ち回れます。
転職活動を始めるタイミングの考え方
転職を考えるとき、多くの人が「今がベストなタイミングなのか」と悩みます。理学療法士の場合、一般論として動きやすいのは、ひとつの施設で一定の臨床経験を積み、自分の強みや志向がはっきりしてきた時期です。経験が浅いうちは選択肢が限られがちですが、専門領域での実績やリーダー経験が積み上がってくると、提示される条件の幅が広がります。逆に、職場環境への不満が積もりすぎて心身に余裕がなくなってから動こうとすると、冷静な比較検討が難しくなりがちです。日頃から求人情報や業界動向にアンテナを張り、好条件の話が出たときにすぐ動ける状態を作っておくことが、結果として満足度の高い転職につながります。
また、転職は必ずしも年収アップだけを目的にするものではありません。通勤負担の軽減、希望する専門領域への挑戦、ワークライフバランスの改善など、人によって優先順位は異なります。自分にとって何が最も重要なのかを言語化しておくことで、複数の求人を比較する際の判断軸が定まり、目先の条件に惑わされずに納得のいく選択ができるようになります。エージェントを利用する場合も、こうした希望を最初に明確に伝えておくことで、ミスマッチの少ない求人を紹介してもらいやすくなります。
北海道という地域に腰を据えて働きたいのか、将来的に道外への移動も視野に入れるのかによっても、選ぶべきキャリアの道筋は変わってきます。地域に根ざした医療・介護の担い手として専門性を深めるのか、より幅広い経験を求めて環境を変えていくのか——どちらにも価値があり、正解はひとつではありません。自分の人生設計と照らし合わせながら、納得感のある選択を重ねていくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 北海道の理学療法士の初任給はどのくらいですか?
北海道の理学療法士の初任給は、月額20万〜24万円(額面)が相場です。手取りでは17万〜20万円程度となります。大学病院や大手医療法人では初任給がやや高めに設定される傾向があり、賞与を含めた1年目の年収は300万〜330万円が目安です。札幌市内の施設は他の地域よりやや高く、地方部の小規模施設はやや低めとなる傾向があります。なお、北海道では寒冷地手当として月額数千円〜1万円程度が支給される施設もあり、これが道外にはない北海道特有のメリットとなっています。
Q. 北海道と東京、理学療法士の手取りの差はどのくらいですか?
額面年収では北海道が約395万円、東京が約450万円で約55万円の差があります。しかし、手取りベースで比較すると北海道が約310万円、東京が約350万円程度となり、差は約40万円に縮まります。さらに生活コスト(家賃・食費等)の差を加味すると、可処分所得(自由に使えるお金)は北海道のほうが多くなるケースも十分にあります。年収の額面だけでなく、生活コストを含めたトータルで判断することが重要です。
Q. 北海道で理学療法士の求人が多いエリアはどこですか?
求人数が最も多いのは札幌市で、北海道全体の求人の約40〜50%が集中しています。次いで旭川市、函館市、帯広市、釧路市が多く、これらの都市には中核病院やリハビリテーション専門病院が複数あります。一方、地方の過疎地域では理学療法士が不足しているため、好条件の求人が出ることもあります。へき地医療に関心がある方は、北海道庁の「医療従事者確保対策事業」などを通じて優遇制度を受けられる場合もあるため、チェックしてみることをおすすめします。
Q. 北海道の理学療法士は年収を上げられますか?
はい、十分に可能です。本記事で紹介したとおり、認定・専門資格の取得、訪問リハビリ・在宅分野への転身、管理職への昇進、転職による年収交渉、副業による収入源の確保など、複数のアプローチがあります。とくに経験5年以上で専門性を持つ理学療法士であれば、転職や役職就任を通じて年収を引き上げられる余地は大きいといえます。重要なのは、漫然と勤続するのではなく、自分のキャリアの方向性を明確にし、それに沿って計画的にスキルや資格を積み上げていくことです。
まとめ
北海道の理学療法士の推定平均年収は約395万円で、全国平均の420万円と比べると約25万円低い水準です。しかし、北海道の生活コストの低さを考慮すると、実質的な生活水準は全国平均と同等か、それ以上になるケースもあります。
年収を左右する主な要因は、施設タイプ(訪問リハビリが最も高い)、地域手当(札幌市は3%、その他は0%)、物価差(住居費が全国平均の86%)の3つです。経験年数を重ねて管理職に就けば500万円台も十分に到達可能であり、認定資格の取得や訪問リハビリへの転身、戦略的な転職活動によって年収アップを目指すことができます。
北海道は豊かな自然環境に恵まれ、ワークライフバランスを重視する理学療法士にとって魅力的な勤務地です。年収の額面だけにとらわれず、生活の質や将来のキャリアパスを含めた総合的な視点で、北海道での理学療法士キャリアを検討してみてください。自分の市場価値や好条件の求人を把握するには、転職エージェントへの無料相談から始めるのが効率的です。
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