※この記事はPR(広告)を含みます。
SES3年目で自社開発へ移る道は、常駐先での経験を「チームで何を改善したか」に書き直せれば開けると考えられます。条件は、求人票の「業務と就業場所の変更の範囲」で客先常駐の有無を確かめることと、年収が下がる場合も想定しておくことです。自社開発に届かないときは、社内SE・受託・元請SIerを経由して抜ける道もあります。
常駐先が変わるたびに仕事を覚え直し、3年たっても自分で作った物が手元に残らない。SESを抜けたい、自社開発に移りたいと考える人の多くは、その手応えの無さに引っかかっていると考えられます。
SESを3年目で抜けたい理由と、自社開発と比べる前に知る契約の仕組み
SESは準委任契約で、作業の指示はSES会社側が出すのが本来の形
SESは一般に、SES会社と常駐先が結ぶ準委任契約の形をとります。民法では、請負は仕事の完成を約束して結果に報酬を払う契約、準委任は法律行為でない事務の委託とされています。
派遣との違いは、常駐先があなたに直接指示を出せるかどうかです。請負や準委任では、注文主と働く人の間に指揮命令関係が生じない点が派遣との違いとされています。
| 契約の形 | 約束するもの | 作業を指示する人 |
|---|---|---|
| 請負 | 仕事の完成(結果に報酬) | 受注した会社 |
| 準委任(SESで多い形) | 事務の処理(作業そのもの) | 受注した会社(SES会社) |
| 労働者派遣 | 労働力の提供 | 派遣先 |
派遣と請負の区分は、昭和61年労働省告示第37号の基準で判断されます。
常駐先から直接指示を受けているなら、偽装請負の可能性がある
東京労働局は、書類上は請負や準委任でも実態が派遣であるものを「偽装請負」とし、違法と説明しています。発注者から直接業務の指示や命令を受けている場合は、その可能性が高いとしています。
厚生労働省のガイドも、アジャイル型開発で準委任契約を結んでいても、実態として指揮命令関係があれば労働者派遣事業に当たるとしています。次のような状態が続いているなら、SES会社に確認する材料になると考えられます。
- 作業の割り振りや残業の指示を、常駐先の社員から直接受けている
- 勤怠や休暇の承認を、常駐先の担当者が行っている
- SES会社の責任者が、現場の作業管理にまったく関わっていない
常駐先の社員と同じように指示されているのに、待遇はSES会社の基準のままという状態は、抜けたい理由として十分に筋が通ると考えられます。
3年目で抜けたい理由は、賃金・将来・仕事内容に集まりやすい
厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、自己都合で辞めた理由の上位は「賃金が低かったから」25.5%、「会社の将来に不安を感じたから」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%でした。IT職に限った数字ではありませんが、SES3年目の悩みと重なる部分が多いと考えられます。
SESでは、この悩みが商流の構造とつながりやすくなります。経済産業省の資料は、下請企業の労働生産性が1人1時間あたり3,719円で、元請企業の6,415円の6割程度にとどまると示しています。
- 賃金:商流の深さで単価が決まり、自分の工夫が給与に届きにくい
- 将来:常駐先が変わるたびに経験が分断され、強みが積み上がりにくい
- 仕事内容:作業範囲が契約で決まり、設計や改善に関わりにくい
どの理由で抜けたいのかを分けておくと、自社開発が本当に答えになるかを判断しやすくなります。
SESと自社開発の違いを、3年目の仕事内容と求人票で比べる
SESは契約した作業、自社開発は自社サービスの成果で評価される
SESでは、評価の土台が常駐先との契約と単価になりやすいと考えられます。自社開発では、自社サービスの売上や使われ方に、開発チームの仕事がどう効いたかが見られます。
| 比べる点 | SES(客先常駐) | 自社開発 |
|---|---|---|
| 仕事の決まり方 | 常駐先との契約で作業範囲が決まる | 自社の事業計画とチームの優先度で決まる |
| 役割 | 割り当てられた工程の担当 | 企画から運用まで広く関わることがある |
| 評価する人 | SES会社の上司(現場を見ていないこともある) | 同じチームの上司・同僚 |
| 給与の動き方 | 単価と商流に左右されやすい | 会社の業績と評価制度に左右されやすい |
| 働く場所 | 常駐先ごとに変わる | 自社オフィスや自社のリモート規程 |
自社開発の選考では、「言われた作業をこなせる」より「サービスを良くするために何を考えたか」が問われると考えられます。
自社開発へ移るメリットとデメリット
自社開発には、同じコードに長く関われる良さがあります。一方で、SESより触れる技術の幅が狭くなる面もあります。
- メリット:同じサービスを継続して改善でき、成果が職務経歴に残る
- メリット:評価する人が同じ現場にいて、仕事ぶりが伝わりやすい
- デメリット:使う技術が自社の構成に固定されやすい
- デメリット:サービスの業績が悪くなると、給与や雇用に直接響く
- デメリット:人気が高く、選考で経験者と比べられやすい
「SESを抜けたい」の中身が技術の幅を広げたいことなら、自社開発より別の道が合う場合もあります。
「自社開発」の求人でも客先常駐がある。変更の範囲で見分ける
2024年4月から、求人企業は募集時に「従事すべき業務の変更の範囲」と「就業場所の変更の範囲」を明示しなければならなくなりました。この変更の範囲は、雇い入れ直後だけでなく、将来の配置転換の見込みも含むと厚生労働省は説明しています。
労働契約を結ぶときの労働条件通知書にも、同じ変更の範囲の明示が義務づけられています。就業場所の変更の範囲に「顧客先」「取引先の事業所」とあれば、自社開発の看板でも常駐に回る余地があると読めます。
求人の文面が自社開発でも、就業場所の変更の範囲に顧客先が入っていれば、入社後にSESと同じ働き方へ戻る余地が残ります。職業安定法は求人広告での虚偽や誤解を生む表示を禁じていますが、最後に確かめるのは自分です。面接で「入社後に客先へ常駐する可能性はありますか」と聞き、内定時の労働条件通知書の記載と照らしてください。
SES3年目から自社開発へ抜けるのは現実的か。年収はどう変わるか
3年目は、自社開発の選考で見られる経験がそろい始める時期
3年目は、開発の一連の流れを現場で何度か経験し、任される範囲が出てくる頃と考えられます。SES3年目は伸びしろと実務経験の両方を示しやすく、自社開発へ動き出す時期として遅すぎないと考えられます。
経済産業省の調査は、従来型IT人材から先端IT人材への転換率が年1%にとどまると、2030年に従来型は約10万人の供給過剰、先端は約55万人の不足になると試算しました。需給ギャップ全体は、2030年に約45万人と試算されています。
- 保守運用や受託の作業だけを続けると、人が余る側に入るおそれがある
- 自社サービスの改善やAI・IoTなどに触れた経験は、不足する側に寄せられる
- ただし2019年時点の試算で、今の求人の多さを直接示す数字ではない
SES出身者が自社開発の選考で落ちやすい理由
落ちる理由の多くは、能力そのものより「伝え方」と「狙い方」にあると考えられます。
- 人気の自社開発企業に応募が集まり、経験者の中で比べられる
- 入社後すぐに担当できる技術や領域を、即戦力として求められる
- スキルシートの書き方のまま、使った言語と工程しか書いていない
- 志望動機が「SESを抜けたい」だけで、その会社のサービスに触れていない
「SESを抜けたい」は応募の動機にはなっても、自社開発企業があなたを採る理由にはなりません。 志望動機は、相手のサービスを実際に使って気づいた点から書くと、SES出身でも差がつきやすいと考えられます。
年収は上がるとは限らない。公的統計と上場企業の数字で幅をつかむ
SESから自社開発に移って年収が上がった人・下がった人の割合を示す公的な統計は、この記事では確認できていません。そこで、職種全体と企業規模の差から幅をつかみます。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から、ソフトウェア作成者の数字を企業規模別に並べます。
| 区分(ソフトウェア作成者・男女計) | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与その他特別給与額 |
|---|---|---|
| 10人以上の企業全体 | 39万800円 | 109万5,100円 |
| 1,000人以上 | 41万8,600円 | 138万5,900円 |
| 10〜99人 | 36万600円 | 85万5,100円 |
ソフトウェア作成者全体は平均37.1歳・勤続9.9年の集団で、3年目の相場そのものではありません。
CareerBoost 年収データベースでは、収録する上場企業826社のうち情報・通信業は96社で、平均年収の中央値は約791万円、真ん中の半分は約682万〜923万円でした。これは有価証券報告書の平均年間給与で、エンジニアだけの数字ではありません。
- 公的統計は平均37.1歳の集団で、3年目の相場ではない
- 上場の情報・通信業96社でも、平均年齢の中央値は38.7歳・平均勤続年数の中央値は9.2年で、若手の数字ではない
- 企業規模で月給も賞与も差があり、小さな自社開発企業なら下がる場合がある
- 今の年収を、基本給・賞与・残業代・手当に分けてから比べる
自社開発に移れば年収が上がるとは限らないため、内定時の労働条件通知書で月給・賞与・残業代の扱いを比べてから決めます。
SES3年目の経験を、自社開発に伝わる職務経歴書へ書き直す
スキルシートは「何を使ったか」、職務経歴書は「何を変えたか」
SES会社のスキルシートは、常駐先に要員を提案するための書式で、言語・工程・期間が並びます。自社開発の選考で読まれるのは、その現場で何を判断し、何が良くなったかです。
数字が手元にある成果は数字で書き、無い成果は「何が変わったか」を事実だけで書きます。
自社開発企業に評価されやすいSESでの経験
自社開発の現場で再現できる経験ほど、評価につながりやすいと考えられます。常駐先が違っても、次のような経験は書く価値があります。
- Gitでのブランチ運用や、プルリクエストのレビューに参加した
- 設計書を作成した、または既存設計の問題点を指摘した
- 運用中の手作業を自動化する改善を提案した
- 常駐先の担当者と仕様の確認・調整を行った
- 障害の原因を調べ、再発防止策をまとめた
- 期間と言語だけを並べ、自分の判断が見えない
- 常駐先の社名や案件名を、許可なく具体的に書く
- 「指示どおりに対応」で終わっている
- チームの成果を、自分一人の成果のように書く
SESの経験は、常駐先が変わっても使えた「進め方」として書くと、自社開発の面接官が入社後の姿を想像しやすくなります。
多重下請けの商流は、隠さず深追いもしない
職務経歴書には、商流の深さより担当した仕事の中身を書くのが一般的です。商流を隠して実態と違う説明をすると入社後の信頼を損ねるため、聞かれたら事実を短く答えます。
- 聞かれたら:「元請の下で、〇〇の改修を担当していました」と立場を一言で答える
- 続けて:その立場で工夫したこと・提案したことに話を戻す
- 書けない情報:常駐先の社名や案件の詳細は、雇用契約書や誓約書の守秘の範囲を確かめてから書く
ポートフォリオ・GitHub・技術記事・資格はどこまで要るか
SESの実務は守秘の都合で外に見せにくいため、外に出せるアウトプットが補いになると考えられます。作品の量より、実務の技術と志望先の技術がつながっているかが見られると考えられます。
- GitHub:業務と同じ言語で小さなツールを作り、READMEに作った理由を書く
- 技術記事:現場で調べて解決したことを、守秘に触れない形でまとめる
- 資格:基礎の証明にはなるが、実務の説明を補う位置づけと考えられる
- ポートフォリオ:志望先のサービスに近い機能を作ると、志望動機とつながる
アウトプットは「SESでは見せられない実力を見せる窓口」として、志望先に合わせて絞って用意すれば足りると考えられます。
SESに常駐しながら自社開発の選考を進め、3年目で抜ける段取り
書類通過率や応募社数は、自分の数字を記録して判断する
SESから自社開発への書類通過率や、内定までの応募社数・期間を示す公的な統計は、この記事では確認できていません。目安の数字を探すより、自分の応募結果を記録して止まっている段階を直すほうが、次の手を決めやすくなります。
- 応募した会社と、自社開発・受託・SESの区分
- 書類の結果と、通った書類で強調した経験
- 面接で答えに詰まった質問
- 求人票の就業場所・業務の変更の範囲の記載
書類で止まるなら職務経歴書を、面接で止まるなら志望動機と技術の説明を直します。
常駐しながら面接の時間を作る
常駐先の勤務時間は動かしにくいため、面接の時間はこちらから候補を出して合わせてもらう形が現実的です。
- オンライン面接を希望し、始業前・昼休み・終業後の枠を候補に出す
- 有給休暇は、面接が重なる日にまとめて使う
- 内定前に、常駐先へ転職活動を伝える必要はない
- 業務用のPCやメールで応募の連絡をしない
面接の候補日時を先にこちらから複数出しておくと、常駐先の業務と重なりにくくなります。
常駐先の契約期間中でも、辞める手続きの相手はSES会社
常駐先との準委任契約は、SES会社と常駐先の間の契約です。あなたが結んでいるのは、SES会社との雇用契約です。
退職の時期と手続きは、常駐先の契約期間ではなく、SES会社の就業規則と雇用契約書の退職の定めが基準になると考えられます。
退職の申し出の時期と方法、有給休暇の扱いを就業規則と雇用契約書で確かめる。
労働条件通知書で業務と就業場所の変更の範囲、給与を確かめてから承諾する。
SES会社の上司に、退職の意思と希望日を口頭とメールの両方で伝える。
常駐先との契約の切れ目に合わせられるかを、SES会社の営業と調整する。
担当作業の手順と未完了の作業を文書にし、後任が読める場所に置く。
残りの有給休暇の消化と、離職票などの受け取り方法を確かめる。
引き止めで「契約期間中は辞められない」「損害賠償を請求する」と言われても、その場で応じる必要はありません。やり取りは日付つきで記録し、就業規則の退職の定めを手元に置いたうえで、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談してください。
自社開発以外にSESを抜ける道と、3年目で転職支援を使う判断
自社開発に届かないときの、SESの抜け方
経済産業省の資料では、情報サービス・ソフトウェア産業で元請と下請の両方を行う企業が半数を占め、下請のみの企業もおよそ4社に1社あります(2010年の調査)。同じIT企業でも商流の位置で働き方が変わるため、SESの出口を自社開発だけと考えなくて構いません。
| 抜け方 | 3年目のSESから見た近さ | 向いている人 |
|---|---|---|
| 自社開発企業 | 経験の書き直しが要る | 一つのサービスを長く育てたい人 |
| 社内SE | 社内調整や運用の経験が生きる | 利用者の近くで改善したい人 |
| 受託開発 | 開発工程の経験がそのまま使える | 設計から関わる経験を積みたい人 |
| 元請SIer | 顧客折衝や上流工程の経験が問われる | 要件定義に進みたい人 |
| 条件の良いSES | 今の経験で動きやすい | 単価の還元や案件の選び方を変えたい人 |
| 今の会社の自社内業務 | 社内に部署があれば異動の相談から | 会社は変えずに常駐をやめたい人 |
受託や元請SIerで設計の経験を積んでから自社開発を狙う、二段階の道もあると考えられます。
転職支援を使うなら、3年目のSESエンジニアが確かめること
転職支援を使う場合は、SESの求人ばかり紹介されないかを最初に確かめます。面談で「自社開発と客先常駐をどう見分けて紹介しているか」を聞くと、その支援が自分に合うかが分かりやすくなります。
- 紹介される求人の就業場所の変更の範囲に、顧客先が入っていないか
- スキルシートを職務経歴書に書き直す支援があるか
- 面接の日程を、常駐の勤務時間に合わせて調整してくれるか
明光キャリアパートナーズが合う人・合わない人
明光キャリアパートナーズは、明光ネットワークジャパンのグループ会社が運営する、20〜30代のエンジニア経験者向けの転職支援です。大手からスタートアップまで幅広い会社の紹介実績があります。
経験・希望・価値観に沿った業種や会社を提案し、履歴書や面接対策まで支援します。自社開発を含めて行き先を広く相談したいSES3年目の人には、選択肢を並べて比べる助けになると考えられます。
合う人
– SESで3年目を迎えた20〜30代のエンジニア経験者で、自社開発を含めた行き先を相談したい人
– スキルシートの内容を、自社開発に伝わる職務経歴書と面接の受け答えに直したい人
– 常駐しながらの転職活動で、書類と面接の準備を一人で抱えたくない人
合わない人
– エンジニアの実務経験がない人(まず開発の実務経験を積める職場探しから始める)
– 40代以上の人(年齢層を限らない転職支援や、企業の採用ページからの直接応募を使う)
– 応募先がすでに決まっている人(その企業の選考に直接応募する)
SES3年目で、職務経歴書の書き直しと面接対策を常駐と並行して進めたい人に向いています。 申し込みは次から行えます。
SES3年目で抜けたいと決めたら、今週から自社開発に向けて動くこと
今の常駐先で、職務経歴書に書ける改善を拾い出す
次の常駐先に移る前に、今の現場の材料を集めておくと書類が作りやすくなります。常駐先が変わると持ち出せない資料もあるため、守秘に触れない範囲で、自分が提案したことと結果を今のうちにメモに残します。
- 今の現場で、自分が提案・改善したことを書き出した
- 求人票の就業場所と業務の「変更の範囲」を読む習慣をつけた
- 就業規則で、退職の申し出の時期と方法を確かめた
- 今の年収を、基本給・賞与・残業代・手当に分けて把握した
- 応募結果を記録する表を作った
- 社内SE・受託・元請SIerも候補に入れた
自社開発に届かなくても、SESを抜ける順番は描ける
自社開発の選考が続けて通らないときは、受託や元請SIerで設計の経験を積んでから再挑戦する順番もあります。SES3年目の今は、行き先を自社開発だけに絞らず、経験が積み上がる職場へ移れるかで選ぶ見方もできます。
どの道を選ぶ場合も、内定時の労働条件通知書で業務と就業場所の変更の範囲を確かめる点は共通です。
執筆・編集:CareerBoost 編集部(運営:合同会社Radineer)/更新日:2026年10月15日




コメント