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30代のマネージャーがエンジニアに戻る転職は、管理のどの部分を手放したいのかを説明でき、ブランクを埋めた技術を形で見せられるなら、十分に選べる道です。ただし役職を外れると給与は下がる方向に動きやすくなります。先に今の会社で役割を見直せないかを確かめ、求人では「変更の範囲」とテックリードかEMかを確認してから決めてください。
会議と評価面談で一日が埋まり、コードを書くのは夜だけ。この記事では「開発に戻りたい」という迷いを転職の判断に変えるための材料を、公的統計と自分で確かめる手順でまとめます。
マネージャーからエンジニアに戻りたい30代が、転職の前に切り分けること
マネージャーが嫌なのか、エンジニアの仕事から離されるのが嫌なのか
同じ「戻りたい」でも、管理の仕事そのものが苦痛な人と、コードから離されることが苦痛な人とでは、取るべき道が違います。前者は役割を変えること、後者は開発の時間を取り戻すことで解決する場合があると考えられます。
次の問いに答えると、どちらなのかが見えてきます。
- 開発の時間が今の倍あれば、管理の仕事も続けられるか
- 評価面談や1on1がなくなれば、マネージャーのままでもよいか
- 技術選定の決定権がなくなっても、手を動かせれば満足か
「開発の時間が戻れば管理も続けられる」と答えた人は、転職より社内での役割の調整を先に試す価値があります。
マネージャーの仕事を4つに分け、手放したい部分を特定する
マネージャーの仕事はひとまとめに嫌われがちですが、中身は性質の違う4つに分かれます。
| 仕事 | 中身 | 手放したい場合の行き先 |
|---|---|---|
| プロジェクト管理 | 進捗・見積もり・他部署との調整 | シニアエンジニア |
| チーム運営 | 採用・1on1・育成 | テックリード、シニアエンジニア |
| 評価 | 査定・昇給の説明 | テックリード、シニアエンジニア |
| 技術リード | 設計判断・レビュー・技術選定 | 残すと30代の強みになる |
嫌なのが「評価」と「チーム運営」なら、技術リードの役割を残したままエンジニアに戻る道があります。技術リードを残せば、管理職だった経験をそのまま転職の評価材料にできるという見方もできます。
管理職になりたくない30代エンジニアは少数派なのか
管理職を望まないエンジニアの割合を直接示す公的統計は、この記事で示せる範囲にはありません。代わりに参考になるのが、転職者が今の勤め先を選んだ理由です。
最も多かったのは「自分の技能・能力が活かせるから」の17.7%で、「仕事の内容・職種に満足がいくから」の16.5%が続きました。肩書きより技能や仕事の中身で職場を選ぶ転職者が上位を占めており、開発に戻りたいという動機は特殊なものではないという見方もできます。
30代のマネージャーがエンジニアに戻る転職で、年収はどう変わるか
役職者を除いたエンジニアの給与を、自分の比較対象にする
役職者を除いたソフトウェア作成者は平均34.7歳で、月の給与(きまって支給する現金給与額)は36万1,600円、年間賞与は85万4,900円でした。役職者を含む全体では、月39万800円・賞与109万5,100円です。
| 区分 | 平均年齢 | 月の給与 | 年間賞与 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア作成者 25〜29歳 | 記載なし | 33万2,100円 | 86万1,900円 |
| ソフトウェア作成者 30〜34歳 | 記載なし | 38万4,500円 | 98万1,200円 |
| ソフトウェア作成者(役職者を除く) | 34.7歳 | 36万1,600円 | 85万4,900円 |
| ソフトウェア作成者(役職者を含む全体) | 記載なし | 39万800円 | 109万5,100円 |
| システムコンサルタント・設計者(10人以上の企業) | 38.3歳 | 54万2,100円 | 238万5,200円 |
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
マネージャーからエンジニアに戻るときは、「役職者を除く」の数字を自分の年収と並べて差を見てください。
エンジニアに戻るなら、設計を担う職種まで候補を広げる
システムコンサルタント・設計者は平均38.3歳、勤続11.9年で、月54万2,100円、年間賞与238万5,200円でした。同じ「手を動かす側」でも、実装が中心か設計が中心かで、統計上の給与の水準は大きく違います。
30代で戻りつつ年収の下げ幅を抑えたい人は、実装だけの職種でなく、設計や技術判断を担う職種まで候補に入れてください。
30代前半の転職で、賃金が下がった人はどれくらいいるか
2024年の転職入職者のうち、30〜34歳で賃金が増えた人は46.1%、減った人は24.2%でした。25〜29歳は増加46.3%、減少29.2%です。
この数字は職種や役職の変化を区別していないため、マネージャーから戻る人の結果そのものではありません。35歳以上の数字はここで示せる事実に含まれていないため、30代後半の人は求人ごとの提示額を今の年収の内訳と並べて判断してください。
自社の年収データで見る、情報・通信業の会社の水準
CareerBoost 年収データベースに収録している上場企業826社のうち、情報・通信業は96社でした。平均年収の中央値は約791万円で、真ん中の半分は約682万〜923万円です。平均年齢の中央値は38.7歳、平均勤続年数の中央値は9.2年でした。
この数字は有価証券報告書の平均年間給与で、エンジニアだけの数字ではありません。営業・管理部門・管理職を含む全職種の平均なので、エンジニアに戻ったときの自分の年収の予測には使えません。
会社ごとの平均年収は転職先の候補同士で給与水準を比べる材料として使い、エンジニア職での提示額は面接で個別に確かめてください。
30代マネージャーが転職の前に、今の会社でエンジニアに戻れるかを確かめる
専門職コースがあるか、実際に戻った人がいるか
転職を決める前に、今の会社に「管理職を経ずに上がれる専門職コース」があるかを確かめます。制度があっても、移った人がいなければ使えない制度と同じです。
- 専門職コースの等級と、管理職との給与の差
- 過去に管理職から専門職へ移った人がいるか
- 専門職の評価を誰がどんな基準で決めるか
「制度はあるが移った人はいない」なら、社内でエンジニアに戻る道は実質的に閉じていると考えたほうが安全です。
マネージャーの役割の見直しを上司に提案するときの伝え方
辞める前に、上司へ役割の範囲を見直してもらう提案はできます。通りやすいのは、自分の希望だけでなく、チームにとっての得も示す伝え方だと考えられます。
「何を手放し、代わりに何でチームに返すか」をセットで伝えると、単なる降格の希望とは受け取られにくくなります。
社内では戻れないと判断する目安
- 専門職コースがない、または移った前例がない
- 役割の見直しを提案しても、引き継ぎ先がいないことを理由に先送りされる
- 設計判断や技術選定の裁量が、マネージャーより上の層にしかない
このうち複数に当てはまるなら、30代のうちに転職でエンジニアに戻る準備を始める段階と考えられます。
30代マネージャーの転職で、エンジニアに戻れる求人を見分ける
30代後半のエンジニアに、企業は採用で何を求めるか
30代後半の採用では、技術力に加えて、チームの技術判断を引っ張れるかを見られると考えられます。この点では、管理職だった経験は不利ではなく材料になります。
- 進捗管理の経験 → 機能を設計単位に分けて見積もれる
- 評価・育成の経験 → コードレビューで後輩を伸ばせる
- 調整の経験 → 他部署と仕様を詰めて決めきれる
管理経験は「管理をしたい理由」ではなく「技術判断の質を上げた経験」として話すと、開発職の面接でも評価材料になると考えられます。
テックリードとEMの違いを、求人票の言葉で見分ける
| 見る点 | テックリード | エンジニアリングマネージャー(EM) |
|---|---|---|
| 主な責任 | 設計・技術選定・コードの品質 | 採用・評価・チームの成果 |
| メンバーの評価 | 会社による(面接で確認) | 担当する |
| コードを書く時間 | 業務の中心に含まれる | 少ない、または無い |
| 求人票によく出る言葉 | 設計、レビュー、技術選定 | メンバー育成、評価、組織づくり |
同じ「リード」という肩書きでも、評価の権限があれば中身はEMに近いので、求人票の肩書きだけでは判断しないでください。
- 「このポジションでは、設計と実装にどれくらいの時間を使いますか」と聞く
- 「メンバーの評価を担当しますか」と聞く
- 「入社後に管理職へ配置転換する予定はありますか」と聞く
- 「手を動かせますか」とだけ聞く
- 「マネジメントはもうやりたくない」と理由だけを伝える
- 肩書きの「リード」だけを見て応募を決める
求人票の「変更の範囲」を読み、マネージャーに戻されないかを確かめる
2024年4月から、労働条件を示すときに「変更の範囲」の明示が必要になりました。厚生労働省は、これを将来の配置転換の見込みも含めた、契約期間中の変更の範囲と説明しています。
「業務の変更の範囲:会社の定める業務」のように広く書かれている場合、入社後に管理職へ配置される余地が残ります。面接で範囲の意味を具体的に聞き、答えを内定時の書面と照らし合わせてください。
エンジニア職で入社しても、変更の範囲が広ければ、いずれマネージャーに戻される可能性は書面の上で残ります。
マネージャー期間のブランクを埋め、30代の転職でエンジニアに戻る
マネージャーだった間の技術のブランクを取り戻す
学び直し(リスキル)に取り組む企業は、米国企業の8割弱に対し、日本企業は19.2%にとどまりました。会社が学び直しの機会を用意してくれる前提は立てにくく、ブランクは自分で埋めるつもりで動くのが現実的です。
最後に本番のコードを書いたときの技術と、チームが今使っている技術との差を一覧にします。
チームのバグ修正をひとつ担当し、レビューを受ける側に回ります。
マネージャーとして決めてきた仕様を、自分の手で設計文書に書き起こします。
業務外で作ったものや勉強会での発表など、面接で見せられる形にします。
非先端IT領域の従事者のうち、学んだ先端スキルを社内で活かす機会が「ある」人は、ここ3年で約26%から約37%に増えました。学ぶだけで終わらせず今の職場で小さく使った実績まで作ると、転職の面接で話せる材料が増えます。
技術面接とコーディング試験で、ブランクをどう見せるか
面接では、ブランクを隠すより、何が古くなっていて何を取り戻したかを先に話すほうが信頼につながると考えられます。
コーディング試験の前には、データ構造・テスト・デバッグの手順といった、管理職の間に使わなくなった基本を手で書いて戻しておいてください。
副業やフリーランスで開発に戻る道と、その制約
本業を続けながら副業で開発する場合は、先に次の3点を確かめます。
- 就業規則の副業規定と、届け出の要否
- 本業と競合する仕事を禁じる決まりの有無
- 本業の情報やコードを使わないための線引き
副業でも開発したい気持ちは満たせますが、平日の夜と休日を使うため、家庭の時間との取り合いは避けられません。フリーランスに戻っても、仕様の調整・見積もり・請求は自分の仕事になるので、調整から解放されるとは言い切れないと考えられます。
マネージャーからエンジニアに戻る転職をした30代の、その後
エンジニアに戻った30代が分かれやすい3つの道
マネージャーからエンジニアに戻った人の満足度や、再び管理職になった割合を示す公的統計は、この記事で示せる範囲にはありません。そこで、戻った後に起こりうる分かれ道を先に知っておきます。
- 開発に集中でき、満足して続ける
- 年収の減少や裁量の縮小を、後から重く感じる
- 管理経験を買われ、再びリーダーや管理職を頼まれる
三つ目は30代で管理経験がある人ほど起こりやすいと考えられるため、入社前に断る基準まで決めておくと後悔を減らせます。
マネージャーに戻されないための条件を書面で残す
内定時に担当業務と変更の範囲を書面で受け取り、面接で聞いた「評価は担当しない」「開発が中心」という説明と合っているかを照らします。口頭の約束は、異動のときに根拠になりにくいと考えられます。
面接で「開発中心」と言われたら、その言葉が内定の書面のどこに書かれているかを聞いてください。
プレイングマネージャーとエンジニアで、働き方と家庭の時間はどう変わるか
プレイングマネージャーは、日中が会議と調整で埋まり、開発を夜や休日に回すことで働く時間が延びやすい働き方だと考えられます。エンジニアに戻ると会議は減る一方、障害対応やリリース前の作業で時間が読みにくくなる面もあります。
転職の面接ではオンコール当番の有無と頻度、リリースの時間帯を聞き、家庭の時間がどう変わるかを具体的に見積もってください。
30代マネージャーがエンジニアに戻る転職で、エージェントを使うときの伝え方
管理職候補ばかり紹介されないための伝え方
30代でマネージャー経験があると、エージェントからは管理職候補の求人が出てきやすいと考えられます。「管理はしたくない」と否定形で伝えるより、残したい仕事と手放したい仕事を分けて伝えます。
- 残したい仕事: 設計、コードレビュー、技術選定
- 手放したい仕事: 評価、採用、進捗の取りまとめ
- 譲れる条件: 年収の下限と、許容できる変更の範囲
「評価の権限がない開発ポジションだけを紹介してほしい」と条件で伝えると、紹介の段階で管理職候補をふるい落としやすくなります。
明光キャリアパートナーズが合う人・合わない人
明光キャリアパートナーズは、明光ネットワークジャパンのグループ会社が運営する、20〜30代のエンジニア経験者向けの転職支援です。大手からスタートアップまで幅広い会社の紹介実績があり、経験・希望・価値観に沿った業種や会社を提案し、履歴書や面接対策まで支援します。
合う人は次のとおりです。
- 20〜30代で、エンジニアとして開発の経験がある人
- マネージャー経験を開発職の面接でどう話すか、対策を一緒に詰めたい人
- 大手かスタートアップかを決めきれず、価値観に沿って候補を広げたい人
合わない人は、エンジニア未経験の人と40代以上の人です。エンジニア未経験の人は、まず社内の開発部署への異動などで実務の経験を作ることが先です。40代以上の人は、年齢を区切らない転職サービスか、今の会社の専門職コースへの異動を先に検討してください。
申し込む前の確認リスト
- 手放したいのがマネージャーの4つの仕事のどれなのかを言える
- 今の会社の専門職コースの実態を確かめた
- 役職者を除いたエンジニアの給与水準と、自分の年収との差を把握した
- 求人票の「変更の範囲」を読み、面接で聞く質問を用意した
- ブランクを埋めた成果をひとつ以上見せられる
当てはまらない項目が残っていても、面接対策の支援を受けながら埋めていくことはできます。
執筆・編集:CareerBoost 編集部(運営:合同会社Radineer)/更新日:2026年10月15日




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