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SES3年目なら、冬のボーナスを受け取ってから1〜3月に退職し、4月前後に自社開発へ入社する流れは組めます。条件は2つで、就業規則で賞与の「支給日在籍」と査定期間を確かめることと、在職中に内定を取ってから支給日の後に自社へ退職を伝えることです。
客先常駐のまま3年目に入り、冬のボーナスが出たら区切りをつけたい。この記事では、減額や返還の心配、契約途中の退職、何月に動くかを、日付と規程の読み方で順に答えます。
SES3年目で冬のボーナス後に自社開発へ移るのは早すぎないか
SES3年目は「年数」より「自社開発で話せる経験」で判断する
法令や公的な統計で「SESは何年続ければ辞めてよい」と決まった線はありません。3年目で判断が分かれるのは、年数より、自社開発の面接で語れる担当範囲があるかどうかだと考えられます。
3年目の判断は、案件ごとに「自分が担当した工程と使った技術」を職務経歴書に書けるかで見ると具体的になります。
- 設計やコードレビューに入った案件がある → 自社開発へ応募する土台になる
- テストや運用監視だけが続いている → 冬までに担当範囲を広げる相談を先にする
- 客先が変わるたびに技術がばらばら → 一つの言語や領域に寄せて書き直す
SESを続けた場合に年収と案件で起きやすいこと
SESの多くは、元請から見て下請の位置で働きます。経済産業省の資料では、情報サービス・ソフトウェア産業で下請のみを行う企業はおよそ4社に1社です。
同じ資料が引くIPAの調査では、下請企業の労働生産性は元請企業の6割程度でした。商流の下にいるほど単価も賃金も上がりにくいという見方もできます。
- ソフトウェア作成者(10人以上の企業)の平均は、月の決まって支給する給与39万800円、年間賞与109万5,100円
- 企業規模1,000人以上は月41万8,600円・年間賞与138万5,900円、10〜99人は月36万600円・年間賞与85万5,100円
経済産業省の試算では、受託開発・保守運用などの従来型IT人材から先端IT人材への転換が年1%にとどまると、2030年に従来型は約10万人の供給過剰になります。SESで保守運用だけを続けるより、3年目のうちに自社サービスの開発経験へ寄せるほうが、余る側に入りにくいと考えられます。
自社開発へ移る年齢の見られ方(20代と30歳前後)
ソフトウェア作成者の平均は37.1歳、勤続9.9年です。CareerBoost 年収データベースでも、上場の情報・通信業96社の平均年齢の中央値は38.7歳、平均勤続年数の中央値は9.2年でした。
この数字は有価証券報告書に載る全職種の平均で、エンジニアだけの数字ではありません。同じデータベースで情報・通信業の平均年収の中央値は約791万円、真ん中の半分は約682万〜923万円です。
- 20代のSES3年目: 自社開発の社員の中では若手側で、伸びしろを見られる応募になると考えられます
- 30歳前後: 同じ年数でも「何を任されてきたか」を細かく聞かれやすいという見方もできます
年齢の壁を気にするなら、30歳を待たずに今年の冬のボーナスを区切りにするほうが、選べる求人は狭まりにくいと考えられます。
冬のボーナスをもらってから辞めると減額・返還されるか(SES会社の就業規則の読み方)
支給日在籍の条件と査定期間を就業規則で確かめる
賞与の条件は、会社の就業規則や賃金規程の「賞与」の条文に書かれています。民間の年末賞与は、毎月勤労統計では11月〜翌年1月に支給されたものとして集計されます。
自分の会社の冬の支給日が12月か1月かで、退職を伝えられる日が変わります。条文で読むのは次の3点です。
- 支給日に在籍していることが条件か(支給日在籍の定め)
- 査定期間はいつからいつまでか
- 「退職予定者は減額する」などの定めがあるか
冬のボーナスの支給日と査定期間は、口頭の「例年このくらい」でなく、条文と過去の給与明細で確かめます。
「退職予定者は減額」の定めがあるときの順番
この定めがある会社では、退職の申し出を支給日の翌日以降にずらすのが一番単純です。応募や面接は支給日の前に進めてもかまいません。
退職の意思は、冬のボーナスが口座に入ったのを確かめてから自社に伝えます。
支給後に返還を求められたときに確かめること
支給日在籍の条件を満たして受け取った賞与を、後から返す根拠になる条文があるかは会社ごとに違います。まず根拠を文書で示してもらうことから始めます。
支給後に「辞めるなら返して」と言われても、その場で返金したり、返還に同意する書面に署名したりしないでください。就業規則のどの条文が根拠かを文書で受け取り、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談してから答えるのが安全です。
返還の話には、根拠の条文を文書で受け取るまで返事をしないことで、損を防げます。
冬のボーナス支給日から逆算する、SES3年目の転職スケジュール
10〜11月:在職のまま自社開発の求人を探して書類を作る
SES3年目の転職活動は在職中に始めます。収入が途切れず、冬のボーナスの支給日まで在籍を保てるからです。
- 職務経歴書を案件ごとに書き出す
- 応募先の求人で「業務の変更の範囲」を見る(後の見出しで説明)
- 面接を定時後や有給で受けられるか、常駐先の勤務時間を確かめる
選考にかかる期間は会社によって違うので、応募のときに面接の回数と内定までの目安を聞いておきます。
12月:支給を確かめてから内定承諾と入社日を決める
内定が12月に出ても、承諾の前に入社日を相談できます。年度の区切りで新しい人を受け入れる会社では、4月入社の希望は通りやすいと考えられます。
内定承諾書の入社日は、退職の申し出から有給消化が終わる日までを数えてから決めます。
1〜3月:退職の申し出・引き継ぎ・有給消化
期間の定めのない雇用は、退職を申し入れてから2週間で終わります。3月31日に辞めるなら、申し出の目安は3月17日です。
客先ではなく所属会社の上司に、退職日と最終出社日の案を出します。
担当機能・作業手順・連絡先を文書にし、客先の後任に渡せる形にします。
自社の営業が、客先と終了日や後任を調整します。
年度末は有給の消化時期で、請求権の時効は2年です。
退職日と入社日の間を空けない日付にします。
2週間は法律上の最短なので、引き継ぎと有給消化を両立させるなら、1月中に伝えるのが現実的と考えられます。
ボーナスをもらって辞めるか、早く移るか:SES3年目の年間収入の比べ方
比べる式は「冬のボーナス」対「早く移れた月数×月給の差」
同じ12か月で比べると、どちらが多いかが見えます。12月から翌年11月までを例に、2つの動き方を並べます。
| 項目 | A: 冬のボーナス後に3月末退職 | B: ボーナス前の11月末退職 |
|---|---|---|
| 12〜3月の給与 | 現職の月給 | 転職先の月給 |
| 4〜11月の給与 | 転職先の月給 | 転職先の月給 |
| 冬のボーナス | 現職から受け取る | 受け取らない |
| 転職先の夏の賞与 | 在籍が短く減ることがある | 在籍が長いぶん満額に近づく |
Aが多くなるのは、冬のボーナスが「月給の差×早く移れた月数」と「夏の賞与の差」の合計を上回るときです。
自社開発の転職先の最初の賞与は満額にならないことがある
民間の夏季賞与は、毎月勤労統計では6〜8月に支給されたものとして集計されます。4月入社だと、夏の賞与の査定期間の多くを前の会社で過ごすため、日割りや対象外になる会社もあると考えられます。
- 内定の面談で「入社1回目の賞与は満額か、日割りか、対象外か」を聞く
- 現職の冬のボーナスは、昨年の額ではなく今年の査定期間の評価で見積もる
- 月給の差は額面でなく、残業代を除いた基本給どうしで比べる
転職先の最初の賞与の扱いを聞かないまま比べると、Aの有利さを小さく見積もってしまいます。
退職月で変わる住民税と源泉徴収票
1月から4月に辞めると、住民税の残り(5月分まで)が最後の給与などから一括で引かれます。年間の負担が増えるわけではありませんが、A案の3月の振込額は少なく見えます。
B案で11月末に辞めて12月に入社する場合は、前の会社の源泉徴収票を転職先に出して年末調整を受けます。
- 年の途中で退職した人の源泉徴収票は、退職後1か月以内に交付される決まりです
- 年内に転職先へ出せなかったときは、翌年1月1日から還付申告で精算できます
3月の手取りが少ないのは住民税の一括徴収のためで、年間の収入の比較には入れません。
SESの客先常駐中でも冬のボーナス後に辞められるか(伝える相手と順番)
客先との契約は会社どうしの契約で、伝える相手は自社の上司
民法では、請負は仕事の完成に報酬を払う契約、準委任は事務の委託に委任の規定を準用する契約です。SESの契約は、仕事の完成を約束しない準委任として結ばれていることが多いと考えられます。
契約の当事者は所属会社と客先で、あなた個人ではありません。退職は自社の上司に伝え、客先への説明と後任の調整は自社の営業に任せます。
客先の担当者に先に話さず、退職の最初の一言は自社の上司に伝えます。
東京労働局は、書類上は請負(準委任を含む)でも実態が派遣なら偽装請負で違法とし、発注者から直接指示を受けていると可能性が高いとしています。厚生労働省のガイドも、準委任でも指揮命令関係があれば労働者派遣事業に当たるとしています。派遣と請負の区分は昭和61年労働省告示第37号で判断されます。
「途中で抜けたら損害賠償」と言われたら
客先との契約上の責任を負うのは、契約の当事者である所属会社だと考えられます。引き止めでこの言葉が出たら、どの契約のどの条項が根拠かを文書で聞きます。
- 引き継ぎ資料を作り、渡した日付を記録する
- 日々の作業指示を誰から受けていたかを書き残す
- 納得できなければ労働局の相談窓口に記録を持っていく
引き継ぎを文書で済ませた記録があれば、「無責任に抜けた」と言われる余地は小さくなります。
契約更新の区切りに合わせて伝える
客先との契約は、月や四半期ごとに更新されることが多いという見方もできます。更新の打診が来る前に伝えると、会社は次の契約を結ばずに済み、引き止めの材料も減ります。
自社の営業が客先と次の更新を決める前に、退職の意思を伝えます。
退職理由の伝え方と引き止めへの返し方
転職者の調査では、自己都合で辞めた理由の上位は「賃金が低かった」25.5%、「会社の将来に不安」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかった」24.7%でした。本音がこのどれかでも、自社には「決まった次の仕事」だけを伝えると話が短く済みます。
「辞めたい」でなく「入社日が決まった」と伝えると、条件で引き止める余地がなくなります。
SES3年目の経験で自社開発の内定を取る求人選びと職務経歴書
「自社開発」の求人の中身を労働条件の明示で確かめる
2024年4月から、求人の募集時に「業務の変更の範囲」と「就業場所の変更の範囲」を明示することが義務になりました。この範囲は入社直後だけでなく、将来の配置転換の見込みも含みます。
労働条件通知書にも同じ変更の範囲を書くことが義務です。求人広告で虚偽や誤解を生む表示をすることは、職業安定法で禁じられています。
- 業務の変更の範囲が「自社サービスの開発・運用」に限られている
- 就業場所の変更の範囲が自社オフィスや在宅に限られている
- 面接で開発しているサービス名とチームの構成を答えてくれる
- 業務の変更の範囲が「会社の定める業務」など広い書き方
- 就業場所の変更の範囲に「顧客先」「取引先」が入っている
- 「自社開発もあります」とだけあり、配属の決まり方が書かれていない
「自社開発」の求人でも、就業場所の変更の範囲に客先が入っていれば、またSESに戻る可能性があります。
SES3年目の職務経歴書は「客先名」でなく「担当と工夫」で書く
客先名は守秘義務で書けないことが多いため、業界・システムの種類・担当工程・技術で書きます。自社開発の面接では、決まった仕様をこなした話より、改善を提案した場面を聞かれやすいと考えられます。
- 案件の概要(業界・システムの種類・チームの人数)
- 担当工程と使った言語・フレームワーク
- 自分から提案して変えたこと
各案件に「自分から変えたこと」を1行入れると、SESの経験が自社開発の面接で使える材料になります。
自社開発以外の行き先との比べ方
| 行き先 | SES3年目から見て向く人 | 応募前に確かめること |
|---|---|---|
| 自社開発 | 自社サービスの改善を続けたい人 | 業務と就業場所の変更の範囲 |
| 社内SE | 社内の業務改善や運用に関わりたい人 | 開発を内製しているか、外注管理が中心か |
| 元請の受託開発 | 要件定義から関わりたい人 | 下請への再委託がどのくらいあるか |
| フリーランス | 単価交渉を自分でしたい人 | 契約形態と、誰から指示を受けるか |
| スクール | 技術領域を変えたい人 | 修了者の就職先の実例 |
行き先を決める軸は「次の職場で、客先でなく自社の判断で仕事が決まるか」です。
転職支援サービスが合う人・合わない人
明光キャリアパートナーズは、明光ネットワークジャパンのグループ会社が運営する、20〜30代のエンジニア経験者向けの転職支援です。大手からスタートアップまで幅広い会社の紹介実績があり、経験・希望・価値観に沿った業種や会社を提案し、履歴書や面接対策まで支援します。
- 合う人: 20〜30代でSESの経験があり、自社開発の求人の見分け方や常駐経験の伝え方を相談しながら進めたい人
- 合う人: 冬のボーナス後の退職日に合わせて、入社日を調整しながら選考を進めたい人
- 合わない人: エンジニア未経験の人。スクールや未経験可の求人から始める進め方が向きます
- 合わない人: 40代以上の人。求人サイトから企業へ直接応募するか、ハローワークの窓口で探す進め方が考えられます
自社開発の求人を一人で見分けるのが不安なら、10〜11月に相談を始めると、冬のボーナス後の退職日に間に合わせやすくなります。
SES3年目が冬のボーナス後に辞めるまでの確認リスト
12月の支給日までに確かめること
- 就業規則の賞与の条文で、支給日在籍の条件と査定期間を読んだ
- 「退職予定者は減額」の定めがあるかを確かめた
- 冬の支給日を給与明細や過去の振込日で確かめた
- 応募先の求人で、業務と就業場所の変更の範囲を見た
- 内定の面談で、入社1回目の賞与の扱いを聞いた
このリストの上の3つは、退職を伝える前に自分ひとりで終えられます。
退職日から自社開発への入社日までの手続き
3月31日に辞めると、健康保険の資格は翌日の4月1日に失われます。入社まで間が空く場合は、喪失日から20日以内なら任意継続を申し出られます。
- 源泉徴収票: 退職後1か月以内に受け取り、転職先へ出す
- 住民税: 1〜4月の退職なら、残りが最後の給与から一括で引かれる
- 入社日: 退職日の翌日にすると、保険の空白ができない
退職日と入社日の間を1日も空けなければ、保険の切り替えの多くを転職先の手続きに任せられると考えられます。
執筆・編集:CareerBoost 編集部(運営:合同会社Radineer)/更新日:2026年10月15日




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