天皇陛下の姿をメディアで見かけることは多いです。
その姿は、外国訪問や被災地訪問、新年一般参賀や国会での様子など、多岐にわたります。
高貴なイメージがありますが、国民に笑顔で手を振る姿には包まれるような安心感を抱きます。
日本の象徴である天皇陛下。
天皇陛下の仕事は激務と耳にしたことがあります。
普段どんな仕事をしているのか、どのくらい収入を得ているのか気になりますね。
天皇陛下の仕事内容や収入などの生活事情を詳しく解説します。
天皇とは?
出典:https://www.asahi.com/articles/ASRB74JFJRB4UQIP02M.html
天皇とは、日本の象徴です。
憲法第1条、2条で以下のように規定されています。
憲法1条:天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく
憲法2条:皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する
ところで、象徴とはどういう意味なのでしょう。
国民は、天皇をさまざまに解釈します。
- シンボルである
- かけがえのない存在である
- 天皇陛下があってこその日本である
- 祈りである
天皇陛下が絶大な信頼を得ていることが伝わる解釈です。
日本の皇室は世界最古
出典:https://www.sankei.com/article/20230324-4PNVDIHYWNJUTN7LF5DAVQKWHE/
なぜこんなにも、天皇陛下は欠かせない存在とされているのか?
それは、日本の歴史と天皇家は共に歩んできたと言っても過言ではないからです。
日本の皇室は、2000年以上続く世界最古の王家。
現在の天皇陛下は126代目です。
出典:https://www.kunaicho.go.jp/about/kosei/koseizu.html
天皇とは何か?
それを一言で表すことは難しく、人それぞれの解釈があるでしょう。
天皇陛下について学校で習うものの、深く考えることはあまりないのではないでしょうか。
天皇陛下のお仕事:公務とは?
私たちがテレビで見る天皇陛下は、外国訪問や被災地訪問をしています。
天皇陛下は実際にどんな仕事をしているのか、詳しく見ていきましょう。
公務の内容
天皇陛下の仕事を、公務と呼びます。
天皇皇后両陛下の公務日程を宮内庁ホームページで閲覧したところ、休日は土日どちらか1日の週が多いようです。
激務と言われるのも納得。
膨大な量の公務をこなしていることが分かります。
公務は「国事行為」「公的行為」「私的行為」の3つに分類されます。
国事行為
国事行為は日本憲法に規定されている国事に関する仕事で、内閣の助言と承認が必要な行為です。
- 内閣総理大臣の任命
- 最高裁判所長官の任命
- 国会の召集
- 衆議院の解散
- 憲法や条約の公布
公的行為
公的行為とは、日本国憲法にも法律にも規定されていない仕事のことです。
- 新年一般参賀
- 行幸啓
- 外国訪問
- 被災地訪問
- 福祉施設訪問
出典:https://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor6/articles/articles_ceremony_11.html
行幸啓では天皇と皇后が一緒に外出し、全国戦没者追悼式や日本国際賞授賞式へのお出まし、国民体育大会や全国植樹祭への出席を行われます。
「行幸」は天皇のみ、「行啓」は皇后だけの外出を指します。
公的行為は皇居で行われるものから地方の訪問まで、幅広い分野にわたります。
私的行為
私的行為は、国事行為にも公的行為にも該当しない仕事です。
私的行為には以下が含まれます。
- スポーツ鑑賞
- 研究
- チャリティーコンサートの鑑賞
- 宮中祭祀
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/776091a1c7864ae48f51aab918c85d15ce2371e3
宮中祭祀とは、国家と国民の繁栄を祈るために行う祭祀です。
年間20件ほどの祭儀は、古くから受け継がれています。
個人的な活動もあれば、慈善行為に当てはまる活動もあります。
皇室の費用の内訳
出典:https://visit-chiyoda.tokyo/app/spot/detail/416
皇室とは、天皇陛下と皇族の方々を指します。
天皇陛下は別格と考えられるため、皇族には含まれません。
皇室の費用は国家予算で賄われており、「宮内庁費」「皇室費」の2つに分類されます。
宮内庁費とは宮内庁の運営を行うための費用で、人件費や事務費が主です。
皇室費とは天皇の生活費等の費用で、「宮廷費」「皇族費」「内廷費」に分類されます。
令和5年度の内訳は以下のとおりです。
- 宮廷費:61億2,386万円
- 皇族費:2億6,017万円
- 内廷費:3億2,400万円
宮廷費は公務や皇居の整備に必要な経費を指します。
皇族費は、皇族としての品位を保つために各宮家に支出される費用です。
そして、日常の費用である内廷費。
食費、衣料費、研究費、私的交際費など生活費として使用されます。
皇族費は各宮家に配分される
皇族費は定額3,050万円です。
この定額が1人当たりの皇族費を算出する基礎となり、各宮家は皇族費の支給基準が決められています。
- 独立の生計を営む親王及び親王妃定:定額(3,050万円)
- 独立の生計を営む親王の妃:2分の1(1,525万円)
- 独立の生計を営まない親王及び内親王(成年):3分の1(915万円)
- 独立の生計を営まない親王及び内親王(未成年):10分の1
- 独立の生計を営まない王及び女王(成年):640万5,000円
支給基準に基づいて秋篠宮家の皇族費を計算しました。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/93d18b70530124328f1357e6494128586a6c3d91
- 秋篠宮文仁さま:91,500千円
- 紀子さま:15,250千円
- 佳子さま:9,150千円
- 悠仁さま:3,050千円
秋篠宮さまは皇位継承順位1位です。
皇嗣となったため、定額の3倍が支給されます。
各宮家の皇族費総額は以下のとおりです。
- 秋篠宮家:118,950千円
- 常陸宮家:45,750千円
- 三笠宮家:58,560千円
- 高円宮家:36,905千円
想像できないほど多額ですが、日本を支え公務を行う皇室に見合った金額ではないでしょうか。
出典:https://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/04/press04-ph.html
これまでに紹介した費用は必要経費という印象ですが、天皇陛下が私的に使用できるお金はあるのでしょうか。
天皇陛下の収入は内廷費に含まれる
出典:https://www.sankei.com/article/20230101-M4C5KJMYLBKKLDNXUNYX4FWWRE/
明確に決まっているわけではありませんが、天皇陛下の収入は内廷費に含まれています。
内廷費3億2,400万円は、1996年から金額が変わっていません。
内廷の皇族は、天皇陛下、皇后陛下、上皇陛下、上皇后陛下、愛子様の5人。
出典:https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/302874
配分は不明ですが、単純に内廷費3億2,400万円を内廷皇族5人に配分すると、天皇陛下の収入は6,480万円以上と推定されます。
6,480万円は高額でない印象です。
天皇陛下より収入を得ている方はたくさんいそうですね。
内廷費の使い道
内廷費は支出されると、お手元金となります。
私費となるため使い道は発表されず、年間余ったお金が発生しても返還する必要がありません。
過去公表された内廷費の使い道は下記のとおりです。
- 人件費33%
- 衣類など身の回りの物18%
- 食費13%
- 医療12%
- 交際費・災害見舞金10%
人件費や災害見舞金も内廷費から支払うんですね。
内廷費はお手元金になるといっても、個人使用できるお金は少なそうです。
内廷費から支出する意外なものがいくつかあります。
これも内廷費から支払うの?
内廷費から支払っている意外なものを、3つご紹介します。
①神職の人件費
出典:https://www.asahi.com/articles/ASNCS5HNQNCNUTIL00T.html
天皇陛下が私的に雇った人に支払う人件費は、内廷費から支出します。
なぜ、収入である内廷費から人件費を支払うのでしょうか。
天皇陛下のお世話をするために、侍従職が70人ほどいます。
侍従職は国家公務員なので、国が給与を支払っています。
侍従職の他に、私的に雇用している神職がいます。
宮中祭祀で掌典職と内掌典職という神職を雇っており、神職の人件費と祭祀の備品は内廷費から支払わなければなりません。
これは、憲法で政教分離が規定されているからです。
出典:https://rekishi-ch.jp/column/article.php?column_article_id=121
政教分離は、憲法で以下のように規定されています。
- いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない
- 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない
- 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
政教分離の目的は、国民の信教の自由を保障すること。
政治と宗教を一切分離することが目的ではないですが、国と特定の宗教が密接に関わることを避けています。
神職の人件費を国が支払うと政教分離に抵触するため、天皇陛下の私費である内廷費から支払う必要があるのです。
②研究職員の人件費
出典:https://www.asahi.com/sp/articles/ASR7J36PYR7GUTIL037.html
上皇さまは生物学御研究所でハゼの研究をしています。
ハゼの頭の感覚管配列やうろこの数などの特徴を比較して、種を識別する分類学がお好きだとか。
また、紅葉山御養蚕所で養蚕の作業しています。
これらの研究は私的行為とされるため、職員の人件費は内廷費から支払わなければなりません。
③お客様の食事代
天皇陛下の住まいである御所にて、お客様に出す食事も含まれます。
両陛下の私的な接待とみなされた場合は、内廷費から支払わなければなりません。
④その他
災害見舞金や私的なご旅行費、ご静養の経費などがあります。
公的なお金と私的なお金の区別が難しいと感じますね。
人件費は公的であるイメージです。
私たちが想像しているような、豪勢な生活ではなさそうですね。
天皇陛下より高収入な著名人!?
天皇陛下の推定年収6,480万円より稼いでいる日本人はどのような方がいるのでしょうか。
2023年日本の長者番付1位から5位をご紹介します。
- 柳井 正(ファーストリテイリング)4兆9,700億円
- 滝崎 武光(キーエンス)3兆1,700億円
- 孫 正義(ソフトバンク)2兆9,400億円
- 佐治 信忠(サントリーホールディングス)1兆4,500億円
- 高原 豪久(ユニ・チャーム)1兆530億円
天皇陛下の推定年収6,480万円と比べて、はるかに高額です。
膨大な仕事量をこなす天皇陛下がこの年収では、割に合わない気もします。
皇族たちも雇われることは可能か
皇族がアルバイトや就職することは禁止されていません。
黒田清子さん(紀宮さま)は山階鳥類研究所の非常勤研究助手として勤務していました。
小室眞子さん(眞子さま)は焼鳥屋やプールの監視員としてアルバイトをしたり、東大総合研究博物館の特任研究員として勤務したりしていました。
天皇陛下も、試験監督のアルバイト経験があります。
日給4,000円ほどだったとか。
試験会場に天皇陛下がいるなんて、想像もできません。
本を出版することも可能です。
上皇陛下は「日本産魚類図鑑」や「小学館の図鑑Z 日本魚類館」の一部、上皇后陛下は「はじめてのやまのぼり」という本を出版しています。
印税を受け取ることも出来ますが、上皇后両陛下は印税を寄付しました。
まとめ
天皇陛下の生活事情を紹介しました。
天皇陛下は年間休日が少ない中、日本の為に公務を全うしています。
天皇陛下が国民に寄り添ってくれるように、私たちが天皇陛下の様子に興味を持つことも大切ではないでしょうか。
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