社会福祉士の年収の目安は？高収入を目指す方法についても解説！

社会福祉士を目指している方にとっては、働いた場合に受け取れる年収が気になる方も多いのではないでしょうか。

社会福祉士は国家資格であることから、安定した収入が得られやすい特徴がありますが、年収については勤務先などにより異なります。

この記事では、社会福祉士の平均的んあ年収や勤務先による違い、高収入を目指すための方法などについて解説します。

社会福祉士とはどんな仕事？

社会福祉士とは、福祉関係の国家資格の一つです。

ソーシャルワーカーとも呼ばれていて、日常生活において問題を抱えている人の相談に乗り、必要な福祉サービスを提供します。

社会福祉士による支援の対象者は、高齢者や障がい者、ひとり親世帯、生活困窮者など幅広くなっています。

社会福祉士の年収の目安は？

令和2年度に社会福祉振興・試験センターが実施した調査によると、社会福祉士の平均年収は、福祉・介護・医療分野で就労している場合は403万円となっています。
また男女別では、男性が473万円、女性が365万円となっています。

ただし、この平均年収403万円という数字は、正社員以外に契約社員やパートタイム職員、派遣職員も含まれているため、正規職員だけの年収になると約49％が平均年収の403万円を超えています。

平成27年度に行なわれた調査によると、社会福祉士の平均年収は377万円だったため、5年間で25万円以上高くなっています。

福祉系の職種の中では年収が高め

社会福祉士は、福祉関係の職種の中では、やや年収が高い傾向があります。

社会福祉士と同じ国家資格である介護福祉士と比較してみると、介護福祉士の平均年収は292万円であるため、平均年収には差があります。

ただ、介護福祉士はパートタイムや派遣で働く人が多いため平均年収が低くなっていて、正規職員のみで比較すると、ここまで大きな差はないといえるでしょう。

職場や業務内容によって年収に差がある

社会福祉士の年収は、勤務先の施設や企業により差があります。

社会福祉士は、介護福祉施設や障害者福祉サービスで働くというイメージがありますが、実際には社会福祉協議会や医療機関、学校関係や司法関係など、勤務先の職場が幅広い資格です。

そのため、勤務先によって年収が大きく異なります。

社会福祉士の勤務先別の平均年収を紹介すると、

• 介護老人保健施設：392万円
• 病院・診療所：398万円
• 障害者支援施設：416万円
• 介護老人福祉施設：423万円
• 都道府県社会福祉協議会：475万円
• 都道府県庁：496万円
• 児童相談所：532万円
• 保護観察所・地方更生保護委員会：638万円

となっていて、幅があることが分かります。

社会福祉士で年収が高い職場について

ここでは、社会福祉士で年収が高い職場を紹介します。

保護観察所・地方更生保護委員会

保護観察所とは、犯罪をした人や非行のある少年などの保護観察を行うための法務省所管の機関です。

この保護観察所は地方裁判所の管轄地域ごとに全国50ヶ所に設置されていて、保護観察や精神保健観察などを行います。

また、地方構成保護委員会も同様に、受刑者や犯罪少年などの更生を行う機関の一つです。

このような更生保護施設で働く社会福祉士の仕事は、保護観察官として犯罪や非行をした人の社会復帰や出所後の生活をサポートします。

保護観察官は国家公務員であるため、国家公務員試験に合格する必要がありますが、平均年収は638万円と高くなっています。

児童相談所

児童相談所とは、児童福祉法に基づいて都道府県や政令指定都市等が設置している行政機関です。

18歳未満の子どもの心やからだ、学校や家庭内の問題の解決に向けて、子ども本人やその保護者に対する支援を行います。

主な仕事としては、児童福祉司として生活に困難を抱えている子どもや保護者の相談に乗り、さまざまな機関と連携しながらその問題解決をサポートします。

児童福祉司になるためには、地方公務員試験の「福祉職」か「社会福祉区分」を受験して合格する必要があります。

身体障害者更生相談所

身体障害者更生相談所は、身体障がい者やその家族に対して、専門的な知識と技術を必要とする相談や、医学的・心理的な判定業務を行う機関です。

身体障害者更生相談所では、身体障害者福祉司として身体障がい者やその家族に対する情報提供や相談対応などの相談援助業務を担当します。

身体障害者福祉司になるためには、児童相談所と同様に地方公務員試験に合格する必要があります。

社会福祉士で働くメリット

社会福祉士で働くことには、さまざまなメリットがあります。

ここでは、このメリットについて解説します。

国家資格であること

社会福祉士は国家資格である点がメリットと言えます。

国家資格は、専門的な知識と技術を保有していることを国から証明してもらえるため、職業選択や社会的信用の面で有利となり、国家資格がないと就けない職業もあります。

社会福祉士の資格を取得するためには、社会福祉士の国家試験に合格する必要があります。

ただし、社会福祉士国家試験の合格率は毎年30%前後と低く、同じ福祉系の国家資格の精神保健福祉士（60％前後）や介護福祉士(70％前後)よりも難易度が高い国家資格と言えるでしょう。

就職先が豊富にある

国家資格は就職面で有利な点がある一方、専門性が高いため進路変更が難しいというデメリットがあります。

ただ、社会福祉士は支援対象が幅広いため、就職先も豊富に存在します。そのため、資格に縛られずに自分の興味のある分野に進むことが可能です。

公務員として活躍しやすい

近年公務員は人気の職種ですが、社会福祉士は公務員として活躍しやすい特徴があります。

勤務先としても、県庁や市役所の福祉課、保健所や保健センター、児童相談所、公立の病院や介護施設など豊富に存在します。

他の資格と組み合わせやすい

社会福祉士は就職先が豊富にありますが、他の資格と組み合わせやすい点もメリットです。
そのため、活躍の幅をさらに広げることができます。

社会福祉士と相性が良い資格としては、保育士、介護福祉士などがあります。

社会福祉士が他の福祉系資格より年収が高い理由

社会福祉士は、他の福祉系の資格よりも年収が高い傾向があります。

ここでは、この理由について解説します。

社会福祉士の需要が高まっている

社会福祉士は、高齢者や障害者の福祉施設などの機関に勤務しています。

高齢者や障害者への社会的支援はなくなることはなく、超高齢社会となった日本では需要が年々高まっています。
そのため、今後社会福祉士の活躍の場は広がっていくものと考えられます。

また、子どもの虐待やいじめ問題、生活困窮者や失業者といった社会的弱者の問題の解決にも、社会福祉士は不可欠な職業です。

そのため、社会福祉士は将来的に雇用が守られ、給与面で安定しやすい職業と言えます。

資格手当がつく

社会福祉士の年収が高い理由の一つに資格手当があります。

社会福祉士の勤務先では、資格手当があることが多くなっていて、実際に福祉・介護・医療分野で働く社会福祉士で資格手当をもらっているのは37％以上あります。

社会福祉士の資格手当の平均は1万円前後で、3万円以上ある勤務先もあるため、年収に大きな差が出ることもあるでしょう。

昇進につながる

勤務先によっては、社会福祉士の資格を取得することで昇進につながるケースがあります。

社会福祉士になれば、専門的な視点から相談業務を行なえるだけなく、自分の知識や能力を勤務先にアピールできます。

社会福祉士の国家資格を取得することで昇進できれば、年収はさらに高くなります。

社会福祉士で高収入を得る方法

ここでは、社会福祉士でさらに高収入を得るための方法について解説します。

好待遇な勤務先を選ぶ

社会福祉士には、年収が高い好待遇な勤務先があります。
そのため、このような勤務先を選ぶことで高収入を得ることができます。

ただ、勤務先は額面上の収入だけでなく、将来的に見込める年収や福利厚生、労働環境も合わせて考えることが重要です。

一般的に、行政機関は初任給が低いと言われていますが、通勤手当や住居手当が手厚く、勤続年数に合わせた昇給が見込めるなどのメリットがあります。そのため、トータルの収入を検討するといいでしょう。

成年後見制度で受任をする

社会福祉士になることで、成年後見人として活動することできます。

ただし、社会福祉士の資格を取得してもすぐには成年後見人として活動できません。
研修や試験を受ける必要があり、最短でも4年はかかります。

成年後見の受任については、副業として数件程度担当する人もいれば、独立して数十件担当するケースもあります。
報酬は1件あたり年間数十万円となるため、年収を上げることが可能です。

経験を積んで独立する

社会福祉士は、独立してフリーランスとして活動することもできます。
独立することで、受ける業務や仕事量を自分で決められるため、働き方によっては高収入が目指せます。

ただし、社会福祉士に合格してもすぐに独立できるわけではありません。

独立するためには、まずは施設や機関に勤務して実務経験を積み、社会福祉士として十分な力を身につける必要があります。

独立後の仕事としては、成年後見人制度の受任、福祉施設から相談業務の請負、学校関係の非常勤講師などさまざまなものがあります。

副業をする

社会福祉士となり社会福祉士会に入会すると、さまざまな研修が実施されます。

その研修では、社会福祉士が講師になることが多いため、講師になることで収入を上げることができます。
また、大学の非常勤講師として声がかかることもあります。

他にも、クラウドソーシングサイトには、介護や社会保障などの執筆依頼や記事監修の仕事があるため、これらの仕事をすることで収入を得ることが可能です。

管理監督者になる

社会福祉士の収入を上げるには、社会福祉法人の管理監督者（施設長）になる方法があります。

社会福祉士を取得して生活相談員になり、生活相談員として10年以上の経験があれば、福祉のスペシャリストとして認定されることで、管理監督者（施設長）に昇進できる可能性があります。

また、大手企業であれば幹部候補として社会福祉士の求人がある場合もありますので、幹部候補として転職することで収入を増やすことができるでしょう。

社会福祉士になるための条件

社会福祉士になるためには、いくつかの条件があります。

ここでは、この条件について解説します。

社会福祉士試験の受験資格を取得

社会福祉士の国家資格を取得するためには受験が必要ですが、まずは受験するための資格が必要です。

社会福祉士の受験資格には、以下の条件があります。

• 福祉系大学などで必要な科目を履修している
• 相談援助の実務経験の有無や経験年数
• 一般養成施設や短期養成施設の卒業の有無

福祉系大学を卒業して必要な科目を履修している場合は、相談援助の実務経験がなくても社会福祉士の受験資格があります。

一般の大学を卒業した場合や相談援助業務の経験がある場合は、一般養成施設に通うことで受験資格を獲得できるケースがあります。

自分が受験資格を得る条件がわからない場合は、養成施設に問い合わせてみましょう。

社会福祉士国家試験を受験

受験資格を取得したら、実際に社会福祉士の試験を受けます。

社会福祉士の試験は、毎年1回2月上旬に設定されています。
受験するためには、前年の9～10月に申し込む必要があるため、忘れずに申し込みをしましょう。

社会福祉士の試験の合格率は約30％～40％程度と、福祉系の国家試験としては低くなっています。

そのため、独学で社会福祉士の試験に合格することは可能ですが、スクールや通信講座を活用するほうが合格に近づくでしょう。

まとめ

ここまで、社会福祉士の年収の目安や高収入を得るための方法について解説しました。

社会福祉士は難易度が高い国家資格であることから、福祉系の資格と比較すると年収が高い傾向があります。

また、近年需要が増えていて、昇進しやすいなど、収入を高くすることができる職種です。
さらに、独立することでより高い収入も目指せます。

社会福祉士の国家資格を取得するためには、受験資格を得た後に試験に合格する必要があります。
社会福祉士の国家資格は合格率が低く、試験は年に1度しかないため、合格に近づくためにはスクールや通信講座を活用してみましょう。