20代から30代だけでなく、50代の方の転職も徐々に増えてきています。
しかし、社会人生活の後半である50代での転職は、時として「みじめ」と言われることがあるようです。
本稿では、50代の転職市場の現状や、なぜ50代の転職が「みじめ」と評価されるのか、そして50代で転職を成功させるためのポイントについて、詳しくご説明いたします。
50代での転職における実態
年度 | 転職者数
(45歳~54歳) |
転職者数
(55歳~64歳) |
---|---|---|
2021年 | 52万人 | 42万人 |
2022年 | 54万人 | 45万人 |
2023年 | 57万人 | 50万人 |
年収が下がることの方が多い
50代での転職では、年収が下がることが多く、そのことが「みじめ」と感じられる理由の一つになっています。
厚生労働省の『令和4年雇用動向調査』の結果を見ると、転職入職者の賃金変動状況は厳しいものです。
年齢 | 割合(減少) | 割合(増加) |
---|---|---|
50歳~54歳 | 36.1% | 24.9% |
55歳~59歳 | 39.9% | 29.1% |
50歳~54歳では36.1%、55歳~59歳では39.9%の方が賃金を減らしています。
50代での賃金増加の割合は約27%にとどまっており、減少した方の割合が上回っています。
特に、企業とのスキルや経験に対する認識にずれがある場合、年収が下がるリスクが高まります。
未経験・異業種への転職は厳しい
未経験や異なる業種への転職が難しいと言われることも、50代の転職が「みじめ」と感じられる理由の一つです。
20代などの若い世代は、未経験や異業種の会社での中途採用選考であっても、転職が成功しやすい傾向があります。
これは、20代や第二新卒は柔軟性が高く、新しい知識を身に付けやすいことに加えて、会社にとって転職後の在籍年数が長いと見込めるため、教育投資をしやすいからです。
一方で50代は、柔軟性が低く未経験・異業種でのスキル習得が難しいことや、定年までの期間が若手より短いため、企業が教育コストをかけにくい状況にあります。
そのため、未経験や異業種への転職のハードルが高くなり、転職が困難になることも「みじめ」と言われてしまう要因の一つとなっています。
上司が自身よりも年下なことも
50代で転職をすると、上司や同僚が自分より若い年齢の場合があります。
新しい職場で仕事を学ぶ際は、ほとんどのことを年下の上司や同僚から教えていただくことになるでしょう。
年齢や立場に関わらず、素直に教わることができる方、学ぶ姿勢のある方であれば、特に問題は生じません。
新しい環境に馴染むのが難しいと思われている
新しい職場環境に溶け込むのが難しいと思われていることも、50代での転職が「みじめ」だと言われる理由の一つです。
20代・30代は若いため、企業の既存のやり方にとらわれず、柔軟に対応できます。
一方で、50代は若手と比べて柔軟性が低いと見られることに加えて、同じような背景で転職してきた人が少なく、年齢を重ねているために職場で気を遣われるなどの理由で、新しい環境に馴染めないと考えられています。
実際には、50代だからといって必ずしも転職先に馴染めないわけではありません。コミュニケーション能力や適切な礼儀・マナーがあれば、50代でも新しい職場環境に溶け込むことは可能です。
年齢制限のある求人が多い
50代の方は、前職で培ったキャリアがあるため、採用企業はそのスキルに見合った給与を支払う必要があります。
そのため、若手社員を採用するよりも人件費が高くなってしまいます。
若手社員は、教育投資後も長期にわたって会社に貢献できる可能性が高いです。
しかし、定年退職制度が一般的な日本では、50代の方に若手のような長期的な貢献を期待することは難しくなります。
このような背景から、50代の方が転職を考えても、求人数自体が非常に限られています。
さらに、その少ない求人に50代の求職者が集中するため、競争が激しくなります。
結果として、限られた求人に多くの候補者が殺到するため、50代での転職は「厳しい」または「難しい」と言われることになります。
求人が若手よりも少ない
50代の転職では、若い世代と比べて求人が少ないことが、転職の難しさの一つとされています。
多くの企業は、20代や30代の若手を中心に人材を募集しており、将来性のある若い人材を求めています。
年齢を重ねるにつれて、自分が希望する仕事の内容も変化するため、50代向けの求人は限られています。
プライドが高いと思われてしまう
50代で転職する際、企業から「プライドが高そうだ」と見られることがあります。
50代は豊富な経験とスキルを持つ年代です。しかし、転職すると、中途採用の新人として立場が変わってきます。
面接の際に、自分のプライドが言動や態度に出てしまう可能性があります。
これを避けるためには、真摯に新しい仕事や職場の仲間に溶け込もうと努力することが大切です。
「年下に教わるのはみじめだ」ではなく、「新しい環境で最初から学び、馴染んでいこう」という姿勢と言動が重要なポイントです。
50代の転職でみじめといわれる人はどんな特徴がある?
転職回数が多すぎる
50代での転職において、「みじめ」になりやすい人の特徴として、転職回数が多すぎることが挙げられます。
数回の転職であれば問題ありませんが、短期間で転職を繰り返しすぎると、就職活動で敬遠されるリスクが高まります。
若い世代では転職回数が多くても転職できていた人が、50代になって同じように転職活動を繰り返すと、選考に落ちる可能性が増え、「みじめ」な気分に陥りやすくなります。
もちろん、単に転職回数が多いというだけでは、ほとんどの場合問題にはなりません。
自分の市場価値を知らない
50代で転職を考えている方は、自分の市場価値をしっかりと理解していないと、転職活動で苦労する可能性が高いです。
市場価値とは、あなたが社会でどれだけ役立つかを示す指標のことです。あなたのスキルや経験、知識などによって、ある程度判断できるものです。
狭い範囲でしか自分の市場価値を見極めていないと、現実との認識のギャップに気づかず、転職活動がうまくいかない危険性があります。
待遇や環境の変化についていけない
年齢を重ねるにつれて、変化への対応が難しくなる傾向があります。転職では、待遇や環境の変化は避けられません。
待遇や環境の変化に十分に対応できないと、心の調子を崩し、転職後のストレスなどの問題を引き起こす可能性があります。
自分の強みを理解していない
自分の長所や得意なことを把握できていない人は、転職活動でつまずき、心が折れてしまう可能性が高いです。
自分の強みをしっかりと理解し、それをどのように活かせるかを転職先の企業に上手に伝えることで、初めて成功への道が開けます。
求める条件が高すぎる
50代での転職において、条件にこだわりすぎて「みじめ」な気持ちになりやすい人がいます。
理想が高すぎるために、希望する求人になかなか出会えないのです。
50代の転職では、自分の希望を諦めたくない気持ちはよくわかります。
さらに、良い条件の求人は人気が集中し、競争率も高くなってしまいます。
結果として、選考に通過できなかったり、転職先が決まらないケースが増えてしまいます。
こうした状況を気にしない人は良いのですが、落ち込みやすい人は「みじめ」な気分に陥りやすくなります。
プライドが高い
50代で転職する際に、自尊心が強すぎる方は、悲しい経験をしてしまうかもしれません。
これまでの仕事で築いてきた自負心が、実は転職活動の妨げになることがあるので、気をつける必要があります。
自分にこだわりすぎるあまり、柔軟性を失い、新しい可能性や転職先の選択肢を狭めてしまう危険性があります。
50代の転職でみじめといわれないポイント
自己分析をする
50代で転職する際に、恥ずかしい思いをしたくないと感じている方には、自己分析を行うことがとても大切です。
自己分析を実施するかしないかで、自分の強みの明確さには驚くほど大きな違いが生まれます。
もし一人で自己分析を行うことに不安を感じている方は、転職に強い専門のエージェントサービスを利用することをおすすめします。ぜひチャレンジしてみてください。
業界研究をする
これまで携わってきた業界について、「自分の経験やスキルを通してどんな仕事がしたいか」「今までの能力をどう活かせるか」をじっくり考えてみるとよいでしょう。
業界について調べることで、転職先でどのように役立てるかなどの具体的な内容が明確になり、採用担当者に自分の思いをわかりやすく伝えられるようになります。
在職中に転職活動を開始する
仕事をやめてから転職活動を始めると、収入がなくなり、生活を維持するのが難しくなる可能性があります。
収入がない状態で転職活動を続けると、早く次の仕事を決めなければならないというストレスに押しつぶされそうになり、心の健康に良くありません。
焦って安易に転職先を決めてしまうと、自分に合わない仕事を選んでしまう危険性があるので、じっくりと時間をかけて転職活動を行うことが大切です。
長期的な視点で転職活動を進めるためにも、現在の仕事をしながら早めに転職活動を始めましょう。
50代で転職先をすぐ決めるにはどうすればいい?
人脈がある・人脈をつくる
人脈は50代で転職先をすぐに見つけられる人の特徴の一つです。
20代と比べて、50代は長年の仕事を通じて、取引先や企業との信頼関係を築いてきた可能性が高いです。幅広いネットワークを持っていることも多いでしょう。
こうした人脈は簡単に作れるものではありません。採用企業にとっても大きなメリットがあるため、人脈のある人は採用されやすい傾向にあります。
そのため、経験やスキルに加えて、これまでの社会人経験で築いてきた人脈がある人は、転職活動で成功しやすいと言えます。
年収が下がることを恐れない
内定をもらうためには、現在の年収よりも低い給与でも受け入れる覚悟が必要です。
年収にこだわりすぎると、自分に合った転職先を見つけるチャンスを逃してしまう可能性があります。
正社員にこだわらない
50代の中途採用の求人は限られているため、転職経験が多い方や、仕事の空白期間がある方は、正社員ではなく、契約社員やパートタイムで働くことをお勧めします。
また、非正規の仕事に就きながら、同時に正社員への転職活動を続けることも、一つの有効な方法です。
中小企業やベンチャー企業も視野に入れる
これらの企業は大規模な募集を行わないことが多いため、求人情報が見つかりにくく、大手企業と比べて競争率が低い可能性があります。
50代の方は、これまでに培った経験やスキル、キャリアを中小企業やベンチャー企業で十分に活かせることがあります。
50代の転職では、視野を広げることで転職の成功確率を高めることができます。
転職エージェントを活用する
転職エージェントは、業界ごとの最新トレンドや求人市場の情報、さらには通常は公開されていない求人情報を無料で教えてくれます。
このような専門的な情報は、自分一人で転職活動をする場合には簡単に手に入れられないものです。そのため、転職市場での競争相手に比べて有利な立場に立つことができます。
また、転職エージェントは、履歴書の改善や面接対策など、転職の各段階で実践的なサポートとアドバイスを提供してくれます。
転職エージェントは、転職が決まった際に採用企業から報酬を受け取るシステムのため、利用する側は一銭も費用を払う必要がありません。
相談した結果、転職しなかったとしても何の不利益もないので、転職エージェントをためらわずに最大限に活用するのがお得です。
まとめ
50代の転職では、これまでのキャリアで築いてきた評価と、現在の転職市場での評価との間にギャップがあり、希望する転職先が見つからないことがよくあります。
これまで培ってきた知識やスキルを活かして、独立という新しい働き方に挑戦するのも一つの選択肢です。
50代で従来の「雇用契約」にこだわることは、魚がほとんどいない池で釣りをしているようなものです。
転職のプロがしっかりとサポートしてくれます!
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