40代の転職はみじめ？厳しい現状や転職を成功させるポイントを解説

40代で転職を考えている方の中には、

と不安に感じる人が多くいます。

厚生労働省の調査結果によると、多くの企業では40代の求人数が20代・30代と比べてかなり少ない状況です。

40代向けの求人があったとしても、高いスキルや豊富な経験が求められるため、未経験で異なる業界に挑戦する場合は、転職がさらに難しくなることがあります。

40代での転職を成功させるには、これまでのキャリアで培ったスキルを見直し、自分に合った適正な年収水準を客観的に把握しておくことが大切です。

なぜなら、企業は応募者の年収に見合った経験を最も重視しているからです。

40代で転職を考えている人向けに、転職を成功させるコツも紹介するのでぜひ最後まで御覧ください。

40代転職の現状

40代での転職割合

2023年の厚生労働省の調査によると、40代の転職入職率は以下のようになっています。

40～44歳の転職入職率は、男性が3.5％、女性が4.5％です。

45～49歳の転職入職率は、男性が2.4％、女性が5.0％となっており、40代の転職入職率は全体的に低いことがわかります。

40代向けの求人は確かに存在しますが、多くは管理職などの重要なポジションに集中しています。

管理職の求人が少ないため、転職活動に苦戦し、自信を失う方もいらっしゃるでしょう。

企業の採用では、35歳以下に年齢制限を設けるケースもあります。これは長期的なキャリア育成を目的としているためです。

厚生労働省は、人材募集や採用における年齢制限を原則として禁止しています。

ただし、長期勤続によるキャリア形成や技能継承を目的とする場合は、一定の条件下で年齢制限が認められます。

年齢制限のある求人では、前職の経験に関する表現が制限されます。

これは企業が若手人材を希望していることを示唆しています。

40代が意識すべき定年

厚生労働省は、人生100年時代を見据えて、高齢者の雇用を積極的に推進すると表明しています。

2025年からは、現在経過措置中の定年引き上げが正式に義務化され、定年が60歳から65歳に引き上げられることが決定しています。

2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、企業は70歳までの定年引き上げや雇用継続制度の導入が努力義務となりました。

このため、40代はキャリアの折り返し地点と捉えることができます。

40代転職がみじめといわれる理由

年齢が理由で転職活動が厳しい

求人情報に年齢制限の記載がなくても、企業は若い世代の応募者を好む傾向があります。

また、年齢制限のない求人であっても、通常は若い応募者が優先されることが多いです。

40代で中途採用を目指す場合、20代や30代前半のような潜在能力での採用は難しいでしょう。

特別な経歴やユニークなスキルがないと、書類選考を通過するのは非常に困難になります。

40歳を超えてからの転職は、年齢による壁を感じて、心が沈みがちになる可能性が高いと言えます。

収入が下がりやすい

同じ40代の中でも、40代後半は40代前半に比べて転職が難しいと言えます。

特に40代後半の方は、転職すると年収が下がるリスクがあるので注意が必要です。

例えば、同じようなスキルを持つ40歳と49歳の方が同じ求人に応募した場合、企業は将来性のある40歳の方を選ぶ可能性が高いでしょう。

厚生労働省の調査結果によると、40～44歳では37.4%、45～49歳では32.5%の方が転職によって賃金が減少しています。

転職で収入アップができるケースもありますが、40代後半から50代にかけての転職では年収が大きく下がることも十分に考えられるので、慎重に検討する必要があります。

希望する条件や求められるスキルとの差がある

40代の転職において、みじめと感じられる理由の一つは、希望する条件と企業から求められるスキルとの間に大きな隔たりがあることです。

40代の転職市場では、即戦力となる人材を求める企業が多く、そこで必要とされるのは、しっかりとしたマネジメント経験です。

ただし、役職に就いていただけでは、本当のマネジメント経験とは認められないので、注意が必要です。

待遇面で自分の希望する条件が合っていても、企業側が求めるスキルのレベルが高いと、結果的に採用には至らないことがあります。

新しい環境に馴染みにくいイメージを持たれている

40代の社会人経験がある方は、新しい職場で「うまく馴染めないかもしれない」「仕事の進め方が難しいかもしれない」といったマイナスなイメージを持たれることがあります。

20代や30代の方は、新しいことを学ぶことに抵抗がなく、新しい環境に早く慣れることができます。

転職先の上司も、40代の新人に対して気を遣い、仕事を頼みにくいと感じることもあるでしょう。

40代の転職では、新しい環境に前向きに馴染もうとする姿勢が大切です。

転職することだけでなく、転職先で居場所を見つけられず、つらい思いをする可能性にも注意が必要です。

 40代での転職失敗でみじめになる人の特徴

就職先を熟考しない人

現在の職場環境が良くないため、早く辞めたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。会社の業績悪化やリストラなど、転職の理由はさまざまです。

しかし、どのような理由であっても、就職先をよく考えずに転職をすると、みじめな思いをする可能性が高くなります。

例えば、「通勤時間が30分長くなるけど我慢する」「求められる仕事のレベルが自分の実力より高いけど、無理して頑張る」「残業が多いけど、収入アップのために諦める」など、無理をして急いで転職すると、転職後に後悔する可能性が高くなります。

このように妥協して転職すると、職場が自分に合わないと感じて、結果的にすぐに辞めることになるでしょう。若いころと違い、次の転職先がすぐに見つかる可能性は極めて低くなります。

また、大手企業で退職勧告を受けていない状態で、退職金を目当てに早期退職を選択する人も少なくありません。

焦って退職すると、「早く就職先を決めなければ」という新たな不安を生み出してしまいます。

転職活動中に焦ると、自分が本当に希望していない企業に転職してしまう可能性があります。

これまで築いてきたキャリアを無駄にしないためにも、退職や転職については慎重に検討する必要があるでしょう。

年下上司に抵抗がある人

40代の転職では、年下の上司に指導してもらうことに違和感を感じる方は、心理的に苦しくなりやすいでしょう。

スキルが高く即戦力として採用された場合を除き、多くは一般社員として新たなスタートを切ることになります。

以前の職場で役職があった方も、転職後は一般社員として、年下の上司から指示を受けることが多くなります。

スキルがあっても、仕事の進め方は前の職場と同じではないため、新しい業務の流れを教わらないと、スムーズに仕事を進めることは難しいでしょう。

 収入アップにこだわりすぎている人

収入アップにこだわりすぎると、希望する転職先が決まらず、落胆してしまうかもしれません。

確かに、若い頃と違い、40代の転職では誰もが収入を上げたいと考えるでしょう。

しかし、収入アップだけに目を向けると、「自分のスキルや経験を活かせる仕事かどうか」や「将来の目標を実現できる職場かどうか」といった重要なポイントを見逃してしまう可能性があります。

収入アップだけでなく、自分が求める条件や、将来のビジョンに合っているかどうかも慎重に検討する必要があります。

未経験の業界にチャレンジする人

40代の転職では、業界経験のある方が有利になることが多いです。

未経験の方は、若い人材を優先的に採用する企業が多いため、専門知識や経験がない状態で正社員として就職すると、苦労する可能性が高いでしょう。

ただし、全ての業界で未経験者の採用が難しいわけではありません。

マイナビ転職の求人情報によると、いくつかの業種では「未経験者歓迎」の求人が多く、40代の未経験者でも挑戦のチャンスがあるようです。

転職回数が多い

転職を重ねると、企業からよい印象を得るのは難しいかもしれません。

第一次選考では、企業は履歴書や職務経歴書を通じて採用を判断します。

転職の理由が引越しや会社の倒産など、やむを得ない事情であっても、書類だけでは詳しい状況がわかりません。

転職を繰り返すと、

といったマイナスのイメージを持たれやすく、面接に進むことも難しくなります。

転職回数が5回以上の方は、転職理由を分かりやすく説明できるよう準備し、自分の強みを積極的にアピールすることが大切です。

家族としっかり話し合えていない人

40代の多くの方は、家族と共に子育ての真っ最中です。お子様が中学、高校、大学に通っているため、教育費がもっとも高くなる時期となっています。

40代は、子どもたちの学費を支えるために懸命に働き、家族の収入を支える大切な時期です。

そのため、40代で転職をすることは、家族にとって経済的な不安を招く大きな課題となります。

40代の転職は、個人だけの問題ではなく、家族全体に大きな影響を与えます。そのため、一人で勝手に決めることは難しく、家族からの反対も多いでしょう。

自分の意思だけでは転職を決められず、転職活動さえ始められない状況に、無力感や挫折感を感じてしまうかもしれません。

40代で転職成功する人はどんな人？

高いスキルや専門性がある人

高いスキルや専門性があると、企業に選んでもらいやすく、転職に有利です。

企業が40代の中途採用を募集する理由は、今までに身につけたスキルや専門性を職場ですぐに発揮してもらえるからです。

例えば、現代の企業にとって、自社の商品やサービスを売る仕組みを作るマーケティング力は必要不可欠です。

マーケティングの経験があれば、異なる分野でも今までの経験を活かすことができます。

また、求人票で経験者を優遇している企業は、即戦力となる人材を期待しています。

企業が求める職種が「労務・人事」の場合、入職や退職に必要な届出、社会保険や雇用保険などの一連の手続きへの理解が求められます。

さらに、給与計算、年末調整、人事採用の経験があれば、より高い役職で活躍できる機会が増えるでしょう。

管理職の経験や人脈がある人

管理職の経験や人間関係のネットワークがある人も、転職で成功しやすくなります。

40代は年齢的に管理職の立場にある方が多く、幅広い人間関係を持つ方もいらっしゃるでしょう。

例えば、介護業界での管理職経験は、介護職員をまとめる責任者として人材育成に欠かせません。

このように、管理職の経験や人間関係のネットワークは、転職後もスキルとして活用できるでしょう。

新しい環境や人間関係に柔軟に対応できる人

新しい環境や人間関係に柔軟に対応できる人は、転職しても成功しやすいでしょう。

40代の転職では、今までの経験から「自分は仕事ができる」という自負があり、新しい職場になじめない方も少なくありません。

年下の上司から指導を受ける場合でも、謙虚な気持ちで最初から学ぶ姿勢が大切です。

また、職場が変わっても、新しい環境に柔軟に対応できる人は、どこへ行っても人間関係でつまずくことは少ないでしょう。

このような心構えがあれば、特別な技能がなくても、心がけ一つで40代の転職を成功させることができます。

企画や提案ができる人

企画や提案ができることも、40代の転職で成功する人の特徴です。

提案と聞くと「営業」を思い浮かべがちですが、営業以外のすべての業務でも企画や提案は求められます。

転職後は、指示された仕事を正確にこなすことは最低限の期待です。

40代は、これまでの経験と知識を活かして

など、会議で積極的に提案していくことが大切です。

40代の転職をみじめ​​にしないためのポイント

自分の市場価値を把握する

自分の価値を知るには、「転職エージェント」を利用するのも一つの方法です。

転職エージェントは、求職者のこれまでの経歴や希望する条件をしっかりと理解し、たくさんの企業情報の中から、あなたに合った求人を紹介してくれるサービスです。

さらに、スカウトと呼ばれる人事や採用担当者からの直接的な連絡を受けることもあり、そのスカウト内容から自分の市場での価値を知ることができます。

また、あなたのキャリアに合わせた転職の方向性について相談したり、職務経歴書の添削をしてもらえたりします。

自分の市場価値を把握する方法として、無料の転職エージェントに登録してみるのもおすすめです。

自己分析で強みやアピールポイントを明確にする

40代の転職では、自分の強みやアピールポイントを丁寧に分析することがとても大切です。

豊富な経験とスキルがあるにもかかわらず、自己分析をしっかりと行わないまま転職活動を始めてしまうと、自分に合った企業を見つけるのが難しくなってしまいます。

自己分析を効果的に進めるために、次の点を意識してみてください。

もし一人で自分のアピールポイントを見つけるのが難しい場合は、40代向けの転職エージェントに相談するのがおすすめです。

スキルや専門性を活かせる企業を探す

40代の転職では、あなたのスキルや専門性を活かせる企業を見つけることが大切です。

専門性のある仕事というと、医師や看護師、弁護士などがすぐに思い浮かびますが、これらの資格を持っている人は限られています。

ただし、専門性とは「特定の分野で深い知識や経験、技術があること」を意味するので、実はさまざまな分野で専門性やスキルを活かすことができます。

例えば、医師や弁護士以外にも専門性のある仕事は、「ITエンジニア」「建築・リフォーム業」「デザイナー」「バイザー」「資産運用（FP）」「医療事務」「人事・労務関係」「Webデザイナー・Webライター」などがあります。

希望する企業は徹底的に調べる

希望する企業には、応募する前に徹底的に調べることをおすすめします。

事前に企業について調べずに、自分の想像だけで企業のイメージを作るのはよくありません。

転職後に、自分が想像していた職場と違うことに気づくと、現実とのギャップに失望し、結果として辛い思いをする可能性があります。

企業の理念や目標、福利厚生、職場の雰囲気などは、企業のホームページで事前に調べることができます。

希望条件の優先順位を決めた上で妥協点を見つける

希望する条件の優先順位をしっかりと決め、落とし所を見つけることで、納得のいく転職につながります。

40代の転職では、希望するすべての条件が完全に一致する求人はほとんどないので、以下の条件から大切にしたい順番を決めておきましょう。

自分の希望条件の中で、最も大切にしたい部分と、多少譲れる点を事前に整理しておくと、転職後に後悔して落胆する可能性を減らすことができます。

40代の転職でおすすめの業界

飲食業界：未経験でもOK

飲食業界は、40代の方でも未経験から始められる職場が多く、おすすめの業界です。

コロナウイルスの流行で一時的に業績が落ち込みましたが、現在は徐々に回復し、活気を取り戻しています。

コロナ禍において売上げが減少し、従業員を減らさざるを得なかったため、現在は人手不足が深刻な状況です。そのため、多くの飲食店が未経験者を積極的に採用しています。

未経験の方は、最初はホールスタッフとして働き始めますが、努力次第では比較的早くマネージャーに昇進できる可能性があり、キャリアアップのチャンスが豊富な業界となっています。

IT業界・Web業界：アフターコロナで人気

ITの世界は、簡単に言えばインターネットに関わる仕事で、「ウェブ」「通信」「ソフトウェア」「ハードウェア」「情報処理サービス」の5つの分野に分けられます。

その中でもウェブサイトの制作や運営を行う会社をウェブ業界と呼びます。

IT業界やウェブ業界は、若い人向けの仕事だと思われがちです。

しかし、事務や経理などの裏方業務であれば、40代以降の方でも採用される可能性が高いです。

一見、若者中心の業界に見えますが、実は40代の豊富な知識や経験が大切にされる業界でもあるのです。

運送業界：人手が足りない

運送業界のドライバーは、ネットショッピングの増加により人手不足となっており、就職しやすい業界となっています。

タクシーを運転するには二種免許、バスを運転するには大型二種免許、トラックはサイズによっては大型免許が必要になります。

一方で、宅配や介護施設、幼稚園の送迎に使う小型のマイクロバスは、普通免許があれば運転できます。

特に宅配ドライバーは人手が大変不足しており、求人も多いため、40代の方でも就職しやすい職種となっています。

介護業界：求人数が多い

介護業界は慢性的な人手不足で、重要な仕事のため求人が多く、転職におすすめの業界です。

介護職は経験や年齢を問わず、資格がなくても始められるため、40代からの転職者が多い職業です。

介護職は、老人ホームやデイサービスで、高齢者や障害者の身体的ケアや食事の補助を日常的に行う仕事となります。

資格がなくても働くことができ、介護職員初任者研修は講座を受講すれば、ほとんどの方が取得できる資格です。

介護職は60代を超えても働くことができるため、資格を取得して本格的に介護福祉士を目指すのも良い選択肢です。

清掃業界：シニアでもOK

清掃業界はシニア世代でも求人があり、資格不要ですぐに働ける人気の職業です。

清掃業務は、人々が生活する場所に欠かせない仕事で、常に需要があるため求人が多く安定しています。

最近は共働き世帯の増加や生活スタイルの変化により、個人の自宅でも清掃サービスを依頼するケースが増えており、個人で清掃業を始めることも可能となっています。

まとめ

さまざまな難しさがあり、挫折感を感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、適切な対策と心構えがあれば、スキルアップや待遇改善のチャンスを得られる年代でもあります。

40代は焦らずに、じっくりと自己分析と準備を行うことが大切です。定年まで約20年ある40代は、まだまだこれから活躍できる働き盛りの年代です。

自分のやりたい仕事に挑戦し、レベルアップを目指して、転職を成功させましょう。