高い?安い?消防士の年収を徹底解説!

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「消防士って人気のイメージがあるけど収入はどれくらいなんだろう?」

「危険と隣り合わせの職業だけどそれに見合う給料になってるのかな?」

消防士を目指す人もそうでない人も、一度は気になったことがあるでしょう。

消防士は他の公務員と比較して年収が高いと言われています。

その一方で、仕事内容を考えると低いと言う意見もあります。

仕事の大変さの感じ方は個人差があるのが事実です。

本記事ではひとつの目安として、消防士の年収を紹介します。

消防士になろうと考えている人や消防士の年収が気になる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

消防士の平均給与と平均年収

消防士の平均給与・年収は一般企業に比べると高額な傾向です。

総務省が行った「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」を見ると、平均年収は約636万円となっています。

一方で、一般企業の平均年収は国税庁の調査によると約443万円です。

実際の消防士の給与内訳を見てみましょう。

給与月額合計(諸手当込み) 403,520円
平均基本給月額(扶養・地域手当込み) 337,309円
給与月額(扶養・地域手当なし) 301,948円
平均賞与(期末手当+勤勉手当) 1,521,164円

参照:令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果

各種手当てを含まない平均月給額は「約30万1千円」で、各種手当てを含めると「約40万3千円」となります。

40万3千円×12ヶ月に平均賞与を足して、平均年収は「約636万円」の計算です。

階級による給与の違い

消防士の給与は階級によっても大きく変わります。

各地方によっても違いがあるので、本記事では東京都総務局人事部が発表している「令和4年度 等級及び職制上の段階ごとの職員数」と「公安職給料表」を見ていきましょう。

以下の表は月額の給与です。

1級 消防士 173,100円~334,300円
2級 消防士長 200,500円~374,500円
3級 消防司令補 207,500円~401,900円
4級~5級 消防指令 229,200円~442,700円
6級~7級 消防司令長 286,300円~475,500円
8級 消防監・消防正監・消防司監 509,600円~527,400円

参照:「令和4年度等級及び職制上の段階ごとの職員数」「公安職給料表

上記の表を見れば、階級が上がれば収入も上がるのがわかります。

また、同じ階級でも給与の差があるのは年齢によっても変わるからです。

ここに各種手当や賞与があるので、年収はさらに上がります。

地方によって違う給与

次に、地域による給与の違いを見ていきましょう。

こちらでも総務省の「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」から見ていきます。

北海道・東北地方 約308,479円
関東地方 約346,918円
中部地方 約322,520円
近畿地方 約343,810円
中国地方(※鳥取県を除く) 約321,886円
四国地方 約325,115円
九州地方 約313,128円

※鳥取県は給与の掲載がないので除きました

こちらの表は地方公務員給与実態調査の各都道府県の平均給与から、地域ごとの平均を計算しました。

以上の表から、関東地方や近畿地方など都市部は少し平均給与が高いことが分かるでしょう。

一方で地方は人口が少ないため出動回数が少ないなどの話もあり、額面から受ける印象と消防士が感じる印象に違いがあるようです。

昇給の仕組み

消防士の階級は消防士→消防士長→消防司令補→消防司令→消防司令長の順で昇給していきます。

その上にあたる消防監・消防正監・消防司監は、都市の大きさによっては役職自体が存在しません。

昇格制度は消防本部によって異なりますが、共通しているのは昇級試験が存在していることです。

昇級試験は誰でも受けられるわけではなく、階級によって必要な勤続年数が定められています。

東京都の場合、消防士長への昇格試験の受験資格は「大卒採用で3年以上、高卒採用(採用時に20歳以上)で4年以上、高卒採用(採用時に18歳以上20歳未満)で5年以上」の勤続年数が必要です。

その上で、過去1年以内に減給以上の懲戒処分を受けてない者に限られています。

試験の内容は筆記試験・小論文・人事評価の1次試験と面接の2次試験です。

福利厚生

消防士は地方公務員なので、基本的には各市町村の職員と同じ様な支援を受けられます。

総務省が公表している福利厚生は以下の6種類です。

  • 休日・休暇・・・4週間に8日の休み、1年に20日間の有給休暇、慶弔休暇、夏期休暇など
  • 給与及び諸手当・・・一般職員と異なる特別給与表、出動手当あり
  • 産前産後休暇・・・産前から産後まで合計で14週間取得可能
  • 育児休業・・・子供が3歳になるまでの間で、職場復帰は先輩と相談
  • 育児短時間勤務制度・・・法律や条令で定める勤務の形態により勤務時間がかわる
  • 部分休業・・・育児の状況に合わせて、最大で2時間以内の部分休業が可能

参照:総務省ホームページ

発表されてる情報を見る限り、子育てに関する福利厚生が充実している印象です。

ですが、一般企業と比べると独特な福利厚生はないように感じます。

他の公務員との比較

一般企業と比べると高額に感じられる消防士の年収ですが、他の公務員と比べるといかがでしょうか。

今回は「消防士」「警察官」「税務職」「小・中学校(幼稚園)教育職」で比較していきましょう。

消防士 警察官 税務職 小・中学校(幼稚園)教育職
給与月額合計(諸手当込み) 403,520円 465,676円 379,229円 408,337円
平均基本給月額(扶養・地域手当込み) 337,309円 365,996円 318,970円 380,187円
給与月額(扶養・地域手当なし) 301,948円 325,987円 294,205円 350,722円
平均賞与(期末手当+勤勉手当) 1,521,164円 1,638,063円 1,425,098円 1,686,061円
平均年収(給与月額×12+賞与) 6,363,404円 7,226,175円 5,975,846円 6,586,105円

参照:令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果

今回比較した4つの職業で年収が一番多いのは警察官です。

各種手当を含まない額では教育職が一番多いので、警察官は手当が多いことがわかります。

今回は平均で見ているので、役職や勤続年数または業務内容によっては変動するでしょう。

仕事の身体的・精神的な負担の大きさや仕事量が給料の違いに表れている印象です。

消防士になるには?

消防士になるのに必要なものは2つあります。

  • 採用試験合格
  • 消防士学校

順番に解説するので、ぜひ見てください。

採用試験合格

地方公務員である消防士になるためにはまず、採用試験に合格しなければなりません。

採用試験の内容は各地方によって違いますが、1次試験と2次試験があります。

1次試験は論文や教養試験などの筆記試験が行われており、他の公務員と同様に約20科目もの勉強が必要です。

教養試験に加えて、適性検査と論文試験があります。

2次試験は身体・体力検査と面接があり、学校で行われているようなスポーツテストと同じ様な感じです。

面接は個人面接の自治体が多く、時間は1人あたり約20~30分ほどになります。

試験の日程は自治体によって異なり、複数の自治体を受けることも可能です。

消防士学校

採用試験に合格したら、各消防署に配属される前に消防学校に入学します。

消防学校は全寮制になっていて、内容は約半年間で訓練や学習などの初任教育です。

おおまかに3つのカリキュラムに分かれています。

  • 基礎教育:消防士としての心得や法制度や、服務規程などの消防士としての基礎を学ぶ。
  • 実務教育:各業務に関する基礎知識や消防用設備・建築・救急に関する知識を身につける。
  • 実科訓練:消防活動における基本的な動作を学ぶほか、筋力・体力の錬成も行う。

消防士には夜間当直があるので、消防学校でも当直シフトが組み込まれているのが特徴です。

なお消防学校は学校教育法における学校とは異なり、消防組織法に定める訓練・学習施設なので在学中でも給与が支給されます。

よくある質問

消防士に関してよくある質問に答えていきます。

  • 消防士の初任給は?
  • 高卒と大卒でどれくらい違うのか?
  • 田舎は年収が安い?
  • 女性の消防士もいますか?

順番に答えていくので、少しでも気になった方は読んでください。

消防士の初任給は?

消防士の初任給は各自治体によって変わりますが、平均すると大体20万円くらいになります。

一般企業の初任給の平均がおおよそ20万くらいなので、初任給だけで比べるとあまり変わらないように感じるでしょう。

大阪市で公表されている初任給は、大卒が212,744円で高卒が181,076円です。

東京消防庁の募集要項によると、大卒で約259,300円、高卒で221,800円となっています。

平均給与の差と同様に、初任給も地方によって差があるのが明確です。

ここから長く働けば年齢とともに給料は上がっていきますし、役職が付けばさらに給料は増えていきます。

高卒と大卒でどれくらい違う?

先ほどの質問でも少し触れましたが、消防士は高卒と大卒で初任給や昇級試験の受験資格が変わります。

初任給を見てみると、大阪市も東京消防庁も大卒と高卒で約3万円ほどの差があるのが分かるでしょう。

次に、東京消防庁における昇級試験を受験するために必要な勤続年数を見てみます。

大卒 高卒
消防士長昇任試験 消防士として3年以上の実務実績 消防士として5年以上の実務実績
消防司令補昇任試験 消防士長として1年以上の実務実績 消防士長として3年以上の実務実績

参照:東京消防庁職員任用規定

消防司令以上の役職の昇任試験は大卒・高卒(採用時)で必要な実務実績の違いはありません。

他の公務員にも言えることですが、大卒で消防士になった方が昇給が早く、その後の給与も伸びていく傾向が見られます。

田舎と都会はどちらがいい?

消防士に限った話ではないですが、都市部で働くのと地方で働くのではたくさんの違いがあります。

消防士における、地方と都市部のそれぞれのメリットと感じられる部分は以下の通りです。

田舎 都会
出動回数が少なく、身体的負担が軽い 給料が高い
様々な部隊を兼任でき、幅広い知識が身につく 出動回数が多く、消防に関する知識が身につきやすい
職員の数が少なく、人間関係がシンプル 部隊の数が多く、目標の幅が広がる

都心部は人口が多く火災や事故の件数も多いので、出動回数が増え実践的な業務が多くなります。

地方は出動回数が少なくなる分身体的な疲労は少ないですが、給料が少なく実践と訓練があまり変わらない内容になりやすいです。

それぞれにメリット・デメリットがあるので、どちらの方が良いかは人によって感じ方が変わるでしょう。

女性の消防士もいるのか?

総務省によると、女性の消防士の割合は令和4年4月1日現在で消防士全体の約3.4%です。

初めて女性消防士が採用されたのは昭和44年で、現在は女性消防士の活躍を推進する取り組みが行われています。

各消防本部で行われている取り組みを、一部紹介します。

  • 女性専用施設の整備:各省本部にて女性専用施設の整備を適宜行っている
  • 体力試験の採点基準の見直し:採用試験の2次試験における体力試験で、男女の体力面での差を合理的に判断できるように見直し
  • ハラスメント研修に積極的に参加:女性消防士を初めて迎える消防本部が、全職員を対象に女性が働きやすい環境作りやハラスメント対策についての研修会を実施
  • 女性限定インターンシップを開催:近隣の消防本部から女性消防士を派遣し、話をしたり質問に答えたりした

まだ少ない女性消防士ですが、多様化が進む中で消防庁も女性の消防士の躍進のためにさまざまな取り組みを行っています。

まとめ

消防士の年収は額面だけ見れば一般企業より高いと言えるでしょう

しかし、仕事内容や業務の多さを考えると、高く感じるか安く感じるかは人によるのでなんとも言えません。

年齢・階級・地方によっても給料や仕事内容が変わるので、住んでいる地域や年齢によっても印象は変わるでしょう。

消防士は採用試験の倍率が警察官よりも高く、警察官の中には消防士の採用試験に落ちた人もいます。

給与(額面)は警察官の方が高いので、消防士の人気は年収だけが理由ではないでしょう。

消防士の年収は額面で見れば一般企業の平均より高く、公務員の他の職業と比べるとあまり変わらないと言えます。

 

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