陸上競技界における実業団選手の実情を探ってみましょう。
日本の陸上界では、プロ選手はごく少数で、大半が実業団に所属しています。
メディアで注目を集める選手たちの日常生活はどのようなものなのでしょうか。
彼らの舞台裏に迫ってみたいと思います。
陸上選手の年収: プロと実業団の比較
陸上選手の年収は、プロと実業団で大きく異なります。
2024年の最新情報によると、プロ陸上選手の推定年収は1,000〜2,000万円、実業団陸上選手は600〜800万円程度です。
収入源の内訳
陸上選手の主な収入源は以下の通りです:
1. スポンサー契約
2. 大会の賞金・報奨金
3. イベント・メディア出演料
4. 給与(実業団選手のみ)
プロ陸上選手は固定収入がなく、成績や人気に応じて収入が変動します。一方、実業団選手は企業からの安定した給与があります。
プロ陸上選手の収入詳細
プロ陸上選手の収入は不安定ですが、高額な賞金を獲得する可能性があります。
大会規模 | 賞金額 |
---|---|
一般的な大会 | 50万円〜300万円 |
大規模大会 | 1,000万円以上 |
例えば、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では、優勝賞金が1,000万円に設定されています。
実業団陸上選手の収入構造
実業団陸上選手は、「社員選手」と「契約選手」に分類されます。
「社員選手」: 企業の正社員として働きながら競技活動
「契約選手」: 競技活動に専念し、引退後は契約終了
社員選手は安定した収入と引退後のキャリアが保証されていますが、契約選手は競技成績に応じた収入変動があります。
実業団所属の日本陸上選手の年収
日本の陸上競技界では、多くの選手が実業団に所属し、企業から給与を得ています。
実業団選手は主に社員選手と契約選手に分類されます。
社員選手は、通常の業務と競技活動を両立させる形態です。
一般的に午前中は仕事に従事し、午後は練習に充てます。 大会が近づくと、企業は選手が競技に集中できるよう、業務を免除することもあります。
一方、契約選手は競技活動に専念できるよう、企業からサポートを受けています。
通常の業務に従事せず、競技引退時に契約が終了します。
一方、企業所属選手の給与体系は、同期入社の社員基本給に競技者手当を加えた構成となっています。
新人選手の推定年収は300万円程度で、平均年収は310万円から405万円の範囲とされています。
契約選手は社員選手と比べ、基本給がやや高く、競技手当も多い傾向にあります。
競技者手当は成績に応じて報奨金が加算される場合もあります。
企業の広告塔として活躍する選手でも、一般的なサラリーマンと同程度の年収であることが多いようです。
オリンピック出場レベルの選手では、競技者手当やボーナスにより年収1000万円に達する例もありますが、実業団全体でみれば稀なケースです。
陸上競技大会の賞金はどれくらい?
最も高額な大会はボストンマラソンで、優勝賞金は15万ドル(約1600万円)。
次いでシカゴマラソンとニューヨークシティマラソンが10万ドル(約1500万円)となっています。
一方、東京マラソンの優勝賞金は1100万円程度。国際陸連(IAAF)のダイヤモンドリーグ(年14戦)では、1試合の優勝賞金が約107万円とされています。
これに対し、プロゴルフの最高峰「マスターズ」の優勝賞金は約11億円、プロテニスの4大大会では3~4億円に上ります。
つまり、陸上選手がタイトルを獲得しても、他競技と比べ競技者手当は比較的少ないのが現状なのです。
プロの日本人陸上選手の年収
日本の陸上競技界では、プロ選手の定義が明確ではありません。
ここでは、「陸上競技の成績のみで生計を立てる選手」をプロとします。
日本初のプロ選手は400mハードルの為末大選手とされ、「プロ宣言」後は大会賞金やスポンサー収入で生活しています。
実業団と違い、所属先がないため保障が少なく、賞金獲得が重要です。
そのため、日本にはプロ選手が少ないのが現状です。
プロとして活躍した選手には、マラソンの川内優輝選手、大迫傑選手、ケンブリッジ飛鳥選手などがいます。
陸上競技の賞金は比較的少ないため、多くのプロ選手はスポンサー収入に頼っているようです。
為末選手の2005年の年収は約600万円で、主に海外大会で収入を得ていました。
スポンサーがない場合、海外遠征費は自己負担となります。
東京五輪で引退した大迫選手は、ナイキとのスポンサー契約と日本新記録の報奨金2億円により、推定年収6000万円とされています。
陸上選手になるための道筋
陸上選手を目指す方法は主に2つあります:
1. 高校・大学で実績を積み、実業団に入る
2. 一般企業で働きながら競技で実績を残し、スカウトされる
プロ陸上選手になるには、日本陸上連盟への登録と企業とのプロ契約が必要です。ただし、現状ではプロ契約を結ぶ選手は極めて少数です。
世界で最も稼いでいる陸上選手はだれ?どれくらい?
ウサイン・ボルト選手は、100m・200mの世界記録保持者であり、世界で最も稼ぐ陸上選手です。
2016年の年収は推定34億円に上ると言われています。
その収入の大半は、プーマやクレジット会社などとのスポンサー契約料で、約20億円を得ているとされます。
他のスポーツと比較すると、プロテニスの錦織圭選手は2007年度で37億円、大坂なおみ選手は年収66億円と報告されています。
これらの数字から判断すると、陸上のプロ選手の年収は他のプロスポーツに比べてやや低めであると言えるでしょう。
引退後のキャリアパス
陸上選手の引退後のキャリアは、主に以下の3パターンがあります。
1. 所属企業での一般社員としての継続勤務
2. 新たな企業への就職
3. 指導者(監督・コーチ)としての再契約
特に社員選手は、引退後のキャリアが安定しているのが特徴です。
陸上選手の年収は、プロと実業団で大きく異なりますが、いずれも競技成績や人気に応じて変動します。
安定性を求めるなら実業団、高額報酬を目指すならプロという選択肢があります。
競技引退後のキャリアも考慮に入れ、自身に合った道を選ぶことが重要です。
引退後は社業に専念する選手も
柏原竜二選手は、箱根駅伝5区の山登りで「山の神」と称された選手の一人です。
大学卒業後、富士通に入社し陸上競技部に所属しましたが、怪我に悩まされ、2017年に27歳で引退を決断。
さらに2019年からは、社会人アメリカンフットボールの強豪チーム「富士通フロンティアーズ」のマネージャーに就任し、Xリーグで優勝経験のあるチームのスタッフとして活躍しています。
陸上競技で培ったマネジメント力を、アメリカンフットボールというまた違うフィールドで発揮している柏原選手。
知名度を生かしてタレントとして活躍する人もいる
高橋尚子さんは、シドニー五輪女子マラソンで金メダルを獲得し、日本女子陸上界で初の快挙を成し遂げました。
現役引退後は、スポーツキャスター、マラソン解説者、文筆家として多方面で活躍しています。
国内外のマラソン中継で解説を務めるほか、各地のマラソン大会にゲストランナーやアンバサダーとして参加し、陸上の楽しさを伝える存在としても活躍されています。
また、増田明美さんも現役引退後に解説者・タレントとして成功した例です。
選手の内面に迫る丁寧な取材と、優しくもキレのある語り口が彼女の特徴です。
このように、知名度の高いプロランナーは引退後、スポーツ界で培った経験を生かし、解説者やタレントとしてセカンドキャリアを築いています。
まとめ
陸上選手の収入は、個人の実力や実績により大きく異なるため、一律に述べるのは容易ではありません。
日本国内の陸上競技会は限られており、プロ選手として活躍できる人は少数です。
多くの選手は、企業所属やスポンサー契約、タレント活動などを通じて生活の糧を得ています。
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