SESからのキャリアアップと転職先おすすめ7選【エンジニア転職したい人必見】

SESエンジニアのキャリア課題と現状

SES業界の構造的な課題

SES業界には特有の構造的な問題があり、エンジニアのキャリアアップを阻害している側面があります。多重下請け構造が一般的で、プロジェクトの階層が深くなるほど、エンジニアが得られる経験や裁量は限られてくる傾向にあります。クライアント企業に派遣されて業務を行うケースが多く、技術的なスキルを十分に活かせなかったり、新しい技術に触れる機会が少なかったりすることも起こりえます。このような環境下では、エンジニアは自身の成長を実感しにくく、キャリアパスを描きにくい状況に陥りがちです。

案件ガチャによるスキルミスマッチ

SESエンジニアが直面する大きな課題の一つが、いわゆる「案件ガチャ」です。エンジニア自身の希望とは異なる案件にアサインされることが少なくありません。例えば、フロントエンド開発を希望しているエンジニアがインフラの保守運用案件に配属されたり、最新技術を学びたいエンジニアがレガシーシステムの改修案件を任されたりするケースがあります。このようなミスマッチは、エンジニアのモチベーションを著しく低下させるだけでなく、スキルアップの機会を奪い、キャリア形成を妨げる要因となります。

SESエンジニアの約7割が「案件ガチャ」に不満を感じている(2023年調査)

労働環境とキャリアの関係性

• 長時間労働は学習時間を確保する機会を奪う
• 低い給与水準は生活の質を低下させ、将来への不安を増大させる
• 休息が取れないと、新しい技術を学ぶ意欲が湧きにくい
• 健康管理やメンタルヘルスケアの重要性が高い
• 労働環境の改善は、エンジニアのモチベーションとスキルアップを促進する

項目	詳細
SES平均年収	520万円(2022年度)
SES平均残業時間	30時間/月(2022年度)
有給取得率	45%(2022年度)

SESからのキャリアアップを実現する方法

キャリアプランの重要性

SESからキャリアアップを目指す上で最も重要なのは、明確なキャリアプランを立てることです。5年後、10年後に目指すべき具体的な目標を設定し、そこに向けて必要なスキルや経験を逆算して計画を立てましょう。例えば「5年後にはプロジェクトリーダーとして活躍したい」「10年後には特定技術のスペシャリストになりたい」など、自身のキャリアビジョンを明確にすることが不可欠です。キャリアプランは定期的に見直し、必要に応じて軌道修正を行うことも大切です。

スキルアップへの意識改革

SESエンジニアは、クライアント常駐による業務が多いため、新しい技術に触れる機会が少なく、スキルアップが滞りがちです。しかし、案件を通じて得られる経験をスキルアップの糧と捉え、意識改革を図ることが重要です。業務で使用する技術の仕組みを理解し、課題解決のためのアプローチを学ぶなど、日々の業務からスキルアップの機会を見つけましょう。また、自己啓発の時間を確保し、最新技術の習得にも力を入れることが不可欠です。

自由度の高い企業を選ぶ

• 案件選択の自由度が高い企業を選ぶことで、自身のキャリアプランに沿った業務に就けます。
• 企業によっては、社員のスキルアップを支援する制度が整備されている場合もあります。
• 労働環境が良好で、残業時間が少なく、有給休暇が取りやすい企業を選ぶことも重要です。
• 評価・報酬体系が適切で、努力が報われる企業を選ぶことで、モチベーションの維持につながります。
• 自身のキャリアプランを尊重し、キャリアアップを後押ししてくれる企業を見つけることが大切です。

企業	平均年収	残業時間
野村総合研究所	1,235万円	月40時間
ジャストシステム	1,145万円	月60時間
電通国際情報サービス	1,047万円	月50時間

SESからの転職先おすすめ7選

1. SIer（システムインテグレーター）

SIerとは、企業のシステム構築や運用を請け負う会社のことです。SESからSIerに転職すれば、より上流工程の業務に携われるため、スキルアップと年収アップが期待できます。大手SIerの平均年収は1,000万円を超える場合もあり、中小SIerでも800万円前後と高水準です。ただし、受託開発が中心となるため、自社の製品開発に関われる機会は少なくなります。

2. 社内SE（システムエンジニア）

社内SEとは、企業の情報システム部門に所属し、自社の基幹システムやWebサービスの開発・運用を担当するエンジニアのことです。SESと比べて裁量が大きく、自社の製品やサービスに直接関われるため、やりがいのある仕事ができます。平均年収は800万円前後と高水準ですが、SIerほどの年収は望めません。

3. 自社開発（Web系）

• 自社サービスやプロダクトの開発に携われる
• 自分のアイデアを形にできる可能性が高い
• 技術の幅を広げられる反面、特化は難しい
• 会社の経営状況に左右されやすい
• 平均年収は700万円前後が一般的

転職先	平均年収	メリット
SIer	1,000万円以上	年収が高い、上流工程の経験を積める
社内SE	800万円前後	自社製品開発に関われる、裁量が大きい
自社開発	700万円前後	技術の幅を広げられる、アイデアを形にできる

SESから高年収が見込める転職先

SES勤務から年収アップを狙える転職先

SESエンジニアとして働いていると、年収に不満を持つ人も多いでしょう。しかし、SESから転職することで年収アップのチャンスが広がります。特に有力視されているのが、SIerや社内SEへの転職です。SIerでは大手企業ほど平均年収が高く、1,000万円を超える会社も存在します。一方、社内SEは直接雇用のため年収水準が高めで、SES時代より待遇改善が期待できます。また、自社開発系の企業に転職すれば、エンドユーザーに近い立場で開発に携われるメリットがあり、優秀なエンジニアほど高年収が望めます。

SIerと社内SEの年収事例

SIerと社内SEへの転職で年収アップを果たしたエンジニアの具体例を見てみましょう。大手SIer野村総合研究所の平均年収は1,235万円、三菱総合研究所は1,009万円と高水準です。一方、社内SEでも年収1,000万円を超える企業は珍しくありません。製造業大手のソニーグループの社内SEの平均年収は約1,100万円と報告されています。このように、SIerや社内SEへの転職は年収アップにつながる可能性が高いと言えるでしょう。

年収に影響する要因

• スキルレベルと経験年数
• プロジェクトの難易度や規模
• 業界や企業の収益性
• 勤務地の物価水準
• 語学力や資格の保有

項目	詳細
スキルレベル	上位スキルほど高年収が期待できる
経験年数	10年以上の経験者は年収1,000万円超も
プロジェクト規模	大規模案件ほど高年収につながる可能性

SESから異業種・異職種への転職

異業種・異職種転職のメリット

SESとして長年培ったITスキルを活かしつつ、新しい分野で挑戦できることが異業種・異職種転職のメリットです。単なる職場の変更ではなく、キャリアを180度変えることで、自身の可能性を大きく広げられます。新しい環境に身を置くことで、新たな視点や発想を得られ、さらなるスキルアップやキャリア形成につながります。

具体的な異業種・異職種の例

SESから異業種・異職種に転職する典型的な例としては、金融業界への転職が挙げられます。SIerやSESでシステム開発の経験を積んだ人材は、銀行や証券会社などの金融機関で求められるITスキルを有しています。また、製造業や小売業、サービス業など、ITを活用したビジネス変革を推進する企業にも需要があります。

転職に向けた準備

• 希望する業界や職種の調査と理解
• 自身のスキルと経験の棚卸し
• 転職サポートサービスの活用
• 面接対策とスキルアップ
• ネットワーキングの強化

項目	詳細
年齢	30代前半までが望ましい
学歴	特に制限はないが、高学歴が有利
語学力	グローバル企業なら語学力が重視される

SESからの転職を成功させるポイント

キャリアプランと目標設定が不可欠

SESからのキャリアアップを成功させるためには、まず自身のキャリアプランを明確にし、具体的な目標を設定することが不可欠です。5年後、10年後にどのようなエンジニアになりたいのか、明確なビジョンを持つことで、必要なスキルや経験を逆算して計画を立てることができます。目標が定まれば、それに向けて日々の業務や学習に意識的に取り組むことができ、着実にスキルアップを図ることが可能になります。

継続的なスキルアップが鍵

SESエンジニアは、案件による経験値の格差が大きいため、自身で継続的にスキルアップに取り組む必要があります。最新の技術動向を常にキャッチアップし、自己投資を怠らず学習を重ねることで、市場価値を高めていくことができます。また、案件ガチャから脱却するためにも、自身のスキルセットを強化し、希望する分野で活躍できるよう備えておくことが重要です。

SESエンジニアの6割が転職を検討している理由の1つに「スキルアップの機会が少ない」ことがあげられています。

転職先の選定と早期の転職活動

• 自身のキャリアプランに合った企業を選定する
• 労働環境や福利厚生、評価制度などを確認する
• IT転職エージェントを活用し、非公開求人にもアクセスできるようにする
• 書類選考と面接対策を万全に行う
• 複数の内定を獲得し、交渉の幅を持つ

転職理由	転職先の条件
スキルアップ	最新技術を扱える環境、研修制度
キャリアアップ	評価制度、マネジャー職の道筋
労働環境の改善	残業時間、有給取得、福利厚生

まとめ

SESからの転職の難しさ

SESからの転職は、技術スキルの活用の難しさや経験年数の浅さなどから、一般的に難易度が高いと言われています。しかし、明確なキャリアプランを立て、目標を持って転職活動を行えば、十分に成功する可能性があります。SESエンジニアの転職倍率は0.7倍と低い水準にありますが、これは単に需給のミスマッチが大きいためで、適切な転職先を選べば問題ありません。

SESからのおすすめ転職先

SESからの転職先としておすすめなのは、SIerや自社開発系のWeb企業、社内SEなどです。これらの企業では、SESで培った技術スキルを活かせる環境があり、さらなるキャリアアップが期待できます。例えば、出典：SESからのキャリアアップ戦略によると、大手SIerの平均年収は1,000万円を超えており、高年収を望める点でも魅力的です。

SESからの転職で注目される3つのポイント

転職の成功ポイント

• 明確なキャリアプランの設計
• 自身のスキルと経験の棚卸し
• 転職理由・退職理由の準備
• IT業界に強い転職エージェントの利用
• 自己学習によるスキルアップの継続

転職先	特徴	メリット
SIer	受託開発が主体	高年収、大規模案件の経験
自社開発	自社サービスの開発	自身のアイデアを形に
社内SE	自社システムの開発・保守	ワークライフバランス